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ストーカー  作者: Mr.M
二章 葉月

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29/94

第29話 2人の関係

その部屋は典型的な応接室だった。

中央に膝の高さ程のテーブルを挟んで

2人掛けのソファーが置かれていた。

調度品も柱時計以外には、

壁に設置された液晶テレビくらいしか

見当たらなかった。

僕は片方のソファーに腰を下ろして

大きく溜息を吐いた。

そう言えば。

武と呼ばれていたあの男は

「中に1人いる」と言っていたが、

まさかこの家に2人で住んでいるのだろうか。

そう考えると2人の関係性も気になった。

親子には見えないから兄妹だろうか。

ならば彼女は妹ということになるのか。

そんなことを考えていた。


しばらくすると

ドアが開いて武衣が現れた。

彼女の手にはコップが1つ握られていた。

「とりあえず水でいいわね。

 まったく。

 こういう時に武がいないのは不便ね」

武衣はコップをテーブルに置くと、

僕の向かいのソファーへ腰を下ろして

足を組んだ。

初対面の美女と2人きりの空間に

僕は緊張で喉がカラカラに乾いていた。

コップに手を伸ばして一口飲んだ。

それは生温い水道水だった。

残念なことに氷すら入ってなかった。

「それで。

 何の用かしら?」

その言葉に僕は慌ててコップを置いた。

その時。

目の前の彼女と目が合った。

僕は咄嗟に俯いた。

「ちょっと。

 私は忙しい身なんだから

 さっさと話しなさいよ」

「あ、あの・・

 そ、それは・・」

僕は言葉に詰まった。

まさか名探偵の武衣が女性で、

しかもこれほどの美人とは完全に想定外だった。

そして運の悪いことに

彼女は機嫌が悪そうだった。

一応、

客に水を出す程度の気は使えるようだが、

とても客に対する言葉遣いとは思えなかった。

おまけに。

明らかに年上の僕に対するタメ口。

これだけ大きな家に住んでいるということは

彼女も裕福なのだろう。

大烏にしてもそうだが、

傲慢さは金持ちに特有の性質なのか。

そんな勘違いをしてしまいそうだが、

単にこの2人が特別なだけだと考え直した。


柱時計の秒針が時を刻む音が

やけに大きく聞こえていた。


僕は気まずさを誤魔化すために

コップに残った生温い水を一気に流し込んだ。

それでもまだ僕の口は乾いていた。

その時。

「ただいま~」

とどこからか小さな声が聞こえた。

それはまさに救いの声だった。

僕はホッと胸を撫で下ろした。

僕は空になったコップを

ゆっくりと口に近づけた。

コップ越しにチラリと彼女の方を窺うと

足を組んでいる彼女の姿が見えた。

ドレスから艶めかしい太ももが覗いていた。

僕は視線を上げて彼女の顔を確認した。

ありがたいことに

彼女はソファーの背に体をあずけて、

顔を上に向けたまま目を閉じていた。

僕はこの機を逃すまいと

コップ越しに彼女の体を観察した。

細くて白い首すじ。

腕を組んでいるために余計に強調されている胸。

上から覗くことができれば、

あの谷間をしっかりと拝むことができるだろう。


「あれ?飲み物が出てる」

ふいに部屋のドアが開いて現れたのは

先ほど門の前で会った男だった。

男はコーヒーカップが3つ載ったトレイを

持っていた。

「遅いわよ!

 おかげで私がこのいやらしい男の相手をする

 羽目になったじゃないの。

 さっきからじろじろと私の体を盗み見てるし。

 気持ち悪い」

彼女のその発言に

僕は一瞬にして顔が熱くなった。

「それは実果さんが魅力的だからですよ。

 この方に限ったことではありません。

 男とはそういう生き物ですから」

男はそう言って

テーブルにコーヒーカップを並べた。

男のフォローとコーヒーの香りが

微かに僕の心を鎮めた。

「ふーん。

 ま。

 私のせいだとしたら仕方がないわね」

どうやら名探偵の機嫌は直ったようだった。

「ご挨拶が遅れましたが、

 私は秘書の安田やすだと申します。

 えーっと。

 それでどういった用件でしょうか?」

安田は武衣の隣に腰を下ろした。

武衣は興味がなさそうにコーヒーを啜っていた。

苗字が違うということは

どうやら2人の関係は

兄妹というわけではなさそうだ。

気持ちを切り替えるために

僕もコーヒーを一口飲んだ。

「・・じ、実はストーカー被害に

 悩まされていまして」

そして僕は予め考えてきた話をした。

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