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ストーカー  作者: Mr.M
三章 長月

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39/94

第39話 視線

9月6日。火曜日。

朝から立て続けに入っていた施術を終えて

一息つくと14時を回っていた。

僕は遅い昼食を買いに自転車で

『クリーンマート』へ向かった。

店長の男の意味深な視線を感じたあの日以来、

自然と足が遠ざかっていた。

当然、

ヨタカの顔もしばらく見てなかった。

そういえば彼女のSNSも

あの日から更新がなく、

僕は気になっていた。

気になっているといえば

安倍瑠璃のこともそうだった。

彼女の来店は近頃さらに減っていた。

大烏にご馳走になったあの日、

稲置駅で見た彼女の後姿を思い出した。

やはり彼女には男ができたのだろうか。

その男は稲置市に住んでいる。

そして。

その男は彼女の体を思いのままに弄んでいる。

僕はその顔のない男に激しく嫉妬した。

一度でもいいから僕も彼女に欲望を・・。

そんな邪な感情が顔を覗かせた次の瞬間、

ふとある考えが浮かんだ。

もし今僕が彼女を襲ったら、

はたして犯人は彼女を殺すのだろうか。

どうせ自分のモノにならないのであれば・・。

『鳴かぬなら殺してしまえホトトギス』

天下をその手に握ろうとした男を

表現した言葉らしいが、

男のその後の運命まで考えると、

あまり縁起の良い言葉とは思えなかった。

僕は頭を振って危険な妄想を振り払った。



店に入るとすぐに

レジにいた店長の男と目が合った。

「・・いらっしゃいませ」

男の表情に一瞬だが

驚きの感情が浮かんだのを僕は見逃さなかった。

ドクッ。

心臓が大きく跳ねた。

僕の直感が危険な香りを嗅ぎ取った。

僕は努めて平静を装いつつ、

急いで飲み物と弁当を籠に入れて

レジに向かった。

いつの間にかレジに男の姿はなかった。

ドクッ。ドクッ。

ふたたび鼓動が激しくなった。

2台のレジには

年配の女性店員が1人ずつ立っていた。

レジの前には3人の客が並んでいた。

はやる気持ちを抑えつつ僕は最後尾に並んだ。

1台のレジが空いて1人がそこへ進んだ。

胸騒ぎがした。

僕の姿は防犯カメラに映っているだろう。

また1つレジが空き客が流れた。

その時。

男がバックヤードから出てきた。

男はこちらに一瞥をくれると

そのままレジに立った。

1つのレジが空いて、

目の前の客がそちらへ進んだ。

ドクッ。

「お待ちのお客様こちらへどうぞ」

男の声が聞こえた。

僕は僅かに躊躇ってからレジへ進んだ。

弁当を温めるか聞かれたが断った。

男は僕の方を見ずに

商品を丁寧に袋に入れていた。

僕は名札を確認した。

「ヒフミ アザナ」

という文字が読めた。


店を出るときに背後から、

「ありがとうございました」

と言う男の声が聞こえた。

僕は自転車に乗って急いで家に帰った。


鍵を開けて家に入ろうとした時、

どこからか視線を感じた。

急いで周りを見回したが誰もいなかった。

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