表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【毎日更新】ユウシャ・イン・ワンダーランド ――ゼロ・ローグ―― ~異世界に来た元サラリーマン、異世界ライフのスタートは野盗の群れでした~  作者: むくつけきプリン
ライフ・ライク・ローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/58

珍しいことに、どうやら俺は星を詠まれたらしい

「その壁に施した隠匿魔法は、テメェが壊したんだな?」

 その辺からヌッ……と姿を現したオヤジに問われる。

 オヤジ……もとい、俺が今世話になっている、この洞窟住みの野盗の皆さんの親玉。耳の下から顎の下までを覆う、黒く濃い髭、鋭い目つきやゴツい身体に刻まれた無数の傷がトレードマークの、いかにもな感じの強面(こわもて)の中年男性。悪そう、強そうっていうのが第一印象だが、彼は意外にも身内に対して面倒見が良く、彼の一存で俺はここに置いてもらっているようなものなので感謝はしている。

 そして何より腕っぷしが本物だ。脳筋に見えて、実は気配を殺すのも得意だったりと、まるで我が故郷に伝わるニンジャの欠点を補ったような能力を持っている。

「すみません、俺が壊しちゃった、と思います………」

「なんだ、そうか………」

「へっ?」

 オヤジは、隠し部屋らしき区画への通路を隠ぺいしていた魔法的な仕掛けを俺が壊してしまったことについては、それほど責める気配を見せなかった。

「次からは気を付けろよ」

「へ、へい! もう壊しません!」

 やや身構えながらの応答だったが、どういうわけかオヤジの様子は淡々としたもの。

 何だろう。何か、それが些事になるような他の重要な問題があるのだろうか。

「………爺さんは眠ってるな」

「はい……ちょっと話したら、また」

「だろうな。もう長くねぇんだ」

「……そうなんですね」

 あの爺さんを見た時から分かっていたことだ。

 この世界ではあれほど歳を取った人間を見たことがないのもあるが、やはり、かなり老いた部類の人間だったのだろう。

 視線を切って少しばかり考える素振りを見せた後で、オヤジは再度俺に向き直る。

「とにかく、()()を見られたんなら仕方ねぇな。とは言っても、他にも知ってるやつはいる。テメェもその仲間入りをしたに過ぎねぇ」

「あ、そうなんですか?」

 意外にも、誰にも知られてはいけない存在とか、門外不出の秘密というわけではないのだろうか。

 あの老人は………やはり、隠されているのには理由があるとは思うのだが。

「ただし―――外で、あの爺さんの話題はナシだ。分かったな」

「は……はい」

「………」

 オヤジは俺に言い含めると、またわずかに考え込む素振りを見せた。

「んで、爺さんに何か言われたか」

「えっと………」

 とりあえず、他にも爺さんの存在を知っている人間はいるようだし、今は怒られる心配もないだろうと判断して、先程の顛末を正直に話してみる。

 何か不思議のカラクリが明らかになるかもしれないし。

「何を話した?」

「何か、星が騒がしい? みたいなことを言ってて―――」

()だとッ!?」

「うわびっくりした」

 ガッ、と両肩を掴まれて、オヤジの顔が正面に迫ったから、俺は咄嗟に身の危険を感じた。

 むくつけきオヤジなんぞに唇を奪われたら、俺はもうどこにもお嫁にいけなくなってしまう。ちなみにこの世界で専業主夫を目指すのは、なかなかキビしいだろうけどな。

「待ってください俺には何のことだかさっぱりでっ―――」

「爺さんが……爺さんが、()()()()()ってのか!?」

「えっ………いや、どうかな、星が騒がしいって言われて、なんか………」

 爺さんが言っていた「俺のせいで」星が騒がしい、みたいなニュアンスをそのまま伝えて良いものか迷ったので、少しボカしておいた。何かトラブルが起きた時に俺のせいにされちゃたまらないしな。オヤジのこの剣幕もちょっと怖い。

 あと、俺が異世界から来たということを爺さんには一発で看破されたが………他の人には俺の口から言うことはしないでおこうと思っている。バレた時に「言ってなかったっけ?」とトボけながら打ち明ければいい、くらいのマインドである。

「爺さんが星を詠んだって………何年ぶりだよ………」

「……?」

「腐っても星詠み………その能力は、まだ残ってたみてぇだな………」

「……??」

 俺の肩を掴んだまま、オヤジは部屋の隅っこかどこかに目を遣って、ボソボソと独り言。

 なになに怖いよ。何なのさ。そろそろ俺にも教えてほしいな?

 星、星、って、まさか夜空に輝く無数のアレのことじゃないんだろう?

 ―――星詠み。

 その言い回しは、俺のいた元の世界にも存在した。しかしあそこでは、「占い師」くらいの意味合いだった気がするが………。

「爺さんのその言い回しからすると、やはりテメェはとんでもねぇ星の下に生まれたらしいな」

「……っ、そ、そうなんですかね………」

 今のオヤジの言い回しから、俺が異世界の出であると看破されたかと思ったが、何にせよ俺という人間が少々ヘンな…数奇な運命にあるだろうことは、察せられてしまう。

 何だろう。これが何か壮大なドッキリだと言われた方が、まだ救われるかもしれない。俺がこれからどんな不利な扱いを受けるか、その可能性を考えるだけで身が竦む。

 それほど大袈裟な問題でないことを祈るばかりだが―――。

「俺からも爺さんに話を聞いておく。テメェは沙汰を待て」

「へ、へい……!」

 うわ、怖っ。

 どうしよう、こっそり夜逃げの準備とかしておいた方がいいのだろうか………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ