4:超親切心からの采配だと思うケド
ようやく、ようやく理解した。
私は……雛月カナは死んだのだと。
思い起こせば物凄い激痛が頭に走った記憶がある。
あの痛みの後に、目の前が真っ暗になっていた。
真っ暗になり、その後即死したかは分からない。
でも三連休前の金曜日の深夜だ。
もし即死でなくても、助けなんて来ない。
だからきっと……。
私は死んだのだ。
そしてなぜか転生した。
『千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~』……略称『千年片想い』という乙女ゲーの世界に。
乙女ゲー。
それは私にとって心のオアシス。
大学時代の友人にすすめられ、最初は話しを合わせるために気軽な気持ちで始めた。ところが恋愛経験ゼロだった私は乙女ゲーの世界観にどハマりし、そこで恋や愛を学び、18禁版で大人の世界を知った。
その後、幅広く遊ぶスタイルから、お気に入りタイトルをやり込むスタイルに代わり、最近では三つほどのタイトルをじっくり攻略して楽しんでいた。だからもし、『黒い魔女と8人の騎士』『聖女物語~青の章~』『亡国の姫君』という乙女ゲーの世界に転生できていたら、飛び上がって喜んでいただろう。
だが……。
なぜに未プレイの『千年片想い』の世界に⁉
死ぬ直前にプレイしようとしていたのは事実だ。
もしかして神様は、プレイしようとしていた私の気持ちを汲んで、この乙女ゲーの世界に私を転生させてくれたのだろうか。
だとしたら……文句など言えない。超親切心からの采配なのだから。
でも……。
全く、ゲームの展開が読めない‼
分かっていることは、小説版の知識のみ。
ゲーム版については、小説に登場するイケメンを攻略していくらしい、という漠然とした情報しか持ち合わせていない。
小説と連動した内容なら、まだなんとかなる気がした。
でも早速「学校」という、小説では一度も出てことなかったワードが、飛び出してきている。恐らく、ゲームは小説とは違うストーリー展開なんだ……。
小説とは違うのであろうが、私が転生したアリエルは確かに小説にも登場している。
とても美しいが、ヒロインに嫌がらせをする悪役だ。
つまり、乙女ゲーで言うところの「悪役令嬢」という立ち位置にいるキャラクターである。
アリエルの最後は……小説では確か地上へ堕とされ、天使から人間になっていた。
地上へ堕とされる……。
そう、『千年片想い』は天使や悪魔が登場し、地上、天界、魔界を舞台とする作品だった。
小説の知識から想像する乙女ゲーの世界は、こんな感じだと思う。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
本日は2話公開です。