グリフォン討伐を果たした者(2)
いつの間にか辿り着いた“超級”冒険者。
この世界における冒険者の等級としては、初級、中級、上級、超上級、超級、英雄級、伝説級、神話級とある。
英雄級辺りから上の、超位の等級については、勇者かその仲間達が獲得する等級であるらしいことを聞くに―――現在の俺の到達した超級という等級に関しては、常人としてはほぼ最高位と言って差し支えないだろう。要するに「到達する者がいれば巷には一気に噂が広がるレベル」ということでもあり、勇者でもない俺、しかも成人年齢前後と見られる子供が到達する等級としては破格らしい。ご近所でも有名というやつだ。
初級から数えてみると五番目にもなる等級。俺としては「大分ランクを上げたな~」というところだ。
この俺が、超級……マスターランク……マスター………つまり“達人”だとッ!?
………いや、そう考えると「上げ過ぎたかなぁ~……」という感じかもしれない。
もちろん、俺とエレンの実力が相応に評価されたことにも嬉しさを感じないわけではない。というか普通に嬉しい。鼻高々だ。
とはいえ、素直に実力を示し過ぎても、良くないことを招き寄せることになるとは危惧している。
もとは、命を賭して俺達を逃がそうとしてくれたヒーミルに対して不義理は働くまい、誠意を示すんだと出した本気。それが大事になっていることへの戸惑いは、もちろんある。
俺はそもそも異世界人。少なくとも、この魂には元の現代日本での生活の記憶がある。
しかし、世界を渡る際、つまりこの世界に来る際に、女神との邂逅もなければ当然チート能力を授かったりもしていない。スマホとか魔剣とか、頼りになるチートアイテムを受け取ってもいない。死んでもおそらく時は戻らず、何回も生き返らせてくれるポンコツ女神などもいないのだ。
いるとすれば、ちょっと喧嘩っ早い美少女。俺の後ろをぴったりと離れずついて来る、このプラチナブロンドの長い髪の美少女だけだ。
コイツも荒くれ達の巣の中で出会った親無し子。
この世界を逞しく生きる、子供達の内の一人。
エレンとは一緒に修行しながら育ったようなものだし、実力は俺も保証してやれる。
実力は確か。ただし、“戦力”、つまり味方も含めた総合力を考えた場合に、俺とエレンの二人だけでは、俺が元の世界に戻るまでの安全が担保されたとまでは言えないのではないか。
こんな調子で、チート級の強さを持ちながら話の通じないやつに出会ったら、一発アウトな気がする。
考え事は尽きない―――。
「【魔装体術】が切り札なのはいいとしても、これがどこまで通じるかは疑問だからな。切り札は大いに越したことはないんだし」
結局、自己研鑽というものに終わりはないのだろう、などとしみじみ考えることになった。




