第二十八話 暴走!?
え〜っと、これはヤバいです。ちょっとやり過ぎです。正直投稿しようか迷いましたが投稿しちゃいます。
遠くで海斗が誰かと話しているのが聞こえる。だんだんと覚醒していく意識の中で頭を乗せているものが海斗の膝だと分かり、思わず頬が緩んだ。早紀は寝ているうちに海斗の手を握りしめていたことに気がついて手の力を緩めた。
「早紀?」
早紀が起きたのに気付いたのか海斗が早紀の頭を一撫でして早紀の心を蕩けさす優しい声で早紀の名前を呼んできた。
早紀の中で思わずこのままこの心地よい時間を過ごしたい、という誘惑と海斗の優しく微笑む顔を早く見たい、という誘惑が競り合った。
「・・・海斗」
結局は後者が勝ち、ゆっくりと眼を開けて体を起こした。
「ん、よかった。急に気を失うから心配したよ」
ほっとしたように笑う海斗をみて心配かけたかな、という気持ちと心配してもらえて嬉しい、という気持ちになった。
そのままこてっ、と海斗の肩に頭を乗せた。
「・・・本当に羨ましいわね、あなたたち」
早紀は前のほうから急に聞こえてきた声にビックリしてにぎゃっ、と変な声を出してしまった。
「・・・早紀、ちょっと話があるんだ。実はな・・・
海斗の話によると、私は目の前にいる人の娘なんだそうだ。魔族で、しかもその中でもひときわ厄介な能力を持つ淫魔だそうだ。淫魔は好きな人ができると覚醒する。その相手のことが恋しくて恋しくてたまらなくなるらしい。さらに一番厄介なのがその相手への愛情がMAXを超えてしまうと『暴走』するらしい。これは滅多にないことなのだが(その割には早紀は毎日暴走しているが)これは普通相手と交わるまで止まらないらしい。
それが抱きしめられるだけで止まったということはそれだけ相手からの愛情が大きいからだそうだ。『暴走』は交わって愛情を捧げられてようやく収まる。だけど海斗が早紀に捧ぐ愛情が交わる時並みに大きかったからそれで早紀は満たされたらしい(その副作用としてもの凄い快感と幸福感を得るという)。
更にもう一つ厄介なのは淫魔は人の血をその相手の血を吸うことによって生きながらえるらしい。基本的に淫魔の寿命は人と同じだ。それに加えて、覚醒した淫魔は相手が死ぬと自然に死んでしまうという(これは早紀にとってはさしたる問題ではないが)。
・・・以上が今早紀の疑問に対する答えなんだけど、聞いておきたいことはある?」
海斗が長い説明に一息ついて体から力を抜いた。
早紀は今の説明でどうしても聞きたいことが一つあった。他の人にしてはどうかは知らないが、早紀にとってはとても重要なことだ。
「ねぇ、じゃあ私の、その『暴走』が止まったのって海斗が私のことを愛してくれたからなんだよね?海斗がいっぱいあたしのことを好きって愛情を捧げてくれたから『暴走』は止まったんだよね?」
海斗は恥ずかしそうに頬をかいてまぁ、そうだなと照れくさそうに言った。
それが嬉しくて嬉しくて、思わずまた『暴走』のスイッチが入りそうになってしまった。
だが、海斗は抱きつこうとした早紀の肩をつかんで真剣な表情で覗き込んできた。
「でも、一つまだ大事なことが残っている。・・・まあ、そうするのはそれが終わった後からだな」
とたんに早紀の顔が少し青ざめる。そういえばさっきの説明では海斗の血を吸わなければ生きていけないって言ってた。海斗に嫌だっていわれたらどうしよう、それよりも気持ちが悪いって思われたら・・・・・・・・・・・
「この、目の前に座っているクリスという女性は早紀の母親だよ。・・・まぁ、本人はどちらでもいいと言っているし、俺としては一緒にこのまま住んでいたいんだけど・・・早紀がどうしてもっていうのなら・・・」
早紀は初めて目の前の人を自分の母親だと意識した。自分と同じ水色の眼と髪の毛。顔のパーツは似ているけど雰囲気は少しおちゃらけている感じ。
この人が母親かぁ・・・早紀は意識してもそれだけの感想しか抱くことはなかった。別に自分には海斗がいればそれで十分だし、・・・とさり気なくのろけようとした所で海斗の言葉の意味を理解した。
「・・・って、えっ!?あたし海斗と離ればなれになるの?」
それだけは嫌〜〜〜と渾身の思いを込めて海斗を見上げた。
「いや、だからそれを早紀が決める「私は海斗と一緒にいるからね!」・・・はいはい」
海斗は台詞を中程まで言いかけたところで間髪を入れずに即答した早紀に苦笑いしていた。が、その中に安堵の色も少なからず混じっていた。
「・・・そっか、じゃあ私はこれで失礼するわ。あなたたち、特にサキの邪魔はしたくないしね」
海斗は立ち上がってそうですか、というと玄関までついていった。早紀も慌てて海斗の後を追っていった。
「それじゃあね、サキ。また縁があれば会いましょう」
早紀は急に話しかけられたことにビックリしながらもはい、となんとか答えた。
「これから『暴走』とかいろいろ大変だろうけど、あなたたちなら心配いらないわね」
彼女は最後にそう言い残して去っていった。
気がつくともう夜中になっていた。あの後海斗といつも通りにいちゃついて、一緒にお風呂に入って、その後海斗の膝に座って喋っていたらいつの間にか時間は過ぎていた。
「・・・そうだった、クリスに早紀に血を吸わせてあげろって言われていたのを忘れてた」
「えっ?」
そうだった。そういえば血を吸わなければ覚醒した淫魔は生きていけないとか・・・
「・・・どうすればいいの?」
「簡単だよ、俺の首筋にぶすっと・・・」
あまりにも思い描いていた通りの吸血方法だった。
「で、でも・・・」
それでも海斗から血を吸うのはどうしても気が引けてしまう。そんな早紀にほら、と海斗は思わず頭が蕩けるような優しい笑顔で手を広げた。
こういう風に誘われると、どれだけ真剣に離れようと思った所で体が勝手に海斗のほうに動いていってしまう。
そのままきゅっと抱きしめられた。その時、かちっと何処かでスイッチが入った音が聞こえた気がした。
「・・・かいとぉ」
『暴走』が始まってしまった。海斗はそれにかまわず、早紀の顔を自分の首筋に埋もれさせた。そうすると次の瞬間、早紀の本能が海斗の首筋めがけて牙を剥いた。かぷっ、という音がして海斗の首筋に牙が刺さる。そうして溢れ出てきた血を口に含んだ。と思った瞬間に早紀の体に異変が起こった。
海斗の血は甘かった。砂糖とかそういうものじゃなく、言葉にはできないけれどとてつもなく甘かった。どんなおいしい食べ物もこれには足下にも及ばない(後から知る話だが、相手の早紀に対する愛情の大きさによって血のおいしさと淫楽作用は決まるらしい)。
そして甘さを感じた瞬間に体がびくびくと痙攣し始めた。体の中心で火がおこり、早紀の体を熱く溶かしていく。海斗としたときのように気持ち良くなり、その快感に引きずられていく。
海斗は体中から力が抜けてへたり込みそうになった早紀の腰と背中を抱えてくれた。だが、それだけで体がびくびくと跳ねる。体中が性感帯になったように感じてしまう。海斗の首筋から牙が抜けた。
「ふゃっ・・・ぁっ・・・んっ・・・くぅっ・・・かいとぉ・・・」
体が、心が、どろどろに溶かされていく。海斗が早紀に触れただけで達してしまい、もうおかしくなりそうだ。速く、速く海斗と一つになりたい。一つになって、海斗を感じて一緒に気持ちよくなりたい。
海斗を見ると、海斗も荒い息をついており、体もびくびくさせていた。
早紀はそのまま寝室へと連れて行かれた。それだけでもう、期待で胸が弾む。
海斗は早紀を大事そうにぽすっとベットに置くと、顔を近づけてきて激しいキスをしてきた。
「ぁっ・・・みゅ・・・ちゅ・・・んぁっ・・・ぁぁぁっ」
キスだけでどうしようもなく感じてしまい、またしても達してしまった。海斗の体を求めて手が動く。海斗の首に腕をまわして、力の入らない体で精一杯抱きしめた。海斗も力強く抱きしめてくれて、そのままキスを続けた。
「はっ・・・んっ・・・くぅっ・・・みゃぁ・・・んくぅ」
早紀は夢中で海斗の唇をむさぼる。もっと、もっとと体が貪欲に海斗を求めて疼く。
海斗は手で早紀の腰や耳の裏などを撫でて愛撫してきた。
「みゅぅっ・・・・ぁっ・・・んっ・・・ひゃぁああぁぁあぁっ」
思わず海斗とのキスを中断してあられもない声をあげてしまった。それでもまだ体のうずきは止まらなくて、恥ずかしくて海斗の首筋に顔を埋めるてびくびくしていると、海斗が耳にちゅっ、とキスをしてかわいいよ、と甘く囁いてきた。
ぼっ、とさらに早紀の熱が上がった。もううずきは最高潮に達していた。体の奥がかゆい。
「・・・ぁっ・・かいと・・・んぅ・・・もう・・・がまんできな・・・」
海斗は早紀の必死の懇願を受けて早紀の正面にまわると早紀の中に入ってきた。
「んぁっ・・・くぅっ・・・ひゃぁぁあぁぁああぁぁ」
どうだったでしょうか?はい、ヤバいです。早紀の『暴走』を上手く表現できればと思ったんですが・・・やりすぎましたかね?