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ストーカー  作者: Mr.M
エピローグ 神在月

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93/94

第93話 誰かが視てる

「・・そう。

 これ以上何を言っても無駄なようね。

 でもあなた・・憑かれてるわよ?」

黒いドレスの女が声を落として囁いた。

「あなた。

 さっき私の言葉に驚いていたでしょう?

 あの時わかったの。

 あなたは被害者2人を普通に殺しただけ。

 にもかかわらず、

 私の話で被害者2人の膣内に

 裂傷が見つかったことを知った。

 不思議よね?

 あなたに心当たりがなければ、

 一体誰がそんな悪戯をしたのかしら?

 1件だけなら

 偶然通りがかった変態の仕業だとも思える。

 でも。

 それが2件も続いたら?」

女のコップを握る手が小さく震えて、

その顔がみるみる青ざめていった。

黒いドレスの女は女の目を見つめたまま続けた。

「屍体にそんな悪戯をする人間って

 どこか壊れてるのよね。

 それが屍姦だとしたらゾッとするわ。

 とても普通の精神とは思えない。

 もしかしたらその人物は

 屍体にしか欲情できないのかもしれない。

 いるのよね。

 屍体愛好者って」

女は震える手をテーブルの下に隠して

しっかりと握りしめた。

黒いドレスの女はそんな女の姿を認めつつ、

静かにコーヒーを啜った。

「八木明人も今のあなたと

 同じ心境だったのかしら?

 見知らぬ誰かが自分の行為をじっと視ている。

 あなた、

 目の前の八木明人のことに夢中になりすぎて、

 自分の背後が疎かになってたんじゃないの?」

黒いドレスの女の言葉が

呪いとなって女の耳を蝕んでいった。

女は店内をゆっくりと見回した。

その時。

女はカウンター席に

ボサボサ頭に無精髭の中年男が

座っていることに気付いた。

「自分の魅力に自信がある割には、

 その防御策はまったく講じられていない。

 そんなことだから。

 この私にさえ

 自宅からここまで尾けられるのよ。

 ふふふ。

 気を付けなさい。

 その人物はあなたが八木明人にしたように、

 あなたにだけわかる方法で呼びかけたの。

 あなたの犯罪を視てるぞと。

 その人物の誤算は

 己の猟奇的な行いが報道されなかったことね。

 だからあなたには

 その人物の存在とその意図が伝わらなかった。

 その人物の目的は何かしら?

 でも安心して。

 その人物からこれまであなたへの

 直接的なアプローチがないのなら、

 おそらく今後もその可能性はないから。

 ただし。

 忘れないでね。

 屍体にメッセージを残すような異常な人間が

 ずっとあなたを視ていることを。

 ふふふ」

話し終えると黒いドレスの女は

残ったコーヒーをゆっくりと飲み干した。

女の表情は恐怖で歪んでいた。

「あ、貴方と、

 お、お話をしていると、

 き、気分が悪くなります。

 こ、これ以上、

 お、お話しすることはありません。

 あ、貴方が帰らないのであれば私が帰ります」

女は震える声で虚勢を張った。

「まだ一口も手を付けてないじゃない?

 食べたかったんでしょう。

 勿体ないわ」

黒いドレスの女は女の前にあるプレートを

顎で指した。

「た、食べたければ貴方がどうぞ。

 さ、差し上げます」

女はふらつきながら立ち上がった。

「あら。

 ありがとう」

黒いドレスの女はプレートを

自分の元へ引き寄せた。

そして立ち去ろうとする女に言葉を投げた。

「最後に1つ質問があるんだけど。

 あなた、

 どうしてこんなに早く

 大烏亜門を殺そうとしたの?」

女は振り返って黒いドレスの女を見下ろした。

「・・私は主人を愛していました」

黒いドレスの女は女の視線を無視して

真っ直ぐ前を向いていた。

「まだ死んでないのに過去形なのね」

女はそれに答えずに歩き出した。

その足取りは若干おぼつかない。

女の背中に向かって

黒いドレスの女は最後の声をかけた。

「ここのお会計は私が払っておくわ」

女は何も言わずに店の入り口へ向かった。


女がドアに手を掛けようとした時、

丁度ドアが開いて若い男が入ってきた。

男は女が通れるように体を引いた。

女は男に驚いて、

慌てて男の前を横切った。

そして足早に階段を降りていった。

男は女の後姿を見ながら、

実物の方が綺麗だなと思った。

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