第51話 欲望
荒い息遣いが周囲の空気を震わせていた。
目の前に全裸の女が倒れていた。
女は死んでいるかのように動かなかった。
僕は女の体を上から下までじっくりと眺めた。
この瞬間を待ちわびていた。
完璧に作り込まれた
人工美とでもいえばいいのか。
いや。
芸術と呼んだ方が正しいのかもしれない。
人の手によって作り上げられた美を芸術という。
大自然の景観も
たしかに心を震わせるような美しさがある。
しかしそれは芸術ではない。
目の前の女の体こそが芸術なのだ。
白くきめ細やかな肌。
形の良い大きな乳房。
その頂上にある薄い桃色の乳首が
僅かに隆起していた。
細くくびれた腰。
そして肉付きの良い太腿の間には
綺麗に手入れされた
黒いアンダーヘアーが覗いていた。
自然と溜息が出た。
僕はごくりと唾を飲み込んでから、
そうっと乳房に触れた。
指に力を込めて乳房の弾力を確かめた後で、
人差し指と親指で固く隆起した乳首を摘まんだ。
僕は我慢ができずに乳首を口に含んだ。
舌を転がして十分に味わってから
一度立ち上がった。
そして改めて全身を眺めた。
美しい。
ふたたび溜息が漏れた。
この日をどれほど待ちわびていたことか。
僕は女をうつ伏せに寝かせた。
足を広げると女の秘部が露わになった。
僕は猛り狂った欲望を女の中に挿入した。
ゆっくりと腰を動かした。
僕は女の桃尻を撫でながら時折激しく叩いた。
女はまだ目を覚まさない。
僕の腰の動きはますます速くなっていった。
「・・うっ」
ふいに声が漏れた。
次の瞬間。
熱いモノが下半身を濡らすのを感じた。
夢を見た。
女を犯す夢だった。
顔こそ思い出せないが、
あの体は間違いなく安倍瑠璃の体だった。
そんなことを考えたのも束の間のことだった。
下半身の不快さに気付いた。
下着が濡れていた。
僕はすぐに風呂場に駆け込んだ。
熱いシャワーが僕の体の汚れを洗い流した。
心はとても晴れやかだった。
吐き出された欲望と共に
憑き物が落ちたようだった。
もしあのまま欲望が溜まり続けていたら、
僕は夢の通りに行動を起こしていたに違いない。
しかし。
所詮夢は夢だった。
そもそも僕は・・。




