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第八話 適性テスト!?

 

 あの後、蘭は紙を回収した後その紙を適当に並べてその順に席を決めていった。


 海斗達と龍夜達は何とも不思議なことにまた前と後ろになった。


 そのとき早紀は、席を動かしている途中に龍夜から


「(海斗は早紀のことを多分好きだと思う。何で多分なのかっていうのはあいつも自分の気持ちに分かってないからだ)」


 と少し小声で言われた。その内容にビックリして振り返った時にはもう席に着いて来た海斗と何か話していた。


「よし、みんな席に着いたな?じゃあ今日のやる内容を発表するぞ・・・まずは二人で魔術適正テストを受けてくれ」


 魔術適性テストとはAの魔力の波長とBの魔力の波長が合ってるかどうか見るテストだ。この結果が高ければ高い程魔術の成績もたくさん伸びると言われている。


「体育館に行ってくれ。そしたらあっちでまた説明がある」






「・・・そうだ。早紀って海斗のことは・・・?」


 移動中に雑談をしていると龍夜が海斗に聞いて来た。


「大丈夫。全部話したから心配しなくてもいい」


 少し、全部というところで海斗の顔が曇るのを早紀は見過ごさなかった。


 おそらくは友達である二人に全部は話してないことを負い目に感じているんだろう。その仕草で海斗が早紀だけに話した。ということを確信して、嬉しくなった。


「で、でも・・・適性テストの後魔術テストがあったらどうするんですか?海斗君」


 そうだなあ・・・と海斗は悩むそぶりを見せた。


「昨日聞いたんだけど・・・やっぱ凄いんだよね?海斗って」


 と何気なく聞いたら二人は興奮して説明して来た。


「そうそう。昨日なんて刃が潰れている剣で金属製のトンファーをすぱっと一刀両断したりさあ」


「ひゅっと消えちゃったかと思うともう攻撃してるんですよ?」


 とりあえず海斗が凄いのは分かったけど・・・・


「それって魔術と関係なくない?」


 うっと二人は息を詰まらせたかのように仰け反った。


 そこに海斗が笑いながら早紀の頭を撫でながら説明してきた。


「無理はないよ。二人が見たのは俺の武術だけだからね、魔術はまた今度」


 早紀は心なし海斗に体を預けながら頭を撫でられる感触を楽しんだ。


 男なんて興味もなかったし、どうでも良かったけど・・・海斗はやっぱり特別だな。と自分で再確認して目を閉じようとしたが、ふっとその心地よい感触が遠のいていった。


「あっ・・・」


「ん?どうかした?」


 思わず声を上げてしまった。


「ううん、なんでもない」


 少し顔を赤らめながら言った。






 しっかしあの氷姫がなぁ・・・と仲良くじゃれ合う二人を見て龍夜は思った。


 しかし海斗が頭から手を離したとたんにあっと言って不満そうな顔になるのには笑えた。


 そこでどうやって知り合ったんだろう?と思った。ここまで仲良くなるような出来事がたった一日で起きたのか、と。


「なぁ、お前らってどうやって知り合ったんだ?」


 あっと海斗が声を上げて、まだ言ってなかったっけと苦笑しながら説明し始めた。




「・・・・・・・っていう訳だ」


「ふうん・・・っていうことはなにか?今二人は一緒に住んでると?」


「まぁな。今日も早紀の生活用具を揃えにいこうと思ってる」


 からかうつもりで言ったのに海斗には全くダメージがなかった。というよりもからかわれているという自覚がないのか。しかし、早紀の方には効果覿面だったようで、ちらちらと海斗の方を見ている。


 そんな二人を笑いながら見ているとむすっとこちらを睨んでいる志乃と目が合った。


「・・・どうした?」


 一緒に居て結構時間が経つが、こんな表情を見せる志乃は初めてだったので戸惑ったが龍夜は海斗と違って鋭いので、その表情が何から来るものか瞬時に理解した。


「・・・別に何もない」


 ちょっと泣きそうな目になって目をそらした志乃に龍夜の鼓動は急ピッチで早くなった。


 顔をそらしつつ、ちらちらとこっちを見てかまってほしいオーラを出している志乃を思わず抱きしめてしまった。


 志乃はビックリしていたが、ふっと表情を和らげた。その反応に満足しつつ龍夜は海斗の昨日の言葉を思い出していた。


『志乃も龍夜のこと好きだと思うけどなぁ』


 そうかもしれない、と苦笑しながら案外鋭い親友の指摘に舌を巻いた。


 そこでようやく体育館に着いた。






 どうやら、テストと言ってもただ計測器みたいなものに手をあてるだけでいいらしい。それで二人の魔力の波長を読み取って結果を出すらしい。ちなみに平均は30〜40%ぐらいらしい。


「頑張ろうね、海斗」


 何を頑張るのか少し疑問に思ったが早紀はやる気満々だった。とりあえず頷いておいた。


「はい、では次の組」


 係の先生らしき人に呼ばれ、海斗は右の早紀は左の機械に手を当てた。


「ふん。・・・お?・・・これはすごい」


 なにやら凄かったらしく、若干興奮しながら結果を伝えてきた。


「発表するぞ。・・・魔術同調率、97%魔術補佐S、魔術促進S、シンクロS。問題無しどころか史上最高の数値だ」


 魔術補佐とは、例えば早紀が放った火の魔術に海斗の風魔術で補佐しようとした時にどれだけ上手く補佐できるか、というもの。


 魔術促進とは片方がパートナーに放った補助魔法による回復の度合いや身体能力の上昇率がどれくらいか、というもの。


 シンクロとは、意識干渉の魔術で、どれだけ相手と同調できるか、というもの。


 要するに、海斗と早紀の相性がどれくらいいいのかを調べるテストだったのだ。


「え?うそ?やったぁ」


 早紀は飛び上がったかと思うとがばっと海斗に抱きついて来た。


 海斗は早紀を柔らかく受け止めながら髪の毛を梳いてあげた。早紀は気持ち良さそうに目を閉じた。どうやら早紀は髪の毛をこうして触られるのが好きらしい。


 担当の教師は二人がいちゃいちゃしているのを呆然と見ていたが、ふと我に帰って二人に次の指示を出した。


「では、教室に帰りなさい。次の指示があるはずだから。・・・それと、仲が良いのは良いが、程々にな」


 ありがとうございました。と言ってカーテンで仕切られていたところから出た。


 辺りを見回したが龍夜達はまだの様だったが、早紀が早くいきたい。というので二人で仲良く教室まで帰ることにした。






「はぁ!?97%だぁ!?高すぎだろうが」


「そうだよ。龍夜君なんて74%で自慢しようと思ってたのに」


 龍夜は横から余計なことを言った志乃を教科書でパコン、と叩いた。


「へぇ〜74%か、凄いな」


「・・・いや、お前らの方が凄いから・・・」


 海斗の何気ない一言で龍夜の興奮は一気に冷めたらしく、肩を落としてぼそぼそと言った。


「そりゃああたしと海斗だもん。当然よ、ね、海斗?」


 かわいらしく小首を傾げながら上目遣いで覗き込まれて、海斗はドキッとした。


 その反応に龍夜は当然気付き、(残念ながら早紀は気付かなかった)にやりと笑った。


 海斗は顔が赤くならないように気をつけながらそうかなと無難に返しておいた。


 そこで龍夜が何かを思い出したかのようにぱん、と手を打つと


「そういやあさ、担当のセンコーから聞いたんだがパートナーで参加する武術大会が年に五回あるらしいぞ」


 志乃もこくこくと頷いていた。


「武術大会か・・・」


「大丈夫。あたしと海斗なら絶対に優勝できるって」


 そういう問題じゃないんだが・・・と苦笑する海斗を見て、龍夜が助け舟を出した。


「おいおい、忘れたのか?海斗は力を隠したがってるんだ。なのに武術大会なんて出たら・・・」


 早紀はあ、そっかと手を打った。


 海斗はジェスチャーで龍夜にありがと、と送っておいた。


 しかし、これで終わると思っていたが、早紀はまだあるらしい。


「・・・思うんだけどさ。何で海斗が隠さなきゃなんないの?」


「「「・・・・・・・・え?」」」


「海斗は今まで頑張ってきたんでしょ?その力も間違ったことじゃなくてちゃんと人を助けるために使っている。なのに、なのに何で海斗が悪いことをしたみたいに隠さなきゃなんないの?・・・・・・・そんなの、そんなのおかしいよ」


 何かの棒で思いっきり頭を殴られたような感じがした。今まではこの力は見せちゃだめだ。見せたら嫌われる。と無意識に使うのは避けてきた。でも、早紀の言葉によってその間違った自己暗示は解かれた。


「・・・いいのか?」


 呆然と、確認するように呟いた海斗を早紀はいいんだよ。と言って優しく抱きしめた。海斗の眼からは少し涙が出た。


 これが、海斗がはっきりと早紀に恋した瞬間であった。(未だに自覚無し)






 

 どうだったでしょうか?自分的には少し物足りないかなぁと思い試行錯誤したのですが・・・作者の力量ではここまでだったようです。

 評価、感想を書いてくださった皆様、ありがとうございます。とっても創作意欲がわいてきます。飽きっぽい作者がここまで続けられたのも、皆様のお陰です。まだまだ続けていきますので、最強の魔術師!をどうぞよろしくお願いします。

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