王都付近ダンジョン・下層 いったん休憩
「ソウジ、魔力の残りは大丈夫か?」
「大丈夫。まだまだ余裕があるよ、ニールのアニキ」
「アルは」
「大丈夫」
「よし、いったん、そこの小部屋で野営するとしよう」
既にオヤジが入ってどっかり座っている小部屋。
ここは地下ダンジョン・下層の広い空間だが、道の分岐は少なく、小部屋へと通じる通路が数か所見て取れたくらいだ。
このダンジョンは王都も近く、今まで何度も、様々な冒険者パーティーが攻略に挑んだこともあり、蓄積されたノウハウは多い。
やはりファンタジー世界だけあって、このダンジョンも神秘の塊、なぜか定期的に構造を変化させるらしいが………その中でも特に変わらないものは、王国の方から事前に渡された冊子に記載されている。
注意事項として数多の項目がずらりと並ぶページに目を走らせる。
「ソウジ、何してるの?」
「ん、ちょっと見張りっつーか」
「一人だと危ないよ」
「ん、すぐ行くから」
「分かった」
なぜかエレンもその場に残る様子だったので、とりあえず俺は冊子に視線を戻した。
特に役立つのは、やはり、この「ところどころに描いてある小さな地図」だろう。
ダンジョン全体の地図は定期的な「ダンジョンの自律更新」みたいな仕様のせいで不要になるものの、ダンジョンの定期的なマップ更新は「様々な区画の入れ替え」に近いことが分かっているらしい。
つまり、例えば今みたいに『曲がり角の先に小部屋がある』エリアは、この先におそらく丁字路があるだろう―――という具合に、ある程度の予測が立つのだ。
もっと言えば、区画が入れ替わっただけなので、歩いた距離・進んだ距離が、今自分達がダンジョンのどの辺にいるのか、攻略は近いのかなどについての、大まかな目安ともなる。
「先は暗くて見えないな………」
松明の明かり、あるいは特殊な魔石による明かりだって、照らすことのできる範囲は限られている。
数十メートル先までは、もちろん見通せない。
果たして冊子の記載通り、この先に丁字路があるのかを確認したいところだが………何かが蠢く気配も向こうに感じる。
行けるか行けないかで言えば、当然行くことは可能だ。今まで出会った魔物は、今の俺なら一対一ではまず負けないだろう。
しかし何があるか分からないのが冒険というもの。
後から分かることだと好奇心をぐっとこらえ、俺はエレンを伴い、野営の準備を始める皆の所へ戻った。




