第17話 尾行の尾行
僕は部屋に戻って、
コップに注いだスポーツドリンクを
一気に飲み干した。
多少気持ちが落ち着いて
頭を整理するだけの余裕が生まれた。
まず考えるべきことは昨夜のことだった。
僕がメシモリを襲って立ち去った後に
誰かがあの場所へ現れた。
そこで意識を失った全裸のメシモリを発見する。
そして。
その誰かはメシモリを手にかけた。
しかし。
ここで問題がある。
あそこは偶然に立ち寄るような場所ではない。
たしかにメシモリの1件だけならば、
あり得ないこともないだろう。
だが。
僕は偶然ではないと確信していた。
ニュースによると、
昨夜の事件と先月宿禰市で起こった事件とは、
その状況が酷似しているとのことだった。
もし。
宿禰市の事件の被害者も
僕が襲った女性だったとしたら・・。
この犯人は
僕が襲った女性を殺しているのではないか。
そして。
それは次の結論に繋がる。
・殺人犯はどこからか僕の行動を見ていた
冷汗が頬を伝って流れ落ちた。
もしかして。
昨夜殺人犯はあの廃墟に潜んでいたのか。
そこで僕は首を振った。
その可能性はない。
何故なら
僕がメシモリをあの場所に連れ込んだのは
偶然だからだ。
殺人犯が先回りすることはできない。
ならば。
僕は誰かに尾けられていたのか。
メシモリを尾行している僕を
誰かが尾行していた。
そう考えるとゾッとした。
だが。
明野の坂を登っている時、
たしかに歩道には僕とメシモリしかいなかった。
ならば車か。
しかし。
歩道の街路樹が運転手の視界を遮るはずだ。
昼間ならまだしも、
夜であれば歩道の人間を
見分けるのは困難なはずだ。
いや・・。
自転車に乗った人間を見分ける場合、
その限りではないのかもしれない。
なぜなら。
自転車の灯りが
そこに人がいるということを
はっきりと告げているからだ。
昨夜、
僕が目印にしたのも、
メシモリの押していた自転車の灯りだった。
部屋のテレビはいつの間にか
芸能ニュースへと変わっていた。
僕はただぼうっと画面を見つめていた。
身体に力が入らなかった。




