第43話 思惑
1人の部屋がいつにも増して静かに感じられた。
僕はテレビを点けると
普段より心なしボリュームを上げた。
一体いつから盗聴されていたのだろう。
そして。
どんなことが聴かれていたのだろうか。
考えれば考えるほど気持ちが沈んでいった。
僕は頭を振った。
それから・・。
蝉丸空のことを考えた。
プールで泳いでいる彼女の水着を
後ろから剥ぎ取り、
そのまま犯す。
しかし。
僕は泳げなかった。
ヨタカのことを考えた。
夜道を自転車で帰る彼女を暗闇に紛れて襲う。
意識を失った彼女の制服を脱がそうと
僕は手を伸ばす。
その時。
ヨタカの顔がメシモリに変わった。
僕は慌てて手をとめた。
安倍瑠璃のことを思い浮かべた。
彼女の成熟した肉体は、
蝉丸空やヨタカよりも
激しく男の本能を刺激した。
しかし。
彼女は今、
僕の知らないところで
男に溺れている可能性がある。
見知らぬ男が
彼女の体を弄んでいることを想像すると、
どす黒い感情が
心の底から湧き上がってくるのを感じた。
早めに布団に入ったものの
なかなか寝付けなかった。
目を瞑って羊でも数えようかと思ったその時、
ふとある疑問が頭をよぎった。
盗聴器に気付いてないふりをするのであれば、
そもそも盗聴器を探すという行動すらも、
犯人に隠したほうが良かったのではないか。
あえて盗聴器を探すというアピールを
する必要はあったのだろうか。
考えれば考えるほど謎は深まり、
それと共に目も覚めていった。
結局いくら考えても
大烏の思惑は僕にはわからなかった。




