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ストーカー  作者: Mr.M
三章 長月

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第49話 夕日

大烏はこの後予定があるらしく、

慌ただしく店を出ていった。

1人になった僕は

先ほどの大烏とのやり取りを思い返していた。



「君が誰かを襲えばふたたび犯人が動くだろう。

 そして犯人が現れたところを私が捕まえよう。

 こう見えても私は

 カポエイラ、

 ランゲルン、

 サバット、

 ボッカタオの腕前はさる事ながら、

 太極拳、

 珍しいモノでは酔拳の心得もあるからね。

 ふふふ」

大烏の言葉に僕はすぐには反応できなかった。

今更僕が倫理を口にしたところで

何の説得力もない。

しかし・・。

僕は頭を振った。

その昔。

蛇の囁きに惑わされ

禁断の果実を口にした我らの祖先は

楽園を追われた。

僕は今、

同じ過ちを犯そうとしているのではないか。

「何か問題でもあるのかね?

 君は犯人を見つけたいのだろう?」

この時。

僕は改めて大烏が世間一般の常識とは

かけ離れていることを悟った。

「す、少し・・

 か、考えさせてください・・」

僕は大烏の視線から逃げるように目を背けた。



「どうしたの、八木さん?」

その声に僕は我に返った。

いつの間にか

もしほが今まで大烏がいた席に座っていた。

「い、いや・・」

「ねえ、お腹が減った。

 八木さんも何か食べない?」

もしほは休憩時間に入ったようだ。

今は水色のエプロンを外していた。

時計を見ると16時を過ぎていた。

大烏とは1時間ほど話していたことになる。

それほど長話をしたつもりはなかったので

少し驚いた。

その時。

丁度店の奥からマスターが戻ってきた。

「マスター!

 私と八木さんの分、

 何かてきとーに作ってよ」

もしほがテーブルから呼びかけた。

「すみません、マスター。

 お代は僕が払いますから」

「いやいや。

 明人ちゃんは気にするな。

 そっちのバイト代から引いておくから」

「ちょっと、マスター!」

もしほが立ち上がって抗議した。


もしほは遅めの昼飯を、

僕はやや早めの夕食を食べた。

そして。

もしほの休憩時間が終わったタイミングで

僕は店を出た。



家に帰り着くと突然、

スマホが震えた。

スマホの画面に現れた名前を見て

僕の心臓は大きく跳ねた。

僕は小さく息を吐いてから震える指で

画面上の「応答」ボタンをタップした。

「・・安倍瑠璃です」

久しぶりに耳にする彼女の声。

僕は一旦スマホを離して唾を飲み込んだ。

「・・い、いつもお世話になっています」

「突然ですが、

 今日この後予約できますか?」

「こ、これからですか!?

 え、えっと・・。

 こ、この後であれば、

 い、何時でも大丈夫ですが・・」

僕は咄嗟に時計を確認した。

「18時ではどうでしょうか?」

「は、はい。

 だ、大丈夫です。

 お、お待ちしています」

「ではお願いします」


通話を終えた後も、

僕の心臓は早鐘を打っていた。

そして同時に下半身が熱くなっていた。

その時。

大烏の提案が頭をよぎった。

僕は大きく息を吸い込んでから

頭を冷やすために外に出た。

風がやや冷たかった。

夕日が空を赤く染めていた。

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