第60話 10月15日。土曜日。
10月15日。土曜日。
この日最後の客を送り出してから
僕はパソコンの前で一息ついていた。
いよいよ明日。
明日になればすべてが終わる。
僕はDドライブの中にある
『R.A』という名前のフォルダを開いた。
そして。
『9.15 裸』
というタイトルの動画を再生した。
赤い下着を履いて
上半身は何も身に付けていない安倍瑠璃が
ベッドに横になっていた。
そこへ若干緊張した面持ちの僕が入ってきた。
僕は彼女の顔にタオルを被せてから
ゆっくりと彼女の肌に手を触れた。
施術が終わると画面の中の僕は
ベッドから離れてカーテンを引いた。
1人になった彼女が起き上がった。
次の瞬間。
顔を上げた彼女がこちらを見て微笑んだ。
反射的に僕は目をそらしていた。
それからすぐに僕は画面に目を戻した。
これは盗撮である。
彼女が気付いているはずはない。
それでも。
彼女の視線が気になった。
時間にして1秒にも満たない僅かな時間。
恐らく偶然カメラに視線が向いただけだろう。
僕はそう言い聞かせた。
計画が明日に迫って些細なことが気になった。
僕は深呼吸をした。
その夜。
布団に入って眠りにつくほんの少し前。
1つの疑問が頭をかすめた。
大烏に言わせると
今は盗聴はされていないという。
ならば。
犯人はどうやってこちらの行動を
把握しているのだろうか?
僕が安倍瑠璃を襲うことを
犯人はどうやって知るのだろうか。




