10:デート? まあ、そんな感じ
転生して一週間が過ぎた。
ソフィアはいつやってくるのかと待っていたが、未だ、ソフィアが現れる気配はない。
一方の私は、学校の勉強……効率的なベッドメイキングの仕方、宮殿にふさわしいフラワーアレンジメント、五種類のサラダの作り方などなど本当に多岐に渡り、学んでいる。
なんというかホテルのスタッフを目指しているような、花嫁修業をしているような、不思議な気持ちになりながら、勉強に取り組んでいた。
「大天使の宮殿への宮仕え」に必要な知識を学ぶのは、相応に大変だったが、「神官」の方は、難なくこなすことができた。
悪魔の血にまみれた剣も、迅速に癒しの力で清めることができたし、マネキンに着せたキトンも、素早く脱がせることができた。
すると。
教師である上級天使が、こんな話を始めた。
「今日の夜20時、悪魔狩りから戻る天使のパーティが、複数予定されています。そこで癒しの力が優秀な十名に、実習を実施したいと思います。今回は武器を預かり、それを清めることになります。手早く癒しの力で清め、武器庫に格納する。授業でいつもやっていることを実践すればいいのですが、実際の現場では何が起こるかわかりません。それに武器に宿る悪魔の魔力は時に強力です。心して取り組むようにしてください。それでは実習に参加していただく方の名前を、これから読み上げます。名前を呼ばれたら、返事をしてください」
「アクラシエル、アリエル、イザベル、エルサ……」
当然のごとく、アクラシエルと私は選ばれた。
悪魔狩りの天使が戻って来るのは、街の近くの広場だった。
その街には、困った時に駆け込む役所『天界役場』、消防・警察・病院の機能を持つ『天界救急本部』、そして美術館・博物館・図書館の三つが一つになった『天界図書館』、という重要な組織が集められている。そしてこの街を抜けた先にある丘のふもとの広場に、天使たちは帰還し、神官は清めを行っていた。
上級天使が住む邸宅から、飛んで30分ぐらいの場所だ。
私はまだ、街に行ったことがなかった。
小説では、街がどんな場所であるか書かれていたが、ゲームの世界の街がどんな感じなのか、当然気になる。
だから。
「ねえ、アクラシエル、学校は15時に終わるでしょう。その足で街へ行かない? 街を散策して、夕ご飯を食べて、時間が余ったら、丘を散策しない?」
マティアスとソフィアが婚儀を挙げるために使う神殿も、その丘にあった。
そしてその丘には夜になると精霊が蛍のように飛び交い、沢山のランタンが灯り、とても美しいと小説では描写されている。
せっかくだから見たいと思っていた。
「それってもしかしてデート?」
アクラシエルが頬をピンク色にして尋ねる。
「デート? うーん、まあ、そんな感じなのかな?」
デートねぇ。そんなの最後にしたの、いつだっけ?
「なんだか楽しみだな。うん。授業が終わったら街へデートに行こう」
嬉しそうにアクラシエルが微笑んだ。
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本日は2話公開です。










































