表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/41

第十話 試合

 さて、告白した次の話です。両思いになった事でますます甘さが増しています。少しやり過ぎ感が否めないのですがそんなものは無視してどんどん甘くしていきます!

 あの後、海斗の腕を抱き寄せた状態で目の前に現れた二人に龍夜と志乃は満足そうに微笑みながら出迎えた。(もちろん龍夜からのからかい込みで)


 そして、今は試合観戦をしながら雑談をしていた。が


「え!?まじで?お前らも?」


「・・・そうなんです・・・」


「ま、お前の行動力を見習って俺がアタックをかけたら意外とすんなりと、な・・・いざとなったら何回でも挑戦するつもりだったんだけど」


 そう。あの後龍夜達も海斗達と同じく告白イベントをこなしていたのであった。


「へぇ〜そうなんだ」


 子猫のように海斗にじゃれつきまくっている早紀が簡単な感想を漏らした。


 今の二人の状態は早紀が海斗の左腕を抱えこんで肩に頭を乗せていた。(ちなみにさっきまでは海斗の体に抱きついて胸に頬をこすりつけていた)


 海斗も全く嫌がってはおらず(むしろ喜んでいる様にも見える)頭や背中を撫でたりしている。


 龍夜達も見慣れたのか、特に気にするでもなく話を続ける。


「そうそう。あの時の真っ赤になった志乃の顔といったらかわいくてかわいくて」


「へぇ〜そうなんだ。早紀もあの時は十分にかわいかったし、いや今も十分にかわいいか」


 と志乃にとっては許容範囲を軽く超える言葉に真っ赤になり、早紀は相変わらず不意に投げかけられるストレートな言葉に、にゃっ!?とかわいらしい叫び声をあげた。


 と、そこで次は龍夜達の出番がきたのか放送で呼び出されていた。


「んじゃ行ってくるわ」


「が、がんばってきますね」


「いってらっしゃ〜い」


「ま、ほどほどにな」






「Water in my hand,hit water polo」


 龍夜の流れるような詠唱が響き渡る。龍夜の手には水球ができた。


「Three blazes」


 ぼぼぼっと手にある水球が三回打ち出される。


「うわっ」


 相手の男子生徒は二つはよけたが一つを喰らって弾き飛ばされた。


「くそっ」


「Light in my hand,Give off a photophere」


 ぽうっと志乃の手に光がともった。それを志乃は動揺している相手にはなった。


 光球はその男子生徒の目の前で弾け、眩しい光をまき散らす。


「ぎゃっ」


 龍夜は当然眼を焼かれもだえ苦しんでいる相手の手を捻り床に倒した。


「・・・勝者、H組朝宮、雨宮ペア」


 おお〜〜〜っと周囲から歓声が上がる。相手がそんなに強くなかったのもあるが龍夜達は強かった。魔術の構築スピードや威力なども相手に完全に勝っていた。


「次、篠宮、長良ペア」


「海斗、行こう」


「うん」


 とそこで龍夜達が頑張れ、とジェスチャーしているのをみてもちろん、と口の動きだけで伝えると笑いながら控え室に戻っていった。






「篠宮、長良ペア対中田、佐藤ペア・・・・はじめっ」


 相手の男子はばっと跳び退り詠唱を始めた。


「さて、どうしたものか・・・」


「いっきにばぁんってやっつけちゃえば?」


 ちょっと期待がこもっているまなざしで見上げられ、苦笑しながら早紀の頭を撫でた。


 くすぐったそうに笑う彼女に釣られて海斗も笑った。


 そんなことをしていると、相手の生徒が怒って次々に魔術を発動させてきた(早紀は類い稀なる美少女なのだから当然ともいえるが)。


 しかし、そんな攻撃は海斗がちらっと見やり


「Defense」


 と一言唱えただけで弾けとんだ。


 相手は驚愕した。たった一言の意味でこちらの一文の意味を破るのはかなりの魔力が必要だが、相手は軽々とやってのけた。力量差はかなりある、とみなくても分かる。


 そこで、二人は片方の早紀に矛先を向けた。海斗には敵わないから片方を倒そう、というのだろう


 海斗はちっと舌打ちをして、本当に一瞬で終わらせるか、とも考えたがいいことを思いついて思いとどまった。


「・・・It is robe of an angel of the water that I imagine.The robe of an angel allows no devil to come near.Creation,a heavenly robe of Gabriel」


 海斗が詠唱を終え、早紀に向かって手を差し出した。すると海斗から膨大な魔力が早紀に向かって飛び出した。相手の生徒はぎょっとしていたが早紀は全く動じずにその魔力を受け止めた。


 すると、その青みがかった魔力がだんだん形を成してきた。


 やがて完全に形になった時、それはよく天使が着けているような羽衣だった。青く透き通るような透明感を持ったそれは海斗の早紀を守りたい、という気持ちから出来たもので早紀専用のものだった。


「き、れい・・・」


 流れるような手触りの羽衣を撫でながら早紀が言ったが海斗は首を振って


「いや、俺は絶対こんな作り物よりも、こっちの方がきれいだと思うよ」


 と早紀の髪の毛を撫でながら蕩けるような笑顔で言ってきた。


「あ、ありがと・・・」


 その様子を見て龍夜達は声は聞こえないがだいたい何をしているかは分かるので苦笑いをするしかない。




 しかし、そんなほのぼのとした空気とは別に、教師陣は殺伐としていた。


「あ、あれは創造魔術!?いや、しかし、そんな」


「創造魔術自体学生で覚えられるレベルではないのに一期生が・・・」


「そうだ。創造魔術であんな伝説の代物を作れるのはクラージぐらいだ」


「いや〜〜あれはあたしにも無理だと思うよ」


「そんなばかな、クラージが作れなければあの生徒は・・・って理事長!?」


 ばっと一斉に教師陣が振り返った。


「おはよーさん。ところであの生徒の正体を教えてあげる。あの子はこのあたし、サリエス・クラージとうちの旦那のの篠宮龍斗から生まれた超天才児。しかもあたし達が三歳の頃から英才教育を施して、今ではあたし達二人と軽く釣り合いが取れる程の実力。・・・ま、現に入学する条件として本気のあたし達を倒すっていうものだったし」


 その、今まで知らされなかった二人の子供がいた。という事実とこの二人を上回る実力を誇るあの生徒は一体!?と教師陣は驚愕していた。


「ま、あの子には魔術センスでも魔力の総量、構築スピードと何をとっても勝てないわよ?わたし。経験だって死ぬ程積ませたし」


 こうしてしばらく教師陣は固まっていた。


「あ、ちなみにこのことは他言無用よ?言ったら・・・」


 サリエスはだんだんと顔色が蒼白になっていく教師陣を見てくすくすと笑う。


「(ま、わたしもあの子が人前で魔術を見せるようになったからこんなことしてるんだけどね・・・あの子を変えた子達・・・特に今隣に立っている娘かしら?には感謝しなきゃ)」




 しかし、生徒にはそれがどれほど凄いものか分かっていないらしく、みんなそれぞれきれいだなぁ、という感想しか抱いてなかった。


「ふん、そんなものがどうした。やっちまえ」


「おう」


 二人は備え付けの剣を取ってこちらに走り出したが、二歩と行かないうちに海斗が素早く懐に入り込み、剣を取り上げて手刀で叩き割った。


 一連の海斗の動きがほとんど見えなくて顔面蒼白になっている二人に海斗は


「こんな物騒なもん振り回したらだめだろ?」


 と言った。そんな様子を見て早紀はすごいっ!と眼を輝かせていた。


「さて、ここからは早紀だけでやってみて」


「え?海斗は?」


 早紀がしゅばっと光の早さで海斗の袖を掴んだ。その動きは海斗にも全く見えなかった。苦笑しながら訳を話した。


「ちょっとそれを作るのに思ったよりも魔力を取られちゃってね・・・大丈夫、それはどんな魔術も吸収できるようになってるから」


 へぇ〜と一も二もなくなっとくした早紀に海斗はちょっと危機感を覚えた。


「・・・ちょっと人の言うことを疑うっていうことを覚えた方がいいと思うよ、早紀」


 そう、海斗の記憶では早紀が海斗の言ったことを疑った覚えがなかった。なので心配したのだが


「大丈夫。あたしこれでもいつもは疑い深いんだから」


 そう。氷姫と呼ばれていた頃の自分は誰をも疑っていた。だけど、今では海斗には無条件で龍夜と志乃には少し心を開いてきた。


 そっか、と頷くと頑張れ、と早紀をぎゅっと抱きしめてから送り出した。


 海斗は元気百倍、と急に元気になった早紀に微笑んだ。


「Flame in my hand,give off a fireball」


 ぼおっと早紀の手に火が灯る。海斗はその構築スピードに少し驚いた。先ほどの龍夜よりも格段に早い。


 それを二人に向かって放った。相手は楽勝、と笑いそれを左右によけた。火球は二人の間を通り過ぎるかと思われたが、


「An explosion」


 ばぁんっとと火球が爆発した。一人はその爆風に薙ぎ倒され、もう一人は寸前に気付き横に飛んだ。


「ふんっ甘い、Flame in my hand,dragon thunder flame」


 相手は手に灯した火を思い切り地面に叩き付けた。ぼぉっと火が一直線にかなりのスピードで早紀に迫った。


 それが必殺技だったんだろう。肩を大きく上下させながらにやり、と笑った。しかし、早紀は余裕でその魔術を恐れず回避行動すら取ろうとはしなかった。


 相手はその早紀の行動を訝しく思ったようだが、もう早紀と自分の放った魔術が触れ合う、と言うところでにやりと笑ったが次の瞬間その笑顔は硬直した。


 そのなかなか強そうな魔術が(実際中級魔術で学生が扱うにしてはかなり上位にあたる)早紀の足に触れた瞬間に解けるように吸収されていった。


「な・・・・・・・・」


「ありがと、海斗。これとってもいいわ」


 固まったまま動けない相手はあっさりと無視して早紀は振り返って屈託のない笑みを向けた。


 海斗は早紀に微笑み返した。早紀はそれでまた力をもらったように元気に振り返ると相手に向き直った。


「悪いけど、わたしも本気で行かせてもらうわね・・・Water,I help it,dance water,and dance,and I become the sword,and cut an enemy」


 早紀が手をかざすと、水の濁流が踊るように手から出た。それはあっという間に相手を吹き飛ばした。


「・・・勝者、長良、篠宮ペア」


 わぁぁああああと歓声が起こった。それまで一方的な試合だった。


 海斗は嬉しそうに駆け寄ってくる早紀に微笑むと腕をのばした。







 どうだったでしょうか?キャラの人気投票を行ってみたいと思います。今まで登場したキャラならなんでも受け付けますので、興味を持った方は是非よろしくお願いします。あと、方法ですが誰に票を入れるのかを明確にして投票をしてください。一言感想などを付けていただければ、と思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ