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ストーカー  作者: Mr.M
二章 葉月

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第25話 『禁断の果実』

大烏と食事に行ったあの日から1週間が過ぎた。

この1週間、

ニュースでは2件の殺人事件について

一度も目にすることがなかった。

それはつまり報道を信じるのであれば、

警察の捜査も暗礁に乗り上げている

と解釈することができた。

一方で店の方も連日予約で埋まっていたために、

僕は調査どころではなかった。

そもそも僕は、

容疑者リストに書かれた人物を調査して

証拠を見つけ出そうとしていた。

しかし。

こちらが調査しているということは

相手に悟られてはいけない。

すでにそこに無理があったのだ。

ならば。

殺人現場付近の聞き込みをして

目撃情報を集めるか。

しかしこの方法は

警察の捜査を

何歩も後から追いかけているだけだ。

そもそも一般人の僕が

殺人事件の聞き込みをするなど怪しすぎる。

下手をしたら通報されかねない。

結局。

犯人捜しなど素人には荷が重すぎたのだ。

そこで。

僕は苦肉の策を思いついた。

適材適所という言葉が示すように、

何事も特化と分業である。

つまり。

調査はその道の専門家に任せればいいのだ。


この街には有名な探偵がいるらしい。

奇抜な容姿に似合わず腕はすこぶる良し。

以前に客の誰かが

そんな話をしていたのを思い出した。

ネットで調べると

探偵事務所のホームページはすぐに見つかった。

トップページには真っ黒な背景の中央に

白いゴシック体の文字で

『禁断の果実』

と書かれていた。

そして「実」の文字だけが真っ赤だった。

どこを見ても探偵という文字は

見当たらなかった。

「実」の文字をクリックすると

次のページに飛んだ。

相変わらずの真っ黒な背景に

白い文字が並んでいた。

そこには横書きで次のように書かれていた。


『求めよ、さらば与えられん。

 尋ねよ、さらば見出さん。

 門を叩け、さらば開かれん。

 すべて求むる者は得、

 尋ぬる者は見出し、

 門を叩く者は開かるるなり』


たったこれだけである。

トップページに戻って

他にクリックできるところはないかと探したが、

空振りに終わった。

メールによる問い合わせすらできないようだ。

「禁断の果実 探偵」

で再度検索すると

簡単に事務所の場所がわかった。

ネットの普及で情報の収集は楽になったが、

それはつまり漏洩は避けられないことを

意味する。

便利すぎるというのも考えものだった。

どうやら『禁断の果実』は忌寸市の北東部、

道師市との市境に近い所にあるようだ。

周辺には他の建物はなさそうである。

これならすぐに見つけられそうだった。

自宅から直接忌寸市を目指すよりも、

宿禰市を経由したほうが早いこともわかった。

ただ。

どれだけ調べても

この探偵に関する情報は得られなかった。

わかったのはその名前が

「武衣」

ということだけだった。

どちらにせよ。

今はこの探偵を頼るしかなかった。

まさに藁にもすがる思いだった。

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