2:これでは乙女ゲーができない
目覚めると、部屋の中がいつもより明るかった。
遮光カーテンをひいている私の部屋は、朝が来てもいつも薄暗い。
おかしい……。
おかしいのは、それだけではない。
私は目が悪かった。
近視だからメガネをかけないと、遠くのものはハッキリ見えない。
それが今はくっきり見えている。
見えているのだが……。
見えている物すべてが、見覚えのないもの。
ワンルームの私の城にあった家具は、ベッド、ローテーブル、TV、チェスト、あとは備え付けのクローゼットぐらい。それが狭き空間にぎゅっと凝縮されていた。
だが今見えている部屋は……。
私のワンルームにはなかった、ソファセット、ダイニングセットが見えている。
しかもワンルームに違いなかったが、そんなセットを置いてもなお、床が見えるぐらい広かった。
でもこの部屋には……。
TVやパソコンがない。
これでは乙女ゲーができない。
いや、それよりもこの部屋は一体……?
いつの間にこの部屋にやってきたのだろう?
首を傾げたその時。
頬に触れる髪に気づき、胸のあたりまである髪を見て「ええええ」と声を上げていた。
声をあげてさらに驚く。
声が、声が、私じゃない……。
何が起きている⁉
急に心臓がドキドキして不安になる。
よく見ると、昨晩着ていた推しのSDキャラがプリントされたスエットではなく、白いギリシャ神話の登場人物が着ていそうな服を着ている。
なんで⁉
‼
手を見ると肌の色も変わっている。
ど、どーなってんの⁉
私はベッドから飛び起きた。
その瞬間。
自分の胸が弾むのを感じる。
私の胸はBカップだ。でもこれは……多分、CかDはある‼
身長も伸びた気がするし、手足もすらりと長い。
これ、絶対、私じゃない……。
か、鏡、鏡―っ!
本日公開分をお読みいただき、ありがとうございます!
次回更新タイトルは「あなたはどなた?」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは明日もよろしくお願いいたします!
★★女性読者も楽しめる物語★★
『異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~』
https://ncode.syosetu.com/n0117hx/
現在、【Episode2】テルギア魔法国捜索編が更新中ですが
5話に渡る回想があるので、こちらを読めば
【Episode1】未読でもお楽しみいただけます!
試し読みのご検討、お願いします。
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編
婚約者に襲われた美少女ヴァンパイアのベリル。
大量出血したベリルは、失った血を補給するため、
拓海を召喚していた。
召喚者のベリルと供物の拓海。
童貞のまま死にたくないという拓海にベリルは
「吸血時に注入する魔力は全身に強い快感をもたらす。
例え童貞だったとしてもめくるめく快楽で、
あたかもそれを喪失したかのような気持ちで逝ける」
と言うのだが……。
【Episode2】テルギア魔法国捜索編
レッド家次期当主は、本当はベリルの兄・カーネリアン。
でも彼は魔女にさらわれ行方不明に。
現状次期当主であるベリルと拓海の関係は、
カーネリアンが次期当主に就任しない限り、
変えることはできない。
拓海は旅の仲間を集め、
魔女とカーネリアンがいると目される
テルギア魔法国へ向け旅立つが……。