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【毎日更新】ユウシャ・イン・ワンダーランド ――ゼロ・ローグ―― ~異世界に来た元サラリーマン、異世界ライフのスタートは野盗の群れでした~  作者: むくつけきプリン
お城に招かれて

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世情に思いを馳せる

 俺が城から脱走しない方がいい、というのは分かったが、しかしそれにしては厳重だとも思っていた。

 鳥かごに入れられてしまった可哀想な一般人くらい、放逐したって別に構いやしないと思うのだが………そうはいかない事情があるのか。

 聞けば、許可証なりを携帯している身内に対してだって、持ち物検査のようなことをしているそうじゃないか。

 何だか厳重だと思った。

「なんか………その辺かなり厳しい、というか厳し過ぎません?」

 王族のいる城なのだから当然かとも思いきや、軟禁生活中は姫様を相手にしている時間以外、もっぱら俺の話し相手になってくれている衛兵の男性が、質問に答えてくれた。

「厳しいというか、ま、普通かもしれんな」

「言うほど普通ッスかね?」

「王族が住んでるんだから当然とは思わないか?」

「それにしては、何というか………何か、焦ってるように感じたんスけど」

「ああ、そうか、知らん可能性もあるのか………」

「?」

 俺の反応に何か思い至った様子の衛兵は、ボソッと独り言を呟いた後、衝撃の発言をする。

「戦争やってんのさ」

「戦争……ですか?」

 思わぬ言葉が出て来て、俺としては一瞬だけ思考が止まる。

「どこと?」

「魔族だよ」

「魔族………」

 そんなことも知らなかったのかと、「やっぱり」みたいな反応をされた。おのぼりさん感が出てしまっていたか。

 ただ、良い機会だ、聞いたことのない話だったので少し詳しく聞いてみる。

「すみません、俺、田舎者過ぎて知らなかったんですけど、世の中では人間と魔族が戦争してるってことですか?」

「そうだ」

「魔族……って、魔物みたいな人間ですか?」

「ま、似たようなもんだな。エルフみたいなのも一部の過激派が参加してるらしくて、そういう亜人みたいなのが余計に戦争をややこしくしてる」

「へ、へぇぇ………」

 エルフ。亜人種。

 戦争。

 俺には馴染みのない世界の話過ぎる。ファンタジー世界のものだと思っていた単語が、薄暗い現実にあり得る単語と一緒くたになって、この世界の住人の口から出て来た。

 衝撃的だった。

 そうか………と、余り歓迎したくない現実に納得する。

 俺はもう異世界に染まったつもりでいて、この世界のそういったものを、まだまだ享受していなかったということだ。

「ここは()()平和なのさ」

 姫様が入って来る時にいつも「バァン!」と開けるあの扉を見ながら、衛兵はどこか遠い目をして言うのだった。

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