無事、城からアジトに帰還しましたとさ
さてさて、アジトに戻った俺だったが―――帰還早々、皆に囲まれることとなった。
そこには、一緒に城に赴いていたはずのニールのアニキやモッチ、ドラ、果てはオヤジの姿まであるのだが、皆が俺の話に興味津々だった。
どうやらこの一ヶ月の間に、オヤジ達は一度アジトに戻っていたらしく、一月後に俺を迎えに来ることが予定として組まれていたのだとか。
言えよなぁ、最初に。そういうのは。
おかげで、団に見捨てられたかと思って心細かったんだぞ俺は。
まぁ、それも―――。
「また豪勢な褒美だよな、少しの間だけでも城に住まわせてくれるなんてさ」
「ソウジはどうやら姫に気に入られたらしいから、それを知った陛下のご厚意だ」
「モッチもドラも、アニキ達、他人事だと思ってません?」
「他人事だが、羨ましいぞ、このっ、このっ」
「痛たたた」
ニールのアニキにヘッドロックされながら、俺は城での生活が俺に対する褒美であったことを今知った。
えっ、姫様のお守りをするのがご褒美……?
って感じなのだが、今さら首を傾げたところで、俺の一ヶ月は戻ってこない。
王様め、どうやら俺のことを子供だと思って、都合よく使ってくれたらしいな。
褒美なら、俺が姫様への魔法のプレゼンの際に砕いた魔石(の原石)を補償してほしいところだ。
後から余計に、アレが貴重品だったと分かって少し凹んだ。
「城での生活はどうだったよ?」
「貴族生活一ヶ月体験もなかなか悪くありませんでしたかね」
「貴族って、お高く留まったやつらのことじゃねぇの?」
ニールニキ達は帰りに我慢していた分、そしてアジトに残っていた面々も興味津々といった感じで尋ねてくる。俺も苦々しい顔ばかりはしていられない。王様にしてやられたと思いつつ、話すべき内容はそれなりに盛りだくさんだったからな。
「それは人によるでしょう、貴族にも色々いるようでしたよ。少なくとも姫様は同じ子供って感じでしたし、何か感じの悪そうな大臣はともかく、俺によくしてくれた衛兵も、遠目に見守っていた貴族の方々もいましたし」
「ハハハッ。はっきり言うじゃねぇか!」
俺は城での生活のことを詳らかに、かつ正直に語った。良くしてくれた人についてはそのように、邪険にしやがってくれた方についてもそのように。
舌が乗るに任せ、お転婆な姫様との日常についても語ると、ほんの一部のメンバーが顔を顰める場面もあった。
やはり、恵まれた境遇に生まれた者に対して、思うところのある人間もいるということだな。
そういった者達の顔色も見ながら、俺の話はオヤジ達が城まで迎えに来てくれた場面で幕切れとなる。
「なかなか聞きごたえのある話だったな!」
「ソウジ、話すのも上手いな、思わず聞きいっちまったぜ!」
「うまいと言えば、話しに出て来た料理、ありゃ多分砂糖漬けとかなんだろうけどよ―――」
反応は上々。俺という子供の体験談だが、話し手の中身はサラリーマンなので、それなりに皆も食いついてくれたのだろう。
「―――ソウジは夕飯の準備に入る! テメェらも残った仕事を片付けろよ!」
オヤジの一言でその場はいったん解散となり、また日常へ回帰する俺達傭兵団なのだった。
「………フンッ!」
※まだ、洞窟の隅っこの方で少しご機嫌ナナメなエレンちゃんを除く。




