第15話 密林の中の泉
ブロック塀に囲まれた敷地内は静かだった。
道路を走る車のライトもここまでは届かない。
ただ月明かりだけが
ぼんやりと周辺を照らしていた。
まるで別世界に迷い込んだかのようだった。
僕はブロック塀の陰に自転車をとめて
ぐるりと敷地内を見渡した。
広い駐車場には所々において
雑草が伸び放題に背を伸ばしていた。
視線の先には5階建ての
鉄筋コンクリートのアパートが2棟。
その無機質な建物を見上げて
僕はブルッと身震いした。
それから頭を振って入り口に戻った。
ブロック塀に体を寄せて
僕はそっと表の様子を窺った。
街路樹の向こうをポツポツと車が走っていた。
坂の下へ目を向けると小さな灯りが見えた。
目を凝らすと、
俯いた姿勢で自転車を押している
メシモリの姿が確認できた。
僕はふたたび塀に身を潜めて耳を澄ませた。
時折、
道路を走る車の音が聞こえた。
額から汗が流れ落ちた。
しばらくすると
自転車のチェーンのキリキリという音と、
コトコトという足音が聞こえてきた。
そして。
塀の外を通り過ぎる気配を
微かな雑音と共に感じた。
僕はそっと顔を出した。
自転車を押すメシモリの後姿が見えた。
微かな雑音の正体は
彼女のイヤフォンから
漏れている音だとわかった。
僕は塀から身を乗り出し、
最後にもう一度周囲を確認した。
坂の上にはメシモリの後姿だけが存在していた。
坂の下には誰の姿もなかった。
今だ。
僕は素早くメシモリの背後に駆け寄った。
首に腕を回し一気に絞める。
メシモリが声を出すよりも先に
僕の腕が彼女の細い首に食い込んだ。
自転車が倒れる音が周囲に響いた。
僕は力を緩めずそのまま絞めながら
敷地内へと引きずり込んだ。
その時点で
すでにメシモリの体は力を失っていた。
入り口の脇に一旦メシモリの体を横たえて、
すぐに自転車を回収しに戻った。
自転車を塀の陰にとめてから、
僕はメシモリの体を抱えて
建物の近くへと運んだ。
これで仮に通りがかりの誰かが
入り口から覗き込んだとしても、
こちらに気付くことはないだろう。
僕は一度大きく深呼吸をしてから
メシモリの制服に手を掛けた。
首のリボンを取ってから、
白いシャツのボタンを上から外していった。
下から黒い下着が現れた。
脱がせたシャツとスカートを
畳んで傍に置いてから
僕は一度立ち上がった。
それから下着姿のメシモリの体を
上から下までじっくりと観察した。
こうしてみると日頃の憎らしさは影を潜めて、
まだ未熟ながらも初々しいエロスを感じた。
彼女の体をうつ伏せにしてから
ブラジャーのホックを外して抜き取った。
次に下着を下ろした。
若干開いた両足の間には
密林とその奥にキラキラと光る泉があった。
その泉を見て僕の下半身は、
まるでそこが生命の主体であるかのように
激しく脈打っていた。
雲一つない夜空に
堂々とその存在を晒している満月だけが
僕の行為をじっと見ていた。




