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第一話 入学!

 ついに親友のポストにくるキャラが登場します。こんな小説ですが、毎日更新できるように頑張るので、どうか末永くお付き合いください。

「さぁてっとこれで忘れ物はなしっと」


 持ち物をすべて確認してから昨日引っ越してきた新居を振り返った。あの後死ぬ思いをして両親を倒した。


 こっちはあちこちぼろぼろだったのに、向こうは次の日にはぴんぴんしていた。(絶対あの二人の方が強いと俺は思う)


 未だに痛む節々を堪えて学院の方向に歩き出した。


 今日はフェーデル学院の入学式だ。何やら事前に母から聞いた情報では、この学院は行事がたくさんあるらしく、なかなか面白そうなところらしい。


「・・・ここか」


 そこは、一つの城みたいなところだった。城門は無いものの城の景観は城そっくりだった。


「クラス替えは、っと」


 掲示板に張られた紙を見ておかしなことに気付く


「・・・なんでクラスが十個もあるんだ?」


 海斗のクラスはH、八番目だ。


 一クラス三十人ずつ分けられていている。それが十個だ。


「・・・三百人か・・・」


 今まであまり人と接する機会が無かった海斗にしてはあまりにも多い数字である。


「ま、気にしてもしょうがないか」


 そのことは意識から閉め出してさっさと自分のクラスに向かった。






「・・・どこだ?ここ」


 この台詞から分かるように迷子である。表示板の通りに進んでいると、いきなり現れた人の波にさらわれて身動きが取れなくなりどこかに流されてきたのである。


 この学院、見た目が城みたいなだけあって中も相当に広い。迷ったら目的地にたどり着くのは難しいだろう。


「・・・いったことが無かったらリターンも使えないし」


 リターンぐらいはみんな使えるだろう。と思ったが実はその呪文は卒業課題にもなってる魔術である


「・・・どうしよう、どうしようかな」


 ふと消えそうなか細い声につられて顔を上げると、いかにも気が弱いです。という女の子がでものすごく困った風におどおどと呟いていた。


 髪は水色で、肩の辺りで切り揃えていた。かなり整っている容姿なのだがそのおどおどとした雰囲気で打ち消してしまっている。しかし、そこで気付いた。眼が紫なのである。


「・・・なぁ」


 見かねて声をかけるとびくぅっと肩をはねさせてきょろきょろしたかと思うとおずおずと振り向いて自分を指差して


「わ、わたしですか?」


 他に誰がいる、と思わず突っ込みそうになったが寸前でとどまる。


「ああ、見たところ新入生のようだが・・・道に迷ってるのか?」


「え、あ、あの・・・この眼」


「ん?眼がどうした?どこか痛いのか?」


 眼を片手で隠すようにした彼女を見て不審に思い気遣いの言葉をかけたのだが、逆に潤んだ眼で見返された。


「この眼を見てどうにも思わないんですか?」


 海斗は首を傾げる。紫はホムンクルスだの魔族だの人外の証といわれているが、そんなことは全く信じてない海斗は気にしない。人と触れ合う機会が少なくここまで育ったので、常識に疎いというか純粋なのである。


「うん?あえていうなら宝石みたいできれいな瞳だな、とは思ったが」


 宝石っ!?と硬直した彼女が心配になり顔を近づけて観察する。


 すると硬直していた彼女の顔がみるみる赤く染まる。


 彼女も容姿は整っているが、海斗はまだその上をいく。母親譲りの金髪碧眼、両親主に容姿端麗だったので、ずば抜けて容姿は良い。


 反応しなくなってしまった彼女の目の前で手を振ったり声をかけてみたがいっこうに反応しない。


 どうしたものか、と首を傾げていると走る足音が聞こえてきた。足音の主は


「・・・志乃から離れろっ!」


 と叫んだかと思うと海斗に飛び膝蹴りをかましてきた。


 気配でそれは分かっていたので(父さんとの修行のおかげ)振り向いて掌で受け止めるとそのまま優しく降ろした。


 そして彼女からはなれる。なんか近づいたらだめみたいだったからだ。重ねていうが彼は世間知らずというか人のいうことを鵜呑みにしてしまう傾向がある。だから、ああ近づいたらだめだったのか、という風になってしまうのである。


「龍夜くん、この人悪い人じゃないよ」


 その言葉に龍夜と呼ばれた少年は振り返り


「いや、お前は誰でも彼でも悪い人じゃないっていうだろうが!?」


 ええっ!と衝撃を受けたような彼女は少し考えて


「じゃあ良い人かなぁ。あたしの眼をきれいって言ってくれたし」


 なにっと少年は驚いたように眼を見開くと海斗に向き直った。


「・・・本当か?」


 海斗の瞳を覗き込むようにして聞いてきたが、海斗としては別に隠すことでもないので素直にいう。


「うん?本当だよ、珍しいとは思ったけど・・・あと、宝石みたいできれいだなぁ、とも」


 海斗の偽らない言葉を聞いて眼を見開いていたがそうかそうか、と頷くと


「うん。本当にこいつはそう思ってるみたいだな」


「龍夜君がそう言うならそうなんだね」


 と二人して頷いていた。


 そこで龍夜が不思議そうにしている海斗を見てわりぃわりぃ、と言って事情を話した。


「実は俺、相手の人物の本質が見抜けるんだ。・・・まぁ分かりやすくいうと嘘が見抜けたり、嬉しそうとか悲しそう、っていうのが分かるってとこかな」


 そんな思いっきり人外の能力にも海斗はそうなんだな、という感想しか抱かなかった。


「・・・すごいな、お前。別に俺みたいな能力使える訳でもなく、馬鹿でもないようなのに人の話を鵜呑みにするなんて」


 海斗は軽く考え


「そうだなぁ、別に俺はどんな能力があってもそれはそれでそいつの個性だと思っている。それに昔から俺の親が能力や外見だけじゃなく、中身で人付き合いは決めたほうが良いって言ってたからな。それに影響されてるのかもしれない」


 実はそれに加えて世間知らず、というのが加わるのだが海斗の場合はあまり関係ないだろう。基本的に優しく、純粋なのだ。


 その言葉に龍夜はぶるぶるっと体を震わせたかと思うとがしっと海斗と肩を組んできた


「・・・ん〜〜っ。いいやつだな〜お前俺は朝宮 龍夜、よろしくな」


「あ、あたしは雨宮 志乃っていいます。よろしくおねがいします」


「俺は篠原海斗。よろしくな」


 結構話したにもかかわらずまだ自己紹介をしてないことに気付いた三人は思い思いに自己紹介を済ませる


「あ、っとそうだ。俺とこいつは・・・まぁ幼なじみって奴だ。こいついっつもいじめられているからほっとけなくってな」


 その言葉に志乃は顔を真っ赤にして否定した。


「そ、そんなことないよ。たまにだよ」


「いじめられてることにはかわりはねぇじゃねぇか」


 たしかに。といいそうになったのは志乃が少し可哀想だったのでやめた。代わりにさっきから二人を見て思っていたことを言ってみた。


「・・・二人って、恋人?」


 龍夜はぶっ、と吹き出し志乃は口をぱくぱくしている。


「あれ?違うのか?・・・二人とも仲いいしてっきりそうなのかと・・・どっちも容姿は整ってるんだからお似合いだと思うし」


 しばらく固まっていた二人だったがいち早く回復した龍夜が海斗の肩に手をおいて少し志乃と距離をとった。


「(・・・なぁ、ほんとにお似合いだと思うか?)」


 どこか切羽詰まったような声を出してきたのでこちらも真剣になって返した。


「(そりゃあね、龍夜はかっこいいし志乃は可愛いから。それにお互いがお互いを必要とし合っていて、一緒にいると一枚の絵みたいに様になってる)」


 龍夜はそうかそうか、と満足そうに頷きながら肩から手を外した。


 お似合いなんて、とまだ顔を真っ赤にしている志乃を見てから龍夜に気になったことを聞いてみた。


「龍夜なら志乃の気持ちは分かるんじゃない?そしたら・・・」


「それじゃだめなんだよ。それじゃあな」


 言葉に込められた意味を理解して大人しく引き下がった。要はそんな反則技は使いたくない。といったところだろう。龍夜の性格ならそう言いそうだ。(会って間もないがそんな気がする)


「・・・告白しないの?」


 ちらっと志乃を見やるとだいぶ落ち着いてきたのかこちらを不審そうに見やっている。先ほどからの様子を見ても絶対龍夜に好意は持っているはずだ。


「・・・踏ん切りがなかなかつかなくてな」


「・・・そっか。まぁ、やるだけやってみたら?絶対に成功すると思うよ」


「・・・そうか。・・・サンキュ、やってみる気になってきた」


 少し顔を輝かせた龍夜だったが何かを思い出したようにすっと青ざめる。


「どうした?」


 少し心配になって声をかけてみると、しまったぁっ!!!!という絶叫で返された。


「な、何があったの龍夜君」


 少し心配になったのか志乃がおどおどと問いかけると龍夜がばっと振り返り志乃の手を掴んで志乃を急かした。ぽっと志乃の頬が染まったが切羽詰まっている龍夜は全く気付いてないようだ。


「やべぇ、先生に遅い奴二人連れてこいって言われてたんだった。一人は志乃だって分かってたから急いできたんだけど・・・とにかく急げ、海斗も!」


 その親しみを込めて初めて呼ばれた自分の名前に感銘を覚えつつも、ああ、と返事をして二人の後について走り出した。







 どうだったでしょうか?この三話目で今日書いた分はすべて消費してしまいました。また明日、更新できるようにします。

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