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閑話休題②:アイドルはやめられない

 サトウとアイナが狂気に侵され逃げ出したと同時に、一ノ瀬もまた別の狂気に侵されていた。

 青黒い異形の怪物に、恐怖心は抱いている。だが同時に、何故か、見ていると唾が溜まっていく。

(生肉食べたいなぁ……)

 だが怪物は一ノ瀬に見向きもせず、別の方向へと走っていく。

 その時、ふと、自分の荷物に湿布があるのを思い出した。思い出してしまった。ポーチから取り出し、思わずじっと見つめる。

(湿布がおいしく見えてきた……)

「一口くらい、いいよね……」

「待て!! それは食べ物じゃない!!」

 一ノ瀬の様子に気付いたヤマジが、慌てて彼女を羽交い絞めにする。一ノ瀬は拘束を逃れようと暴れ出し、大声で叫ぶ。

「私が! 今! 食べたいものを食べて! 何が悪いんだ!」

 このままではらちが明かない。そう思ったヤマジは、非常食用に持ち歩いているチョコを取り出し、彼女の眼前に差し出す。

「はい、これ食べて落ち着きなさい」

 まともな食糧を目にしたところで、一ノ瀬は我に返った。

「はっ! す、すまない。なぜだか急に湿布を食べたくなってしまって……」

 そこにイツカも歩み寄り、服のポケットに板チョコを入れていく。

「これもあげるわ」

「あ、ありがとう……二人とも……」

 顔を真っ赤にして、消え入るような声で礼を言う。その様子に、ヤマジは安堵の溜息をついた。

 イツカは肩を竦めると、他二人の狂乱者にも板チョコを渡しに行ったのであった。

アイドルは(悪食を)やめられない

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