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ストーカー  作者: Mr.M
二章 葉月

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第38話 世間話

この日の大烏は

普段プールで見かけるようなラフな服装だった。

大烏は入ってくるなり、

「ふむ。

 なかなか綺麗だね」

と言って興味深そうに室内を見回していた。

僕はコーヒーを淹れるために一度部屋へ戻った。


コーヒーを手に戻ると

大烏はパソコンの前に腰掛けていた。

「お待たせして申し訳ありません。

 お口に合うかわかりませんがどうぞ」

僕はパイプ椅子を出してそれに座った。

「ふむ。

 そんなに気を遣わなくてもいいよ。

 それよりも話を聞かせてくれ給え」

「・・は、はい」

僕はコーヒーを一口飲んだ。

そして大きく息を吐き出してから

ゆっくりと口を開いた。


一度話し始めると

堰を切ったように次々と言葉が出てきた。

まるで溜まっていた膿を吐き出すかの如く

僕は話し続けた。

その間、

大烏は何も言わずただ腕を組んで

じっと目を瞑っていた。

聞いているのかいないのか、

傍目にはわからなかった。

それでも構わず僕は話し続けた。

すべてを包み隠さずに。

自分の汚らわしい行為までも。

文字通りすべてを話した。



僕が話し終えても

大烏は目を瞑ったまま口を開かなかった。

やはり大烏に相談したことは失敗だったのか。

急に不安になった。

「・・ふむ。

 なるほど。

 今の君の状況はよくわかった。

 それにしても。

 君にそんな性癖があったとはね」

ふいに大烏が静かに口を開いた。

「・・お、お恥ずかしい限りです」

大烏に謝っても仕方がないのだが、

それでも僕は頭を下げた。

「いやいや。

 何も恥ずかしがることはない。

 人間誰しも1つや2つ、

 他人には言えない秘密があるものだ。

 それよりも。

 まずは君の話を私なりに整理したから

 間違っていたら訂正してくれ給え」

そして大烏は話を続けた。

「まず君の証言に偽りがないことが

 前提となってくるが、

 巷で騒がれているここ最近の

 2件の婦女暴行殺人事件の犯人は、

 どういうわけか

 君が襲った女性を殺している。

 1人目は吉野佳乃という女性で、

 2人目はメシモリという女子高校生だ」

僕は黙って頷いた。

「つまりこの犯人は

 君のストーカーということになる。

 君はその人物を見つけ出して欲しいわけだ。

 そしてそれは警察よりも先に

 見つけ出さねばならないという条件付きだ。

 もし警察が先に犯人にたどり着いた場合、

 犯人の口から

 君の名前が出る可能性があるからね」

僕はふたたび頷いた。

「ふむ。

 心配することはない。

 私にかかればこの程度の事件は朝飯前さ」

そう言って大烏は笑ったが、

僕はその笑顔に僅かばかりの不安を感じた。

この男を信用していいのか。

この男が犯人ではないのか。

この期に及んで

まだ完全に大烏を信用できない自分がいた。


「それよりもだ。

 君は犯人を見つけ出した後のことを

 考えておき給え」

大烏の言葉に僕の思考は中断した。

僕は意味がわからず首を傾げた。

「まさか君は犯人を

 警察につき出すつもりかね?

 そんなことをしてみ給え。

 君の犯罪も犯人の口から

 露呈することになるぞ」

僕は言葉を失った。

たしかに大烏の言う通りだった。

仮に犯人を見つけたとして、

僕には犯人を告発することはできないのだ。

「ふむ。

 私なら犯人にすべての罪を着せて

 口を封じるがね」

大烏はまるで世間話でもするかのように

さらりとそう言った。

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