いざダンジョンへ
早朝に出発し、昼頃にダンジョンに着いた。
俺はてっきり、王国から屈強な男達の部隊がごっそりついて来てくれるものとばかり思っていたが………そんなことはないらしい。
ダンジョンの奥に強力な何かが現れたといっても、王国にとって即座の脅威となるのでなければ、直属の軍などは動かさないということなのだろう。
だから冒険者や、俺達傭兵団のような「何でも屋」を使っての討伐になったのだ。
気を引き締めながらダンジョンの入り口と思しき場所―――どこか、観光名所の受付みたいに、簡素な守衛所のようなものがある―――を眺めていた俺。
そんな俺に、背後からニールのアニキが声をかけてくる。
「ソウジはダンジョンは初めてだったな」
「ウス」
肉体的にはともかく(俺の身体がガキのものであるため)、魂的には同年齢であるらしいニールニキ(こちらは肉体まま)の方が、俺などよりも余程のこと経験豊富だ。
この世界のダンジョンについてだって……いやダンジョンて。
そんなもん、俺にとってはちょっと前まで完全に「創作の中の事物」そのものだった。
こうして身内に詳しい人がいると、余計に頼もしく感じるな。
「許可証を見せな」
受付のどこかワイルドな格好と口調の、顔に傷のあるお姉さんに俺達は許可証を見せる。
俺達の先頭は、王城を出てからこっち、ずっと無言だったあのむくつけきオヤジなのだが………。
「アンタら、王国の依頼で来たんかい」
「そうだ。後ろのやつらもな」
オヤジの見た目にも構わず、ほぼ対等にやり取りをしている。頭に巻いたバンダナも年季の入ったもので、もしかしたらあのお姉さん、結構な歴戦の戦士なのかもな。
お姉さんが俺達に順に目を合わせていくと、ニールのアニキもモッチもドラも軽く会釈をしていた。
「そういうことかい。ムジーク、皆の足引っ張るんじゃないよ」
「誰に言ってんだテメェ」
「あっははは。冗談さね」
気さくな人……だからか。オヤジとは、余りにもくだけたやり取りをしている気がする。
「はい、アンタらも通んな通んな~」
そんなお姉さんに通され、俺達は大きな門の埋め込まれた洞窟へと足を進める。
俺達が根城にしている洞窟のそれとは違い、この洞窟の入り口はやたら背が高いが、奥行きがほとんどない。おそらく、この門を抜けてからすぐ、地下に続いてしまっているからだろう。
「テメェら、最後の確認だ―――」
オヤジの号令で集まった俺達は、最後に持ち物や連携の確認などを話し合い、それからダンジョンの門が守衛により開かれるのを待って、中に入るのだった。




