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宝石


『何をしに来たぁ!』


憤怒の混ざっている声。頭に直接響くので非常に怖い。


ゴームすらビビってる…


こんな時にどうすればいいか。僕は知ってます。


こうです!



膝をつき、腰を曲げ、両手を地面に置く。


「申し訳ございません」


…そう。


土下座…っ!圧倒的土下座っ!服が汚れるとかそういうのは気にしない!こういう風に怒ってる人にはとにかく謝る!言い訳とかしない!


「出たーっ!ナディアの土下座だぁぁぁっ!これには宝石の巨人もびっくり!流石ナディア!そこに痺れるけどその姿は非常にカッコわるーい!」


「ガウウウ!」


「ゴーガ!」


外野うるさい。これで許して貰えなかったら君達も酷い目に合うってわかってないのかな…


『…いや、あの。別に怒ってる訳ではなくて…侵入者かなーっと思っただけで…あの…頭上げてくれません…?』


一気に声のトーンが優しくなる。


ここで一気に!


「おー!ゆあべりーかいんどまん!せんきゅー!」


『え?あ、はい…』



「おおっと!突然意味の分からない言葉を発する事によって相手の戦意を喪失させたぁ!流石ナディアちゃん!愛してる!」


「ガオー!」


「ゴー!」


「うるせーぞてめーら。」


全く人の気も知らずに…



『…で、何しに来たんですか?』


どうやらもうすっかり怒ってないようです。ふふ。今の世界の僕の両親にも効果バツグンだったこの手段!どうやらモンスターにも通じるみたい。


…因みに元の世界の両親には『ふざけてんのか』ともっと怒られました。モンスターより怖い。


…でも、懐かしいな…2人とも元気かな…元気じゃない姿が想像出来ないな…


おっと。過去に浸るのは後にして…今は質問に答えないとね。



「暇だったので遊びに来ました。」


「宝石貰いに来ました。」


『ナディアに付いてきました』


『同上…』



『ふふっ…ははは!素直な子達だ!気に入ったよ!欲に塗れた冒険者達とは大違いだ!いいよいいよ!遊んでもいいし、宝石もあげよう!私はそんなに宝石に興味無いからね!』


なんだか気に入って貰えた様子。


「…?冒険者達とは大違いって…前にもここに来た人が居るんですか?」


『タメ口でいいぞ?あぁ、いたよ。宝石目当てに私たちの住処を荒らしたバカ共がね。



…因みにまだそこに居るぞ』


…他に人が居るの?僕たちみたいに遊んでるのかな?


岩陰をひょいっと覗く。








【人骨】








…へんじがないただのしかばねのようだだだだだ!?


「どうしたんですかナディ…骨ぇぇぇ!?」


『当然の報いだ。』


「ぴゃー…」


僕達も一歩間違ったらこうなってたのか…南無南無…ぎゃーてーぎゃーてー…



うっわぁ。よく見たらこの骨粉々になってる場所が沢山あるよ…腕とか…うわ、この人頭蓋骨が粉々…これは即死だっただろうな…


「ナディアちゃん…そんな物見てないで宝石とか一緒に見ましょ?ね?」


イサちゃん…随分露骨にキャラ戻したな…さっきまでノリノリで実況してた癖に…


実況と言えば…あの人の実況動画最後まで見れなかったなぁ…勿体つけずに見れば良かったよ…くすん。


「どうしたんですか?早く行きましょう。」


「うん…」


友達を助けられたんだから悔いは無いと思ってたけど…有るなぁ…有りまくりだなぁ…15年経ってもまだ色々後悔する事があるよ…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「見てこれ割るとすっげー光る!」


「この青いの綺麗ですね…」


『へー。ナディアとはそんなに長い付き合いなのか〜なんか羨ましいな〜』


『僕ナディアちゃん好き!だって優しいしかっこいいもん!』


『同じく』



…何話してるんだろう。


「あらあらうふふ…ナディ愛されてますね♪」


「……?」



ほ、本当に何話してるんだよぉぉ!


あ、この青いのもすっげー光る。…あれ?なんかあの宝石動いてない?動いてるよね?すげー!うごくほうせきだ!不思議な踊りとかするのかも…!



そーっと近づいて…カナヘビを捕まえるように…ゆっくり…ゆっくり…





はっ!



ガシッ!


「取った!」


『やめてよー』


…あれ?宝石…っていうか…ジュエさん(さっきの宝石の巨人のアダ名)のミニマム版…?子供…?


『何するの…』


なんか声が甲高いね。女の子かな?


「一緒に遊ぼー?」


こそこそと隠れて見てたって事は興味があるって事だよね!うん!遊ぶ人数は多ければ多い程良しだしね!


『…え、でも…ふぇぇ…』


「なにさー。いーじゃんいーじゃん。君ここに住んでるんでしょ?なんか秘密の場所とか知らないの?」


『うー…じゃあ…あっち…』



ちょこちょことすん。と僕の頭に乗っかるジューちゃん。


…結構重いね君!宝石だからかな。


「…で?こっからどうするの?」


『こっち!』


い、意外とキツイ…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『…これ。』


これ…?ふむふむ。一見するとただの黄色い宝石だけど…


「これの何が特別なの?」


『…これ、この大きさになるのに五百年かかる…凄く貴重…』


「うぇっ!?」


五…五百年…!?うわ…すげ〜5世紀?5世紀なの?五百年の時を超えこの宝石が僕の手に…!


『だめっ!』


バシッ!と手を叩かれる。


「…なんでぇ…?」


宝石でガチガチの手で叩かれたから凄く痛い…


『これはダメ。こっちならいい。』


「おお、紅い」


さっきのより大きい紅い宝石だぁ…!


「これもらっていーの?」


『うん』


「ありがとー。」


『これあげるから…また来てね?』


「もちもち!」


『…もちもち?』


「もちろんって意味だよー?さて、そろそろ戻ろうか」


『…ん。こっち!』


ゴキャッ!


「ぐべらっ!?」



首…首を思いっきり捻られた…痛い…そして重い…


『早く〜』


ゴキッ!


「は、はいぃ!」


早く帰らないと僕の首がもたないよぉ!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ただいまー」


『ただいまー』


「おかえりナディ。…何その宝石!私にも触らせて下さい!」


「だめー。」


ひょいっと避ける。


「うぅ…」


『君たち、そろそろ帰らなくていいのかい?そろそろ暗くなるよ』


「げっ!?ま、マズイよぉ!早く帰るよ皆!」


「ガウガウガァァ!?」


「ゴゴギゴギゴ!」


皆親は怖いみたい…


「お邪魔しましたー!」


『また来てねー』











『友達出来てよかったね?』


『うん。』











もちろんこってり絞られました。しくしく。

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