仲間の吉報
俺とエレンは、冒険者生活においてこれ以上ないほど頭角を現したと言えるだろう。
全八等級の中、最下級から駆け上がって五番目、超級冒険者。その上には英雄級、伝説級、神話級と、勇者とその仲間がなるような等級しか残っていない。一般人としては最高位とも言える。
「ま、テメェらならそんくらいは行くだろうな」
とはオヤジの言だ。彼は傭兵団の洞窟に戻った俺達の報告を聞いて、大して嬉しそうでもなく、さも当然といった風に一言だけ。後は以前の、普通の生活が待っているだけだった。
「ニールが戻って来て洗濯してるだと」
「おうソウジ、お前どこほっつき歩いてたんだよ」
とはいえ大半の人間には俺達の進退など知ったことではないのだ。俺が以前までやっていた(独占していた)洗濯当番、今は他の面々の持ち回りで行っているようで、今日はニールのようだ。
「今日は遠征組に混ざらないのか?」
いつもオヤジやニールは忙しそうにしていたから、気になってそう尋ねてみたのだが。
「オヤジにハブられたんだよ。今あの人は準備してるが、そのうちここを発つだろう。だが俺はここで留守番だ」
「ああ、だから一人寂しく洗濯を」
「うるせぇ、寂しくねぇよ」
団員の衣服の洗濯は多量の水と石鹸を消費する。そして何より重労働でもあるから、余程の物好きでもなければ率先して行う作業ではない。
「………子供が生まれるんだ」
「こ、こここ子供ぉッ!?」
ニールの衝撃のカミングアウトに、俺はビックリ仰天。
聞けば、どうやら彼の結婚した別勢力の女の人が、身籠っているらしい。
あ、あのニールが、もうすぐ父親に、ねぇ………。
俺とエレンが一年近く冒険者生活にかまけている内に、こちらもまた時が動いていたのだなと実感させられる情報。
「名前は? 名前は決めてるのか?」
「いや、まだ―――」
どうせなら根掘り葉掘り聞いてやろうとしていたら、装備品のメンテナンスを終えたエレンが洞窟内から出て来た。鎧はピッカピカ、腰に差した剣の鞘も新しいものに取り換えられている。
「エレン。ニールさ、そのうち、お嫁さんとの間の子供が生まれるだろうって」
「こ、こここ子供ぉっ!?!?」
エレンも俺と同じようなリアクションで仰天していたのが面白かった。




