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fml-proto  作者:
24/31

眩暈/星に唄えば



-------滝沢宅



率直に言おう、なんかよくわかんないんだけどヤバい。


光の両親に2人揃って呼び出されたと思ったら……あいつの両親は見たことないくらい怖い形相で待ち構えていた。そして居間で正座させられている……


……なんでこうなったかは全くわからない。別に2人で夜遅くまで出歩いてたなんて事一度も…………いやあんまり、ない。路上とかは除いて。




岩「おい……なんでこんなに怒ってるんだ?」

滝「わからん……さっぱりだ」


『今日、』

小声で話していると威圧感たっぷりの声が聞こえる

『お呼びした理由は……わかるわね?』


というかお母さんには初めて会うけど「はじめまして、光君にはお世話に〜」どころか挨拶すら言える流れじゃない

綺麗な人だな……胸も……ってそんな場合じゃない、さっぱりわからない。肘で光をつつくけど小さく首を横に振るあたり同じだろうな……


「……事情はユイちゃんやしおりちゃんから全部聞かせて貰った……」


その名前を聞いた瞬間さらに冷や汗が止まらなくなる

何したんだあいつら……


「光、お前はまさみさんの両親に申し訳ないとは思わないのか?」



クエッションマークが2人の頭の上に浮かぶ

……何かされたっけ?










「今日呼んだのはお前たちの子どもについての話だ」







……………………






「「……はい?」」




何言ってるんだろう、予想外すぎて何が何だかわからない。子ども?光との?そりゃ親としては呼び出すだろうな……


「彼女たちが言うには……」




===============






-------数時間前、滝沢亭


まだあまり人のいない時間帯、ベルを鳴らしてユイ、関根、入江の3人が店内へと足を踏み入れる。


「いらっしゃい、今日は3人だけかい?」

入「ええ、ひさ子は藤巻先輩と遊び行っちゃいまして……」

ユ「岩沢さんも滝沢さんと2人でイチャイチャしてますね」


----ほほう、息子よ、充実した学校生活を送っているようじゃないか……

というかいつも彼女たち5人と一緒にいるような……案外モテているのか?


関「だよねー『遂に俺達の子が出来た』っていって……終わった後もまた2人きりかよ!」

入「ちょっとしおりん……」


「ほー俺達の子かぁ」


そんなもんまでなぁ

まったく光も隅に置けな……


な、なんだって?


ユ「岩沢さんお陰で眠れなかったって言ってたし休めばいいと思うんだけどなぁ……」


……どういうことだ?

店の冷蔵庫からマウンテンデューを取り出すと一気に飲み干すが……相変わらず喉は乾いている


ええい落ち着け俺よ……


関「今度ユイにも作ってやるって言ってたじゃん」

ユ「うん、私も頑張んないとね!」




===============







岩「光!!!!

あんたユイにも作ってやるってどういう事だ!!」


胸ぐら掴まれ頭をシェイクされる。

し、締まってるって……!


滝「お、落ち着けまさみ!!

というかそもそもお前との子、って時点でおかしいんだよ!」

処○と童○で出来てたまるか。

コウノトリとかキャベツ畑とか信じてるわけじゃないだろう、と


岩「んじゃあいつらの悪戯か……?」


うーん……最近なんかあったかな……強いていえば……




滝「……まさかアレか?」



---------------



滝「遂に出来たな……」

岩「ああ、曲名は……god bless you、だ」

俺のせいかはわからないが孤高といったイメージがあるこの曲やlast songはだいぶ完成が遅れていた。加えるなら歌詞もメロディラインも少し明るくなってきている……


岩「やっと満足に眠れるな……あんたのおかげだ、ありがと。特に後半コーラス入れたりとかサビの入りのとこのアドバイスがすごくありがたかったっていうか……」


口を出してる時、僕はビートルズ気分があった事は否めないし、果たしてそれが本当に良い事だったかもわからなかったが……

岩「それにメロディとサビでも聞いててうぉおーってなる感じの……」

滝「ストップだ、音楽キチモードストップ」


まぁ興奮を抑えきれないあたり気に入ってくれたんだろう、制止してもそのまま彼女は続ける


岩「そう言うな光、この曲は私達努力の結晶、愛情こめて作ったいわば子どもみたいなものだろう?」

滝「……ちょっと大袈裟じゃないか?」


〜〜〜〜〜〜〜


……これか!?これのせいなのか!?

岩「……あ。」

まさみも思い出したようだな……原因はお前じゃないかまさみぃ……


えーと……この後はたしか……


〜〜〜〜〜〜〜




ユ「いいなぁ……私も新曲作りたいんですけどなかなか……ひなっち先輩なんか手伝ってくれるわけないしうらやましいです」


岩「んーそれじゃ今度ユイにも作ってやろうか?

そうだなぁ……ユイらしい明るくてポップな感じでさ……。あ、でもメロウな感じにした方がいいか?いやそれともあえてイメージにとらわれないでごっつ切ないバラード……いやでもこれこそロックーって曲最近書いてないなぁ……AmFGっていういわゆる黄金コードもバシィッと使って〜」


滝「スタァァップ!!ストップだ!


わかった、オーキードーキー。そん時も手伝うからとりあえずまた今度、な?それよか久しぶりにどっか息抜き行こうぜ?」


そんでそれでもマシンガントークを止めないコイツを半ば引きずるようにして部室から出て遊びにいったんだっけな……







---------------


岩「……言ってたな」

滝「ああ……」



『まさみさん、この事親御さんには話したの?』

首を横に振る。

当たり前だ、存在すらしてないからな。


『それで……何ヶ月なの?辛いことを言うけども学生だし堕ろす事も……』

岩「いや、ですから誤解と言いますか……」


ていうかもう産まれてますし、とか矛先があっちに向いているのを良いことに好き勝手思ったり出来るあたり、やっぱこの頭どうかしてるのかもしれない

『産まれ……って


親に何の相談もなく!?

あんたが馬鹿だとは思っていたけどどうしてそうなる前に……』

岩「……頼むからややこしくしないでくれないか」


……また思ってた事が口に出ていたようだ





それからまた更に熱が上がっていく、あなた達はまだ高校生、学生出産がどれだけ大変な事か理解が足りてないetc




結局誤解を解き終わって解放されたのは小一時間たってからだった。







===============



「「つ、疲れた……」」

もう2人ともぐったり。長時間の慣れない正座で足は痺れ軽く痙攣している。

ベッドに倒れ込むように身を預ける……




『え?つまり2人で作った「曲」が出来たのであって……子どもはいない、と?』

「「はい……」」

『私達の、勘違い?』

「「ええ……」」


沈黙、後


『ま、まさみさん今日はごめんなさいね?そ、そうだご飯でも食べていかないかしら?』

「そ、そうだな。よし、父さん頑張って作るぞー」

…………この親は。




岩沢も最初は断って帰ろうとしたが……立ち上がったその足はプルプル震えて冗談抜きで危なっかしかったため現在こうして光の部屋で休んでいるのだ


滝「……今度からもうちょっと言葉選ぼうぜ?」

岩「……そうだな」

滝「あと子どもはもう何年か待ってくれ。苦労かけさせる訳にもいかないし仕事見つかってからじゃねーと……」

岩「……バカ」


そう言って上半身を起こすと仰向けに横たわる男に軽く触れるだけの------





ガチャ

『まさみさんご飯出来た……けど』

ベッド

息子に覆い被さるようにする息子の彼女

MK1。


『……ご飯よりそっちを食べるのね……光、避けなさいよ』

「「………………」」








その後パニックに陥って半泣きになりながら手当たり次第に物を投げてくる彼女を、理不尽を感じながら、小一時間かけてなだめる事になったのは言うまでもない









---------------




























--------本部









ゆりから部室に集合、とメールがきたのがほんの十分前だろうか

正直暇してたし来てみたわけだがまだ椎名しかきてないみたいだ


岩「おはよ椎名」

椎「あさか、確かにまだはやいな……」


とりあえず挨拶をしながら部室に置かれた長机に腰掛ける


岩「……そういや今日は土曜だよな」

椎「あぁ、さ様だ……」


部屋の真ん中の机に腰掛けるあたしと隅っこで腕を組んで佇む椎名。まぁこれが何時もの定位置ってやつだ


岩「急に呼び出して一体何するんだろうな」

椎「あぁ、さあわからない……」


……?


岩「どうしてあさはかなりって言わないんだ?」

椎「あぁ、さぁ何でだろう……いや……」


というか『あさ』縛り……?

椎「あぁ、さいスタートを切って私も変わった、というアピール描写だ」


……





ガチャ

滝「……グッモーニン」

と、ここで光がドア開けて入って来た。全くもって、欠片も良き朝とは思ってなさそうな仏頂面、無精ひげも生えまくっていている。


……でも


岩「……それはそれでカッコいいな」

椎「!?……あさはかなり」

……あたしってお父さんっ子なのかもしれない。

椎名が首を横に振りながら憐れんだような視線を送ってくるのはなんでだろう。つか今あさはかなりって言った


岩「でもひげはともかく笑顔の方が魅力的だぜ?」

椎「あさはかなり……」

滝「……お前ら今日が何の日だか忘れてるようだな」


今日?

7月7日、ああ七夕か。

岩「七夕だからってどうしてそんな不機嫌になるんだ?」


大方また馬鹿騒ぎに巻き込まれるんだろうけど別にそこまで嫌がるイベントでもないだろ……


滝「……そうかお前は何も知らないんだったな……今日は-----」

バァン!


と、やかましい音をたてながら上機嫌なゆり、大山、それにダルそうな戦線メンバーが入ってくる。


ゆ「あら、早いわね感心感心っ☆

じゃあ早速始めようかしら」




……??



「「「「えぇー…………」」」」

……何を?


岩「……意味がわからないんだが」

とりあえず椎名に聞いてみる

椎「あさはかなり……」


聞く相手を間違った。

光にでも聞こうと思っているとゆりが言葉を続ける。


ゆ「一年生はまだわからないだろうから今日の活動を教えるわね

いい?七夕は願い事をする日……つまり、



『あたしの叶えたい夢をみんなで叶える日』よ!」





---------------


ああいやだ。帰りたい。

滝「……すまんゆり、頭と胸の奥がキリリと腹痛で痛いから今日は帰る」

日「あたた……俺も腹が頭痛で……」

ひ「あたしもちょっと眩暈が……」


ゆ「訳わかんないわよ。却下。」


撤退を図るも許される訳がない。


滝「いいかゆりに大山……お前らは楽しいだろうがぶっちゃけそんな企画売り上げもとい読者数には貢献しない!」

ゆ「うっ……そんなわけないじゃない。読者だって本当はみんな『ゆりっぺサイコー!』って思ってるんだから!」

大「どうでもいいよ。読者数?適当に今旬のアニメを3つ4つ原作欄に加えれば増えるんじゃない?僕はただ表舞台で暴れられればいいだけさ。」

こいつら好き勝手言いやがって……


滝「そんな事するか!ぶっちゃけまさみと俺のイチャイチャらぶちゅっちゅな物語でそもそも大山が大暴れする必要なんかないんだよ……っておい聞いてるか?」


大「聞いちゃいないよ。さぁ早く始めようよゆりっぺ」

くそ……なんてやつらだ……日向が『明日俺休むわ』とか言って笑顔でちょっとヤバい量の睡眠薬飲もうとしたのを思い出したぜ……


滝「……どうするよ」

日「……は?何をだ?」

ひ「テンション低っ!

まぁ突っ込まないようにして普通に七夕の準備しようぜ……」


ゆ「へぇ面白いじゃない。んじゃ勝負しましょ。

あなた達が突っ込んだら私達の勝ち、突っ込まなかったらあなた達の負けよ」

また無茶苦茶を言うなこの女は……!


ひ「いやそもそも勝負なんかじゃないしそれどっちにしてもあたし達の負けじゃ----」


慌てて羽交い締めにして口を塞いだ

自分で言っておいて早速突っ込んもうとしてんじゃねーよ!

ゆ「ちっ……」




岩「…………」ゴリッ

痛っ!?


何だと思って見るとまさみが睨みつけながら足を踏んでその上踵でグリグリしていた。ブーツは冗談無しに痛いから止めてくれ


岩「何時までくっついてんだ!」

滝「いったぁっ!!」

……ああそういう事ね。手を離して解放すると深手を負った右足をさすりながら言い放った。


滝「と、とにかくそのコーナーはダメだ。」

そういうとゆりは渋々ながら……

ゆ「んじゃ今日もいっくぞー!」

「「「おい!!」」」

止めるわけなかった










---------------







ゆ「んじゃこんな七夕は嫌だ

はい、GO」


「「「「「「「「「ゆりっぺの夢を叶える日」」」」」」」」」


ツッコミ3「「「お前らも結局嫌なんじゃねーかよ!!」」」



---------------






早くもあっさり、本当にあっさり突っ込んでしまいツッコミ3人はその他全員のボケの前に敗北を喫した。


滝「やっぱり無理だったんだ……」

日「まさか大山まで言うとは予想外だったぜ……」

ひ「いやでもさ、んじゃ普通に七夕っぽいことしていいんじゃね?」


……確かにそうだ。


椎「それは、あさはかではない」

……肯定意見と考えよう

大「ちょっと待ってよまだ僕が個人的に活躍してないよ」


……あれは無視として、他に反対意見もないようだな……


滝「んじゃ適当に紙に願い事書いてこーぜ」

そしておーだのうーいだのだらだらした返事と共にようやく本来やるべきだった事を行っていくのだった……



---------------








……とは言ったものの


滝「……さて何を書いたものか。」


あらかた今の状況に満足してるしな……

まさみもペンだけ回しながら無表情に目を細めて固まってる。




……他の奴らはどんな事書いているんだろうか。チラリと目と耳を傾けてみるとする





直「ふん……『甲子園にユイを連れて行きたい』?

目先の事にしか目を向けられない上に身の程を理解できないとは相変わらず消化器官と生殖器に足が生えただけの下等な生物だな貴様は」

日「何時にもましてひでぇ……」

……なぜ奴はマトモな内容なのにとんでもない言葉をかけられているんだろう


滝「直井……日向をそう苛めるな……

つかそういうお前はなんて書いたんだ?」

直「え?やだなぁ……恥ずかしいですが……」

どもりながら紙を差し出してくる。ふむ……『同性多重婚の国に----』








最後まで読むことを拒否して紙を破き捨てると喚く直井を尻目にその場を離れる。


そしてまさみの隣に戻ると『来年もこうして一緒にいられますように』とペンを走らせる。

むぅ……まぁ普通だが結局のところ何処にでもある幸せを享受出来るのが一番良い

でも『笹がないから各自持って帰って自分の家に飾れ!』とか言ってたしなぁ……親に見られたらちょっと恥ずかしいか?






岩「なぁ光なんて書いた?」

とここでまさみが興味津々、といった感じで聞いてきた。


滝「秘密だ秘密。他の人に言うと願い事は叶わないって話を聞いた事があるしな。」

これが叶わない事になったら正直泣く自信がある


岩「……ヒント」

ヒントくらいなら……


いやここは軽くイタズラしてやろうか。

毎回毎回懲りないな、とは思うが別にこれで泣かすことはないだろうし




滝「まさみも叶えたい願いだと思うぜ?」

岩「……は?」


いやもちろんここで音楽キチ発揮されてボケられたらそれはそれでちょっと悲しいが……

まぁ軽く赤くなった顔でも見れたら成功だろうな。このくらいのイタズラは許してもらおう










.










.










.










.










はて、何故こんな沈黙が続いているんだろうか

プニプニと頬をつついても幸せな感触が返ってくるばかりで返事は返ってこない


滝「おーい」

岩「……はっ!






お、お前なんて事書いてんだ変態!……そ、そりゃちょっとプラトニックな関係じゃないかとは思ってたけどさ、そんな……あたしにも心の準備ってもんが……」


…………こいつは今自分が何を言っているか理解しているんだろうか



滝「……ああ、なんだ、すまん」

非はないと思うけどここで勘違いを指摘なんて出来るわけがない。俺は見えてる地雷をわざわざ踏みに行く程馬鹿じゃない










---------------






関「たっきー何かずい分と面白そうな事書いてるっぽいけど?」

入「え、えっちなのはいけないと思います!」


ああもう……人がなるだけ穏便に済ませようとしとるっちゅーに……

岩沢の言葉を聞いてガルデモ勢が寄ってくる。


岩「……はぁ、ったく……変態」

顔は赤いが酷い言われ様だと思う


ほ、ほぉー……!そうか、そーゆー事言ってくるか……!

滝「……まぁさぁみぃ……これを見ろぉ……」

岩「……は?」















.

















.












何故かまたひっぱたかれた。


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