第七話 パートナー決定!!
ここで皆様にお知らせがあります。実は作者、中学三年生で受験生のみです。なので、いつもはしない勉強もテスト前だけはしなきゃならないと言う訳で・・・パソコンを起動するのも難しいかと思います。
とは言うものの夏休みを挟んでテストまでは二ヶ月ありますから更新が止まる、と言うことは無いと思います(実力テスト?なんですかそれ?)
あの後早紀は海斗に抱きしめられながら心地よく眠りについた。その時にはいろんなショックは吹き飛んでいた。
心地よすぎる、起きるのを本能的に拒否してしまうような心地よさの中、早紀は目をさました。
「おはよう」
とその心地よさを与えてくれる、彼女の大好きな人が目の前で少し微笑みながら挨拶をしてくれた。
無意識なのかどこか物足りない、だけど十分に安らぎを与えながら頭を撫でてくれる感触に目を細めながらおはよ、と返した。
海斗はうん、と頷くとベットから降りてうーん、と伸びをした。早紀としてはまだあの状態で居たかったのだが渋々ベットから降りる。
「あ、今日も学院か・・・早紀もおんなじクラスだっけ」
「うん」
そっか、と何処か嬉しそうに呟く海斗を見て早紀も嬉しくなる。
「・・・朝飯作るか」
最早癖になりつつあるのだろう、彼が早紀の頭に手を乗せながら言う。
「うんっ」
早紀の作ってくれた料理二回目とは到底思えない程おいしい料理を食べた後、二人で学院に向かって歩いていた。
「ねぇねぇ、海斗見て!あそこに・・・」
「ねぇ海斗、好きなものは・・・」
と早紀は終始嬉しそうに喋る。彼女はそのかわいらしい笑顔を惜しみなく振りまきながら喋る。もう、嬉しくて嬉しくてしょうがない、といった感じだ。
「・・・そうだ。今日はパートナー決めの日だっけ」
とたんに早紀は不安な表情になって海斗を不安そうに見つめながら捨てられた子犬のような感じでおずおずと問いかけてきた。
「海斗、もうパートナーって決まってたり、する?」
これはやめてほしい。なにか背中がうずうずする。体が熱くなって顔が熱くなるのが分かる。
「・・・いや、まだ決めてない。早紀を誘おうと思ってたんだけど・・・」
と言い終わるか言い終わらないかといったところで早紀が食いついてきた
「本当!?本当にわたしと!?」
いきなり元気になった早紀に少し驚きながら海斗は理由も付けてみた。
「本当だよ。早紀はかわいいし、優しいから一緒に居てとても心地が良いし・・・それに俺も早紀と一緒にいたいから」
普通ならここで海斗が早紀のことを好きだと思ってることが分かりそうなものだが、早紀にも恋愛経験というのはあまりなく、これも友達としてなのかな!?それとも・・・・!!!???といった状態になっている。
それに言葉自体、早紀をベタ褒めにしているので早紀の顔は嬉しさで真っ赤になり、きゅっと海斗の袖を掴んだ。
海斗は時々心中で思っていることをそのまま声に出すことがある。それは大概本当に思っていることなのだが、それも早紀がここまで海斗にべた惚れになった一因とも言えるだろう。
「・・・う、うん・・・」
早紀はなんとか真っ赤になりながらも頷いた。
これは端から見れば思いっきりバカップルの様子なのだが、本人達にはそんな自覚症状はないだろう。それに、二人ともかなりの美形であることからして端から見ればかなりの絵になるのである。
それに、実際海斗も早紀と違って顔に出にくいだけで、早紀の無邪気な笑顔とかにも結構ドキドキしているのである。(本人に気付く傾向が全く見えないのだが)
「いこうか」
「うん」
気を取り直して二人は仲良く学院へと向かった。
「おっ・・・龍夜、志乃〜」
前方に見知った人影が見えたので声をかけた。
二人はすぐに振り向きにこやかに挨拶をしてきた。
「はよ、海斗」
「おはようございます海斗君」
「うん。おはよう」
当然ながら二人は海斗のそばに居る早紀にも気付いていた。
「・・・海斗、その娘って確か・・・」
「なんだ、知り合いだったのか・・・昨日知り合ったんだけどな、早紀っていうんだ」
海斗に促され、よろしくお願いします。と早紀が挨拶をする。
「あ、ああ・・・」
「はい。よろしくお願いします・・・」
何やら二人の様子がおかしい。早紀に戸惑っているようだった。
「ん?どうしたんだ?二人とも」
「いや、ちょっとな・・・」
二人は言いにくそうに早紀の方をちらちらと見ていたが早紀が頷いたのを見て志乃が説明し始めた。
「えっと・・・早紀ちゃんは中等部の時から氷姫って呼ばれてたの。訳は、笑わないし、あんまりその、愛想が良くなかったと言うか・・・」
海斗は一瞬耳を疑った。先ほどまでの早紀とは全く正反対のあだ名だったからだ。本当?と早紀に訪ねるとこくり、と恥ずかしそうに頷いていた。
「しかも、あの氷姫が誰かに心を開いてるし・・・海斗、どうやって手なずけたんだ?」
手なずけたって・・・と苦笑している海斗の袖を早紀がくいくいと引っ張ってかわいらしく小首を傾げていた。
龍夜の能力を分かっていない早紀に説明すると、早紀はばっと龍夜の方に振り向いた。
「大丈夫。むやみに言いふらしたりはしねーよ。しっかしお前も難儀な相手に惚れたよなぁ・・・。まぁ確かに海斗に惚れない女はそうそう居そうにないが、それ以上にこいつ鈍感だからな」
少し海斗には理解できないようなことを話していたが、志乃には理解できたようで早紀と海斗を交互に見つめてた。
「・・・なにが鈍感?」
どうやら自分のことだと思うのだが何がどう鈍感なのか分からない。
三人は少しため息を吐いて
「それだって海斗」
「すこし、それはだめだと思う海斗君」
「海斗の、ばか」
二人には攻められて、早紀には少し拗ねた様子でかわいらしく罵られた。
「だからなにが!?」
と四人は談笑しながら学院に向かった。
「よ〜し、全員居るな〜」
ドアを開けて入ってきた担任である蘭のかけ声でみんな一斉に席に着いた。
早紀の席は残念のことに(特に早紀にとっては)少し海斗達とは離れていた。
「よし、今から席替えするぞ〜〜」
ええっ!?と教室がざわめいた。何しろまだ一日しかこの席では生活していないのだ。
「パートナー決まってるだろ?原則としてパートナーは隣同士でパートナーを一塊として動かすぞ」
早紀の顔がぱぁっと輝いた。その顔は、たまたま見た隣に座っていた男子生徒が思わず硬直してしまうぐらいの破壊力はあった。
「よし、じゃあパートナーの片方でいいからこの紙を取りに来い。言っとくががこれは三年間ずっと同じだからな、後悔すんなよ」
海斗が立ち上がろうとしていたが、早紀がぴゅんっと海斗の戦闘時に匹敵するぐらいのスピードで紙を取りにいっていた。
目を丸くしているクラスメートは眼中になし、といった様子でさらさらさら〜〜〜っと達筆な字で海斗と自分の名前を書いていた。
あの氷姫が!?と教室が騒然となった。彼女の今までの評価は冷静沈着、何事にも興味がない。といったものが共通のものだったがこれは周囲の評価を大いに塗り替えてしまう出来事だった。
「海斗、これでいい?」
早紀は嬉しそうに笑いながら海斗に紙を見せた。その大抵の人は初めて見るだろう、という笑顔に男子は魅了されていた。
一方海斗はちらっと書かれた紙を一瞥してうん。と頷いて微笑んだ。その優しげな微笑みに今度は大半の女子が魅了された。
今まで人との交流を持たなかった氷姫がなぜ!?と二人は意図せずクラス中の視線を集めていたのだが、二人は全く気にしてなかった。
唯一理解しているだろう二人は顔を見合わせて苦笑し合うと、紙に自分たちの名前を書き込んだ。
どうだったでしょうか?今回は早紀の過去のちょっとした一面を紹介するつもりで書きました。皆様に楽しんでもらえたなら幸いです。
今のところは一日一回更新が続いています。このペースを守っていきたいと思います。