表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストーカー  作者: Mr.M
五章 神無月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/94

第73話 人を見る目

「そう言えば、

 八木は過去の暴行については

 犯行を認めているようですが、

 殺人に関しては

 容疑を否認しているらしいです。

 しかし被害者達と接点があったことが

 八木にとっては致命的ですね。

 ニュースでも言われていたように、

 先日の殺人未遂事件の被害女性は

 八木の顧客です。

 そして殺人事件の2件目の被害者である

 女子高校生は、

 八木の自宅近くのコンビニで

 アルバイトをしていました。

 これは不破くんから聞いたんですが、

 被害者の女子高校生は

 同じアルバイトの同級生に、

 八木は自分に気があると話していたそうです。

 そして。

 彼女の方も満更でもなかったようで、

 八木が店に来る度に

 彼を執拗に見つめていたそうです。

 一方。

 1件目の殺人事件の被害者と

 八木の接点については不明です」

そこまで話してから

男はカップをテーブルに置いた。

「それにしても今回は、

 この大烏という探偵のお手柄ですね。

 目警部と不破くんが現場に駆けつけたら、

 八木は拘束されていたそうですよ」

「ふーん」

女が気のない返事をした。

「たしかこの八木という男。

 ここに来た時は

 ストーカー被害の相談でしたよね。

 おまけにストーカーの正体すらわからない

 と言っていました。

 あれは全部作り話だったんでしょうか?」

男はテレビに目を向けている女に問いかけた。

「そうね。

 殺人犯が探偵を頼るっておかしな話よね。

 それに彼の話が本当なら、

 正体のわからないストーカーに

 付け回されている状況で

 殺人という行為に及ぼうとするかしら?」

「何が言いたいんですか?」

女はその問いには答えずに

ゆっくりと紅茶を啜った。

そしてカップをテーブルに置くと

ソファーに体を預けて腕を組んだ。


「八木明人は殺人犯ではない」

カップに伸ばしかけた男の手がとまった。

「・・実果さんが納得できない気持ちも

 わかりますけど。

 今回に限っては・・」

「八木明人はここを訪ねてきた。

 それは紛れもない事実。

 でも八木明人がここで語ったすべてが

 事実とは限らない。

 何が嘘で何が事実なのか。

 少なくともストーカー被害は事実。

 だって相談内容が嘘なら

 初めからここに来る必要がないもの」

女は1人で話を進めていた。

男は女に気付かれないように

そっと溜息を吐いた。

「・・そういえば不破くんからの情報ですが、

 八木は大烏に

 ストーカー調査の依頼をしていた

 と主張しているらしいです」

女が男の方をチラリと見た。

「勿論これに関しては大烏は否定しています。

 大烏は安倍のストーカー被害の相談に

 乗っていたと。

 そして。

 まさに彼女のストーカーが

 八木だと主張しています。

 つまり八木と大烏、

 2人の主張は真っ向から対立しています」

男はカップを手に取って口をつけた。

「ちなみに安倍というのは、

 今回の殺人未遂事件の被害者の女性です。

 安倍瑠璃。

 52歳。

 すごく綺麗な人ですよ。

 とても50代には見えません。

 せいぜい30代じゃないでしょうか。

 テレビでも顔写真が公開されていましたよ。

 珍しいですよね。

 事件の被害者の顔写真が公開されるなんて。

 まあ本人が認めているのなら

 問題はないんでしょうけど。

 こうして顔写真が出ることによって、

 また変な男に狙われなければいいですけどね。

 美人すぎるのも大変ですね」

「ふーん。

 武って随分と年上の女性に興味があるのね。

 もしかして・・マザコン?

 キモッ!」

女が蔑むような目で男を睨み付けた。

「な、何を言ってるんですか!

 か、勘違いしないで下さいよ!

 と、とにかく八木は、

 大烏にストーカー被害の相談をしていたと

 主張しているそうです」

男はそう早口で捲し立てると

コンッコンッと2度ほど大袈裟に咳をした。

「ふーん。

 八木明人がここに来た理由も

 ストーカー被害の相談。

 でも結局、

 八木明人は私には依頼せずに

 胡散臭い探偵を頼ったわけね」

「実果さんは彼の依頼を断ってましたけどね」

「私は知的好奇心をくすぐられる依頼しか

 引き受けないの。

 わかってるでしょ?」

そう言って女は頬を膨らませた。

「それなら八木が大烏に依頼しても

 何も問題はありませんね」

「いいえ。

 問題はそこじゃないわ。

 もし八木明人が初めから大烏亜門に

 依頼していたのなら、

 ここに来る必要はなかったはずよね?

 つまり時系列では

 八木明人はここに来た後で、

 大烏亜門に依頼したことになるわね」

「それが何か?」

男は女の言葉の意図がわからず首を傾げた。

「八木明人は

 人を見る目がないということがわかるわ」

そう言って女は静かに紅茶を啜った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ