family affair/alive
-----校長室
---岩沢が本部につくと朝から戦線メンバーがぐったりとしていた
藤「くぅー、やっと解放された。あんな堅ってぇ床で寝かされて首痛ってぇ!」
高「天使を失墜させれば、私たちの楽園となるんじゃなかったんですか?この学校は…」
大「なんで脱いでるの?」
楽園でも脱いで良いってわけじゃないでしょ…
とりあえず光に何があったか聞いてみる
岩「……どうしたのアレ?」
滝「いや、なんか俺達が昨日晩飯食ってる時に違反行動云々で直井にしょっぴかれて反省室で一夜過ごしたんだってさ」
岩「ふーん…」
私らにはなんで気づかなかったんだろ…?
日「つーかなんなんだあの連中は!」
野「今度来たら天使同様返り討ちにしてくれる!」
ゆ「一般生徒だからダメよ!」
日「あーあ。返り討ちができない分、天使より厄介だぜ…」
松「どうする?ゆりっぺ?」
ユ「色仕掛け行きますか!」
日「お前のどこに色気があるんだよ…」
ユ「んだと!?見たことあんのか!?」
日「上着越しでも十分分かる」
ユ「揉んだことあんのか、ゴラァ!!
絶妙の柔らかさなんじゃい!!」
日「知るかよ!!」
滝「……微乳だな、岩沢の美乳とは読みは同じでも全く違う」
岩「……見たことないよな?」
滝「上着越しでも十分分かる」
岩「揉んだこと……って言わないぞ?!」
滝「んじゃ絶妙の柔らかさかどうか俺が確かめ」
バキッ
ユイは跳び上がり空中で回し蹴りを見舞った
ユ「岩沢さんに何しようとしとんじゃゴラァ!!」
椎「浅はかなり」
もはや締めの挨拶となってきた浅はかなりを聞いてゆりが言った、
ゆ「…まぁ試しにちょっと動いてみましょう。とりあえず、好き勝手に授業を受けてみて。
あっ、一般生徒の邪魔はあんまりしないように!以上、解散!」
-------学習棟A棟 教室
大山は凄まじい緊張の時間を味わっていた
大(すごいドキドキする……授業中にお菓子を食べるなんて……)
……ぱくり
大(食べた!今食べた!僕授業中に堂々とお菓子食べちゃってるぅ!
なんて思いきったことしちゃってるんだぁっ!)
ひ「ロン、リーチチートイドラドラ、満貫〜」
しかし、そんな大山よりも遥かに堂々としているのがひさ子、藤巻、松下、TKの4人……教室の後ろで闘牌を繰り広げている
ユ「先生!トイレ!」
「…いってこい」
音「あいつは何をしてるんだ?」
日「1分おきにトイレに行く生徒だとさ。アホだな」
音無と日向は適当にだべっている。
そして椎名ははさみ、箒、定規をそれぞれ、親指、中指、薬指の上に絶妙なバランス感覚で立て、
高松は腕立て伏せをし、
岩沢は楽譜を書いており、
滝沢はその岩沢を膝の上に座らせて悦に入って、
野田は机の上で寝ていた。
ユ「先生トイレ!」
ユイが再び出ていこうと教室のドアを開けたところ、直井が表れる
直「そこまでだ貴様ら」
日「来たぜ。直井文人様」
ユ「私、トイレですから!」
強引に突破して逃げるユイ
TK「I'll be back.」
TKがどこぞのターミネーターのような言葉をのこし滝沢、岩沢、麻雀組も窓から離脱。
高松と椎名はいつの間にか姿が見えず、大山はポテチを机の中に隠す。
直井がただ一人堂々としている野田のもとへ行く
直「貴様、何のつもりだ?
……いいだろう。このまま反省室へ運べ」
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しかし……これから直井らに襲撃くらうわけだろ……
……不自然すぎるけど……怪我させるのもやだし……
岩「野田のやつあんな堂々として大丈夫かな?」
滝「ああ………なぁ岩沢、銃、あるか?」
岩「あるよ?私は普段は持ち歩かないけど……本部とか行けばいくつかは」
……よし
滝「んじゃちょっとガルデモメンバー集めてきてくれ……先行ってる」
岩「光?……なんなんだよもう…」
---------
-----校長室
校長室に来るとゆりも含め誰もいなかった
たしか直井の様子を見に行ってるんだったか……?
と、そこへガルデモメンバー、ユイも到着
岩「みんな連れてきたけど……どうしたんだよ急に」
滝「あー……しばらく銃を携帯しててくれ、出来れば小銃……は無理か。あ、マシピならスカートの中にも……」
ひ「まず説明しろ、ちょっとわけわかんないぜ?」
滝「……直井だ、なんかヤバい気が……」
バァァァン!!!!
そこまで言った時校長室の扉が開けられ直井、そして自動小銃を構えた生徒会メンバーが現れ………
直「おや、貴様らだけか。まぁい----」
ぶぉん、ドカッ!パリーン!
……ハンマートラップに全員吹っ飛ばされた
岩「……どうやら当たりみたいだね」
みんな頷くと各々銃を手に取る…俺はM870、みなはMk.23やコルトを手にとって部屋を後にする
-----昇降口前
雨が土砂降りのように降り…
タァン タァンと連続して…校庭の方から音が聞こえる
俺達は無言で足を早める…
そして校庭につくと…そこは、赤、朱、紅に染まっていた
----「NPCに危害を加えてはならない」
やつらの服に弾痕はない……笑えるくらい律儀に守ってんだなお前ら……
入「そんな……ひどい……」
関「一方的に……反撃できないのかよ…」
そのときグラウンド中央戦線メンバーが流した血で真っ赤に染まったそこで直井は誰かを蹴飛ばしていた
ひ「…藤巻!?」
全身血だらけで転がっているのを見てひさ子は走り出す
ひ「おい!大丈夫か藤巻!」
藤「……真っ先に俺に駆け寄ってくるなんて………惚れたのか?」
ひ「馬鹿野郎!んなこと言ってる場合かよ!!」
俺達も直井達のいる場所へと近づく
すると音無が倒れた日向の下へ駆け寄っている、奏の姿も見えた
直「……あそこからどうやって出てきた?」
奏「扉を壊した」
直「何年かかって作ったと思ってる……生徒会長代理として命じる……
大人しくもどれ」
滝「奏……この現状を見て…それが正しくないってこと……わかるよな?」
こくり、と頷くと奏はハンドソニックを展開し応える
直「逆らうのか・・・神に・・
僕が神だ」
馬鹿かコイツ……と音無の近くにいる日向が呟く
皆全く同意見のようだ…
直「愚かな……ここが神を選ぶ世界だと誰も気づかないのか?
生きていた記憶がある。みな一様に酷い人生だっただろう、それこそが神になる権利だからだ。生きる苦しみを知る僕等だからこそ神になる権利を持っているからだ」
滝「神になってどうする?」
直「安らぎを与える」
藤「ふざけたことぬかしやがって……」
直「神は決まった。なら僕はお前たちに、安らぎを与えよう」
そう言うと直井は倒れたゆりを無理矢理起こさせた
音「これ以上何をする気だ!」
音無はゆりのもとに駆けつけようとするも多数の生徒に銃口を向けられる
…俺は岩沢に目配せして銃を渡すとひさ子にも合図を送る…
岩沢が銃を空へ向け発砲、爆音が鳴りCPUの注意がそちらへ向く!
俺とひさ子は駆け、CPUに肉薄し、喉に一撃、悶絶する相手から銃を奪い…その銃で残ったやつの銃を弾き飛ばす
そして近づき、一撃。
…まるで映画のように戦い、CPUらはそのほとんどが意識を手放した…
だがそれを見ていたた直井はどうでもよさそうにしゃべる
直「…使えないな…所詮人形か…まぁいい、君は今から成仏するんだ。
岩沢まさみ、貴様は生前声を失い歌う夢を断念。酷い家庭環境の下、惨めに死に至ったんだろう。だがこの世界でその夢を叶えたかけた。成仏しかけたんだよ」
岩「ッ!」
ひ「なっ…!?」
直「貴様は今から成仏するんだ。幸せな夢と共に…」
ゆ「……あなたは……私の過去を知らない。」
直「知らなくても可能なんだ。僕が時間をかけて準備してきたのは天使の牢獄を作ることだけじゃない、催眠術だ。」
ゆりは夢を見た
それは優しい笑顔、嘘の記憶
ゆ「!?」
滝「ふざけんな!!」
音「ダメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
音無は直井を殴り倒す。
音「そんな紛いもんの記憶で消すなぁ!!」
音無は訴える、
俺達の生きてきた人生は本物だ!
何一つ嘘のない人生なんだよ!
みんな懸命に生きてきたんだよ!
そうして刻まれてきた記憶なんだ!
必死に生きてきた記憶なんだ!
それがどんなものであろうが、
俺達の生きてきた人生なんだよ!
それを勝手に……嘘の記憶で塗りつぶすなんざやっていい行為じゃねぇだろ!!!!
てめぇの人生だって、本物だったはずだろ!!?
そして音無は直井を抱きしめる
音「頑張ったのはお前だ!
必死にもがいたのもお前だ!違うか!」
直「何を知った風な……」
滝「…わかるよ。ここにお前もいるんだから」
他でもない、直井自身が言った。
"生きる苦しみを知る者"こそが、神になる権利を持ちこの世界にいる、と
直「なら……認めてくれんの?この僕を……」
音「お前以外の何を認めろってんだよ。
俺が抱いてるのはお前だ、
お前以外いない……お前だけだよ……!」
直井文人は思い出していた…
兄の健人と渋柿を取ろうと競ったこと…
採ったってどうせ渋柿じゃぞ?
やった!兄さんに勝った!うわぁぁぁ…
喜び父に見せる文人、それに対して父は言う。
渋柿ごときで何を……
……だが、文人もやりおる
一番聞きたかった、
直井"文人"を認めてくれた言葉
雨雲に覆われた空は晴れ……そこに一滴の雫がこぼれ落ちた
.
--------校長室ユイは日向に新技をかけさせてくれるよう頼んでいた
ユ「名付けて、逆二十字固め!」
藤巻は何か髪留めだろうか、ゴムをいじってボーっとしている
滝「あー…そこ……」
岩「了解……痛かったら言って……」
滝沢は岩沢の膝に頭を乗せ耳掃除、
TKと松下はダンスを踊り、
高松は大量のメガネの手入れをし、
大「可愛いですねぇ……ね、椎名さん」
椎「浅はかなり」
椎名と大山はぬいぐるみをいじり、
野田はハルバードの手入れをしている
みながまったりしていた
そんな時日向が口を開く
日「ったく、ここは小学校かよ……ガキばっか増えてくな」
直「貴様。僕に言ってるのか?
僕は神だぞ?」
日「音無に抱きついて大泣きしてたくせによ……」
直「誰が泣いたって?
……泣くのは貴様だ。
さぁ、洗濯バサミの有能さに気付くんだ。洗濯バサミにも劣る自分の不甲斐なさを、嘆くがいい……」
直井は日向にギアス…げふん催眠術を使う
日「せ、洗濯バサミ……。挟める……挟んで落ちない……洗濯物が汚れない!
素晴らしいっ!ああ!クリップ代わりに髪を挟んだりとか応用も利く使える! それに対して俺は何なんだ!」
俺は直井の衿を掴んでもちあげた
音「お前。催眠術を腹いせに使うな」
日「音無さん。おはようございます」
音「あれはなんだ?」
直「あっちから先に突っかかってきたんです。僕は出来るだけ穏便に…」
滝沢も言う
滝「どこが穏便だよ……洗濯バサミ手に大泣きしてるじゃないか…」
直「あ、滝沢さんもおはようございます。
耳掃除僕がしましょうか?」
滝沢が露骨に嫌そうな顔で断ると、ゆりが俺と直井、滝沢に話があるそうだ……
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---教員棟3階 空き部屋
ゆ「直井君。音無君と滝沢君の失われた記憶を戻してみせて」
ゆ「僕に命令だと? さっきから貴様何様のつもりだ!」
音「てめぇのリーダーだ!上司だよ!大人しく言うことを聞け!…って俺たちの記憶?!」
ゆ「そうよ、あなたたちの記憶。
直井君の催眠術は本物よ…あなたの失われた記憶も取り戻せるはず」
滝「……」
直「うん、なるほど。それは僕の手でなんとかしてみたいですね。」
音「ちょっと待てよ!勝手にそんなこと決めんなよ!」
ゆ「どうして?まさか忘れたままでいたいの?」
>音無「…それは…」
----もちろん思い出したい。
でも不安だ……それはもしかしたらこの生活が終わってしまうんじゃないかと…
ゆ「滝沢君?」
滝「ああ…」
音「そうだな……んじゃ直井、頼む」
直井「どんな過去を見てもどうか自分を見失わないで。もしあなたがどうなっても僕だけは味方ですから。あ、滝沢さんもですよ」
音「……」
直「何か言ってください…。」
ゆ「あたしも味方だから安心しなさい!」
音「あぁ、頼もしいよ!」
直「えぇーっ?何この差?まっ、いいです…。まず音無さん、どうぞ座ってください」
直「では、始めます。」
音「うん。」
どのくらいの時間がたっただろうか、音無が肩を震わせ鳴き始めた
滝「思い出したか?」
音「あぁ…」
ゆ「素晴らしい人生だったとは言えそうもないわね。」
音「しばらくひとりにしてくれ…」
音無を残して、俺達は部屋を後にする、と部屋の中から慟哭が聞こえてくる
『惰性で生きて、無気力だった俺は、自分の生きる理由を、お前に教えてもらって、見つけて……それで……
夢半ばで死んだのか?何も成し遂げずに死んだのか?
そんなのってねぇよ……。ねぇよ……! 死にきれねぇよ……!!……初音……!」
-----教員棟3階 空き部屋2
直「次は……滝沢さんですね…」
滝「ああ……」
直「では……始めます」
俺の家は、それなりに幸せな家庭だった。
俺は両親に苦労はかけまいとしっかり勉強はしていたが息抜きに友人らとゲームしたりアニメを見たりもしていたし不自由など何もなかった
父さんはとある工場で働いており、母さんも昼はスーパーでレジ打ち、両親共に忙しく働いていたが三人が集まる夜は疲れもないように明るく、楽しい日々が続いていた
あの日までは……
-----では、次のニュースです。
今日の午後3時過ぎ、爆発事故が発生しました。事故が起こったのは----県にある------工場で、爆発は突然起こったということです。
この事故により、当時作業をしていた滝沢文紀さん、真田遼一さん他、17名が死亡、重軽傷者は31名ということです
父さんが死んだ
俺と母さんは夜そのニュースを聞いて目の前が真っ白になった気持ちだった
翌日、工場の爆発事故のニュースは、新聞の1面を大きく飾った。それだけでも母さんと俺を打ちのめすには十分だったのだが、新聞にはさらにこう書かれていた。
-----『原因は不注意か?』
警察の捜査報告によれば父の遺体は爆心地に近い場所、他の人は離れた場所にいたそうだ……
テレビをつけると父さんのせいで事故が起きたのではないか、とマスコミは騒いでいた
そして、突然。
ピーン、ポーン……ピーン、ポーン…………
インターホンが鳴った。
「あ、はーい……」
必死で涙を拭き取り、気丈な様子を作り、母さんが玄関に向かった。
ガチャリ。
「人殺し!!」
その人は母さんに対してありったけの非難をぶつけ……やがて罵り疲れたのか、ふらふらとした足取りで帰っていった。
母さんも俺も悔しかった。
その後、何人もの人間が、玄関のドアを開け、応対に出てきた母さんに非難の言葉をぶつけては帰っていった。
数日もすると、母さんは心身共に疲れ果てていた。
俺は大学に進学しようとしていたが母さんの負担を少しでも減らそうと就職先を探すことにした
そしてなんとか働き口を見つけ、母さんを支えられると思った
母さんは辛い思いをさせてごめんなさい、と俺に謝った。俺は母さんを落ち着かせようと肩を抱いた、…酷く痩せていた……
そしてある朝、いくら待っても母さんは一階に降りてこなかった。
俺は母さんの、父さんと母さんの寝室の前まで行った
ドアを少し開けると部屋は暗かった
滝「……母さん?」
返事はない。
そして……
ごめんなさい、だそうだ
希望なんてなかった
母さんを、大切な人を支えていこうとした矢先に母さんは自殺した
俺は好きだったエレクトーンやギターを弾いたり、アニメDVDを繰り返し見たりして気を紛らわして……惰性の日々をすごしていた
そんな俺を友人達は少しでも慰めようと必死になって……ドッキリと称してスキー旅行に連れて行ってくれた。
周りの人が俺を心配してくれている事に感動して、久しぶりに心から楽しめたんだ。
こいつらが俺を救ってくれたんだから…俺も誰かに尽くしていく、そんな人生をこれから送ろうと思った
だが、帰りのバスが事故にあった。
雪道でタイヤを滑らせ、反対車線に出たバスはトラックとぶつかり……
友人の下半身はなくなっていた、それでもあいつは俺の心配ばかり。「無事か?なら良かった…」だの「お前これから頑張れよな」だの…自分のことなんか何一つ考えずに…
あいつも息を引き取った
俺も…
滝「……終わりか」
直「…大丈夫ですか?」
滝「ああ……ありがとう」
生きてた間…出来なかった事…
誰かの為に生きる事