16:イケメンな騎士の肉体美を見るチャンス!?
冷静に考えると、私が行うわけではないが、神官は帰還した天使の清めを行う。
ということは……
間近でイケメンな騎士の肉体美を見ることができる……!!
でも。
私はイケメン及び男性に対する耐性がない。
目が釘付けになったり、顔を赤くしたりしていては、実習をこなせなくなる。
せっかくのチャンスであるが、仕方ない。
今回は極力イケメンの肉体美は見ないようにしよう……。
そもそも耐性がないから、見てもいい、となっても、どうせろくに見ることはできないだろうし。
そんなことを考えていると、続々と天使が帰還した。
「!」
女性の天使の騎士だ。
左右の髪を少し残し、残りの金髪は、後ろにきっちりまとめられている。キリッとした瞳は、綺麗な碧。手足はほっそりとして、肌は雪のように白い。でも腰には剣を帯びているし、手には弓、背には矢筒をおっている。
可憐だが凛とした女性の騎士は、純白の翼を収め、アクラシエルのいるエリアの方へ歩いて行く。
「アリエル」
押し殺した声で呼ばれ、私は慌てて我に返り、神官から剣を受け取る。
受け取った剣を手に、すぐに武器を収める小屋へ向かった。
剣を癒しの力で清める。そして武器を管理する天使に清めた剣を渡し、自分の担当する神官の元へ、急いで戻る。
私が受け取った剣の持ち主は、もうそこにはいない。
周囲を見るが、神官の動きは無駄がなく速かった。
だから……。
ほんの一瞬でもイケメンの肉体美を見るチャンスは――
「アリエル!」
「はいっ」
私は慌てて神官から槍を受け取る。
イケメンの肉体美を見るチャンスも余裕もなかった。
◇
実習は一時間の予定だったので、間もなく終了だ。
あっという間の一時間だったと思う。
武器を受け取り、小屋まで運び、清め、元いた場所に戻る。
その繰り返しだけだったが、悪魔狩りから戻る天使は沢山いた。
それはそうだろう。
地上のありとあらゆる場所に散っている悪魔を相手にしているのだから、相当数のパーティが、悪魔狩りに向かっているはずだ。
だから……。
単純作業だったが、とにかく忙しかった。
本当にイケメン天使の肉体美を見る余裕など、まったくない。
ただ、この時間になると、帰還するパーティの数もだいぶ落ち着いてきている。
ほっとして、隣のエルサという実習生がいるエリアを見ると……。
帰還した騎士が、エルサのいるエリアへ向かって歩いている。なんだかその騎士は、とても具合が悪そうに見えた。広げた翼をしまうことなく、重い足取りで神官の方へ向かっている。
その様子を見た神官は、早足でその騎士の元へ向かった。エルサという実習生も、その神官の後を追う。
エルサのいるエリアの隣は、アクラシエルがいるエリアだった。アクラシエルもまた、具合の悪そうな騎士の姿を見つめている。
その時だった。
騎士が地面に倒れ込み、神官が駆け寄り、その体を支えた。
手に持っていた剣は地面に落ち、エルサがその剣を拾い上げる。
すると。
神官とエルサの体が、突然黒い靄に包まれた。
!?
あの黒い靄は……魔力だ!
あの騎士は魔力による呪いを受けている!
神官はすぐに、自身の癒しの力を発動した。
だが、武器を手にしていたエルサは……。
魔力を帯びた武器を手にしたらすぐ捨てる。
そのルールを忘れてしまったのか、剣をもったままだ。
ダメ、剣を捨てないと、魔力による呪いをその身に受けてしまう。
剣を捨てないなら、自分の癒しの力で清めないと!!
気づけば私は駆け出していた。
私のモットーは「とにかく目立たず、おとなしく、平穏無事に」だ。
普段の私なら、こんな場面でも動くことはなかったはず。
でも今、私はアリエルだ。
小説の設定を、このゲームの世界のアリエルが受け継いでいるなら……アリエルは悪魔狩りにも出向く、強い騎士としての一面も持っているはずだ。
つまりゲームの設定もあり、私の体は……勝手に動いていた。
ヒュルンという風を切る音がして、エルサが手にしている剣が宙を舞った。
エルサが手にしていた剣に絡まるのは鞭。
私は倒れそうになるエルサを抱きとめ、自分の癒しの力を使った。
!!
何、この魔力。
いつもだったらすぐに清められるのに。
私は再び癒しの力を発動させた。
「アリエル、私も力を貸す」
アクラシエルの声がする。
エルサと私を抱きしめたアクラシエルが「今だ!」と叫んだ。
私はもう一度癒しの力を発動した。
アクラシエルの癒しの力を感じた。
そして。
魔力は消えた。
魔力は消えたが、その瞬間、私の体から力が抜けた。
「おっと。よく頑張ったな、アリエル」
ウリエルの声がしたと思ったら、私の体はウリエルに抱きかかえられていた。
抱きかかえられたと思った次の瞬間には、もう空を飛んでいる。
視界には誰かに抱きかかえれ、目を閉じているアクラシエルの姿が見えた。アクラシエルを抱え上げているのは、プラチナブロンドの美しい横顔の天使だ。
え、もしかしてあれは……。
そこで私は意識を失った。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
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次回更新タイトルは「アリエルちゃん、聞こえているかな?」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは明日もよろしくお願いいたします!















































