8:フラグ回避のプラン
幸いなことに、ヒロインであるソフィアはまだこの天界にいない。
なぜそう思うのかというと、乙女ゲーをやっていた私になら分かる。
ソフィアは上級天使ではなく、ただの天使に部屋と『役割』を紹介される。でも類まれな天使の力を認められ、本来上級天使しか許されない学校へ入学してくる。で、上級天使である私は、ただの天使のソフィアと知り合うことになる。そこから私の……悪役令嬢ポジションのアリエルとしての活躍が始まるに違いなかった。
でも、そうはならない。私はソフィアが上級天使ではなく、ただの天使として学校へ現れても、バカにしたり、いじめたりはしない。むしろマティアスと結ばれるよう、陰ながら手を回す……応援する。
そうすればフラグは回避できる。
それにまだ私はガブリエルとは出会っていない。
それは自分の記憶でも確認済みだが、念のため、アクラシエルにも聞いてみた。
「ねえ、アクラシエル。私、婚約者いないよね? 大天使ガブリエルが婚約者だったりしないよね?」
私の問いにアクラシエルは驚き、手に持っていたパンを皿の上に落とす。
「アリエル、どうした? 何か悪い物でも食べた? ガブリエル様と婚約? まさか。どうやったら会ったこともないガブリエル様と婚約できるんだ!?」
この時、私は心の中で「よしっ!」と叫んでいた。
そしてこの瞬間、私の人生設計……天使生設計?が出来上がった。
ソフィアとは仲良く&マティアスを攻略しない&ガブリエルとは結ばれない&ソフィアとマティアスのハッピーエンドを応援→悪役令嬢ポジションに待ち受ける悲惨な末路フラグを回避。
「大天使の宮殿への宮仕え」で、入浴の手伝いという『役割』を得るために猛勉強→美しい大天使の体を拝み、末永く幸せに暮らす。
天使の命は永遠だから、大天使の宮殿を渡り歩いてもいいかもしれない。
ただし。
ミカエル様だけは不可侵。
遠くお噂を聞くだけで十分。
私はゲームの試供版に描かれていた麗しいミカエル様の姿を頭に浮かべ、ため息をつく。
「ねえ、アリエル、今日一日なんかおかしいけど、大丈夫?」
夢想していた私は、アクラシエルの一言で現実に戻された。
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次回更新タイトルは「ルーチンの設定」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは明日もよろしくお願いいたします!
【お詫び】
昨日更新分ですが、冒頭が唐突になっていたので加筆しました。
修正前より理解しやすくなっているといいのですが。
昨日読んで「?」となった方は、よかったら修正版をご覧ください。