32:どうしたって悪役令嬢ポジション
今、ソフィアは、攻略対象の一人、ガブリエルと一番親しい状態にある。
ガブリエルは本来アリエルと結ばれるはずだから、ソフィアがこのままガブリエルを攻略対象と定め、このルートへ突入すれば……。
婚約はしていないので、片想いの相手を奪われたことになる。
私は……間違いなく、ソフィアをいじめ抜くことだろう。
そう思う一方で、ヒロインがガブリエル攻略ルートを選び、アリエルが悪役令嬢ポジションになってしまうのは……それでも仕方ないと思えた。だってそうなる明確な理由があるのだから。
だが他は……。
例えばアクラシエル。
アクラシエルは今のところ、アリエルにとって親友だ。
その親友の想い人に、ソフィアがなる……。
別に構わないのではないか、と思う。いじめる要素が想像できない。
でも私はこの乙女ゲーを未プレイだ。ソフィアがアクラシエルを攻略対象に選んだ瞬間に何かが起き、私が悪役令嬢ポジションに早変わりする可能性は……ゼロではなかった。
ではラファエルはどうだろう。
気絶した際に助けてもらったし、さっきは見学をする許可もくれた。
でも。
それだけだ。確かに男前だし、その姿を見て、声を聞けば、ドキッとはする。でもラファエルをソフィアが攻略対象に選んだとしても、それを阻止する理由が思いつかない。
いや、あるとしたら……。
アクラシエルがアリエルに泣きつくとか?
現状、アクラシエルがラファエルを好きになっている気配はない。だがもしかするとソフィアがラファエル攻略ルートに入ると、アクラシエルが「実はラファエルのことが好き」と言い出すかもしれない。そして親友であるアリエルに頼み、ヒロインの恋路をアクラシエルと二人で邪魔する……悪役令嬢ポジションになる可能性は無きにしも非ずだ。
それではウリエルは?
ソフィアがウリエルを選んだら……。
ウリエルがプレイボーイであることは分かっている。
それでもウリエルの接し方は、私を、アリエルを、かなりドキドキさせるものだった。
でも、癒しの力が強いのに「神官」ではなく、「大天使の宮殿への宮仕え」の『役割』を希望していると話した瞬間。興味を失われた。
だからウリエルがソフィアに向かっても……。
でもウリエルには、あまりにもドキドキさせられていた。
多分、ソフィアに対する嫉妬から、悪役令嬢ポジションになってしまいそうだ。
そして最後に、私はある大天使の姿を思い浮かべる。
パッケージに描かれていた、完璧な美貌、黄金比の肉体、頭脳明晰で優秀と、まさに天界の至宝であり、私の推しであるミカエル様のことを。
ソフィアがミカエル様攻略ルートを選んだら……。
もはやそれは私がアリエルであることとは関係なく、絶対に邪魔をするだろう。それでもしフラグが立つことになっても……。
我が人生に悔いなし、だ。
不可侵のミカエル様に手を出すなど、言語道断ということだ。
……。
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