31:ディスりまくり
ともかくソフィアが快諾したので、ガブリエルはソフィアを連れ、天界軍騎士総本部へ向かった。ソフィアの騎士登録は即行われ、その場で弓の腕前も確認される。見事お墨付きをもらったソフィアを連れ、ガブリエルは地上へ向かった。
小説でガブリエルは、マティアスを無理矢理悪魔狩りへ連れ出すのだが、その時は天界軍騎士総本部へは向かわず、もう強引に地上へ連れ出していた。
対してこのゲームの世界では、ソフィアの騎士登録をきっちりしている。それはなんだかガブリエルが、外堀を埋めているというか、真面目なソフィアが逃げ出せないようにしている。そんな風にも思えてしまう。
「もう天界軍騎士総本部で騎士登録をしたのだから、ソフィア、君は騎士なんだ。ボクと悪魔狩りに行くのが、君の運命なんだよ」みたいな。
それにしても。
ガブリエルがいれば、ソフィアともう一人いるらしい男性の天使は、やることがないはずだ。ガブリエルの弓は一撃必殺。ほんのわずかでもかすめれば死亡確定だ。しかも矢の威力が凄まじいので、一体の悪魔を貫いた矢は、そのまま貫通し、近くにいる悪魔も貫くわけで。
それでもソフィアは自分が騎士であり、悪魔を狩る必要があると理解すると、率先して悪魔を狩ろうとした。その結果が……あの血みどろのキトンだ。
ガブリエルが真面目だったように、ソフィアも真面目だった。
だから本来悪魔を狩るような性格ではないのに、自分の役目を果たすため、ちゃんと悪魔を狩っている。
真面目過ぎるのも問題だと思う。
……。
というか、ソフィアを見つけだすまでは良かったと思う、私。
見つけて話しかけたところまでは……普通だった。
だがそこにガブリエルが現れた瞬間から、アリエルの本能とも言えるゲームの設定が反応していた。
つまり、アリエルはゲーム設定により、ガブリエルに恋をしている。あらがえない力で、完璧にガブリエルに魅了されていた。そのガブリエルがソフィアと親し気なのだ。
アリエルの本能に、スイッチが入る。
どうしてもソフィアをマイナス思考で見てしまう。というか嫉妬?
ソフィアに関わっているガブリエルに対し、怒りを感じてしまう。間違いなく嫉妬。
既に二人から話を聞いた私の脳内では、ソフィアとガブリエルのことをディスりまくっている。
ヒロインご都合主義、ナンパ、体目的……etc……もう、ディスりまくりだ。
あれだけ、ソフィアをいじめない、と誓っていたのに。
本能とも言うべきゲーム設定が発動すると、こうもヒドイ思考になってしまうとは……。ソフィアがマティアスではなく、他の攻略対象を選ぶことを検証していなかったのは、完全に私のミスだ。これまで数えきれないぐらい、乙女ゲーをやっていたというのに。
今、私は笑顔で会話をしている。だが頭の中では、フラグのことで、頭がいっぱいだった。
マティアス以外の攻略対象をソフィアが選んでも、私は――アリエルは、悪役令嬢ポジションになってしまうのか、この点が気になって、気になって仕方なかった。
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次回更新タイトルは「どうしたって悪役令嬢ポジション」です。
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