表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
fml-proto  作者:
20/31

game/addicted to you

入学式から10日……ゆりの召集命令に戦線本部内はピリピリとした緊張感に包まれていた。


既に主要メンバーはこの場所へ集結している





……でも光とか奏がいないな……生徒会忙しいのか?


ゆ「遂に今年もこの時期がやってきたか……」


岩「何?なにか始まるの?」


天使の猛攻が……ってのが一瞬頭によぎったけど気のせいだろう


ゆ「運動会よ」


入「……それがどうかしたんですか?」


召集命令となんの関係があるのか、と入江が疑問の声をあげる




--この学校は進学の道を選ぶ生徒も多く通うことから、運動会等のイベントは三年生の部活引退前のこの時期に極力詰め込んでいる


……しかし入学してこんなにすぐ運動会か……


--もちろん新入生を早く学校に慣れされる、という目的も含まれているが……




ゆ「…………組み分けは三年生の代表者2名による取り合いよ。じゃんけんで勝った方から1人ずつ交互に延々と選んでいくわ」


関「……ダルいっすね」


ちなみにこの方式、何代か前の生徒会によって決められたものである。

能力のわからない一年等は待ってる時間がとても長くて退屈極まりない事で有名。




……ってそんな事どうでもいい


岩「面倒だけどそれがどうかしたのか?」




ゆ「せ、戦線部員として活躍を祈るわ、という事を伝えたかっただけよ?やるからには全力を尽くしなさい、という事を!」


高「個人MVP、と言いましょうか大活躍した個人の所属する部活に対して部費が支給されるのです」

遊「そのせいか毎年組内でも熾烈な争いが繰り広げられますね。

怪我人は毎年二桁は常識ですし」


…ここ本当に公立校だったよな?



藤「要は大活躍すれば打ち上げが豪華になるっつーわけだ」


ゆ「……まぁいいわ。やるからには全種目一位をとる気で頑張りなさい

豪華な飲み会が私達を待っているのだから!!」

「「「「おおーー!!!!」」」」






ゆ「……と、言うよりね。みんなコレ見てくれる?」


そういってゆりが取り出したのはSSSの制服である


日「おぉー懐かしいな!作ったのか?」


ゆ「ええ……作ったから部費もうないのよ」


大「それってつまり……」


ゆ「そう、活躍出来なきゃ打ち上げも無しよ……


だからみんな死ぬ気で戦って戦って、死になさい。みんなのアルコールのために!」


グッと拳を握りしめる

そして会議はそんな高校生としてはいかがな挨拶で幕を閉じたのだった










-------体育館

同日、放課後。



関「そして組み分けの日、私達ガルデモは何の因果か組み分け帽子によってバラバラの組にわけられたのです。


岩沢さんはグリフィン○ール、賢いあたしはレイブンク○ー、地味なみゆきちはハッ○ルパフ、凶悪、邪悪の代名詞なひさ子さんはスリ○リ…って痛い!痛いです!」

ひ「いきなりわけのわからない事始めてんじゃねーよ……」










……と、


関根がアホな事言っているうちに男子の組み分けが終了したようだ


リーダーは白組は光、赤組は音無……


組員は……と、白組は藤巻、松下、大山、TK……赤組は日向、野田、高松……ああ竹山もか


岩「綺麗に分かれたな」

ひ「だな」


次は女子か……


滝『よっしゃぁぁああ!!』


音「あー負けちまった……椎名か?ゆりか?どっちだ?」


滝『……まさみだ!』

音「なっ!?んじゃこっちも奏だ!」


--------









…………って感じに、最初なんか相変わらずのバカなやりとり(ちなみに直後同じ組の男子から2人とも袋叩きにされてた)があったけど……


白組はあたし、ひさ子、椎名……赤組は、奏、ゆり、関根、入江、遊佐と決まった






------白組本部


香「……ゆりも奏もあっちじゃないか!女子戦力は圧倒的に低いぞこっちは!」

滝「む……まず落ち着け、久しぶりの登場なんだから……」


胸ぐら掴むのは女子としてどうだろうと思うよ?


香「……岩沢と言ったか、そんなに戦力になるのか?」


岩「いや……椎名やひさ子はともかくあたしは……」


そう、香織は知らないだろうが椎名はかなり戦力になる!抑えられなければ完全に負けだったろうな……


藤「いいじゃねぇか

なんだかんだでいつもこいつはやってくれてんだからよ」


……まさみは完全に私欲だが。

藤巻……お前だけだよ俺の味方は……




松「……藤巻、お前ひさ子がいるから文句を言わないだけなのではないのか?」


藤「……さ、さて早く練習しようぜ」


香「……ったくこれだから男どもは……」




……とそんなこんなで組み分けも終わり練習が始まったのであった……
















..






















……せんせー

僕たち生徒一同はー 本番3日前から始まった練習の成果を十二分に発揮しー

自分自身の勝利の為に、全力でプレーする事を誓います

生徒代表ー滝沢 光ー!




ぱちぱちぱちぱちぱちぱち


岩「アイツは真面目にやる気あんのか?」

入「……今更ですよ岩沢さん」


そりゃ高校の運動会だし見にくるような親とかあんまりいないだろうしけど先生とか気にならないのかな……



『まさみー頑張れよー!!』

……聞き覚えのある声だがあたしは振り向かない


関「……いいんですか?」


岩「……いいよ」



……加えるなら来るような親も居なくはないんだからもう少しでも……

というかお父さん今日仕事じゃなかった?










.










.










.










《まずはプログラムナンバー1番、障害物競争です》


滝「俺は二組目……って痛い、痛いって」

柔軟するからってこうして押してるわけだけど……光めちゃくちゃ体固いな……


直「滝沢さん、僕の活躍をご覧ください」

直井……いたのか。すっかり忘れてた


滝「おー、頑張れよー」


直井は一組目らしい……他のメンバーは日向に大山、野田か










直『



…………さぁ、ポゴスティックの有能さに気付くんだ。


ホッピングの楽しさを知ってみるがいい……』


日「おお!?ポゴスティック……。

跳ねれる……跳ねて跳びまくれる……!」

野「最高だっ!!走るよりも楽しいに違いない!みなぎってきたぜ!!」









………………




……結果だけ言うと直井、大山の順にゴール。日向と野田は平均台の上にホッピングで飛び乗って、滑って落ちて台に腰を強打して医務室に搬送された


岩「……いいのかあれで」

滝「目的の為に手段を選んではいけない……仕方なかったんだ」


岩「や、戦線で仲間割れしてどうすんだよ……」


滝「……戦線以前に俺は組頭だからな


ところでまさみも柔軟した方が良いんじゃないか?」




岩「ん?ああ……そうだな」

そういって座ってるあたしの足側にきて……


………………


岩「……背中押す方が楽じゃない?」

両足を持ち上げて胸の方に押してくる


滝「いやこっちの方が目の保養に…


おまえによし 俺によし うん、よ」

岩「まずその卑猥な歌を止めろ」


……太ももにあたる手の動きがいやらしく感じてしまうのは気のせいではないと思う


滝「俺と違ってまさみは体柔ら……ぶべらっ!!??」

バキッ!!っと目の前の光の首が消えた、ように見えた


ひ「さっさと走れってんだバカヤロー」

滝「…ハイ」










--------




滝「…クラクラする、地面が揺れる」



ネットをくぐって……残るはパンを食ってゴールへ駆け込むだけだ……

しっかしこんなフラフラな状況で平均台とかよく渡れたものだ……ックソひさ子のやつ久しぶりに手加減無しできたぜ……

順位も三位確定じゃないか……?あーカッコわりぃ……


藤「おい滝沢!こっち見ろ!」

……んだよ、こっちは疲れてるっちゅーに……


…………










ラヴィ。










-------------






岩「ほひ、ふひはひ。はんはほへは

(おい、藤巻。なんだこれは)」

なぜあたしにパンをくわえさせるんだ


藤「まぁ見てろって……来るぜ」



来るって何が……(バシュッ!)


……振り向いた瞬間、一位独走中だった椎名まで追い越してきた『何か』が目の前に現れたかと思うと、パンを奪い去っていった……










------昼食


結局午前中、目の前の"下心ダシ夫"は終始あのペースだった。

……藤巻やひさ子もスゲーって感想言うばかりじゃなくさ、毎回付き合わされるあたしの身にもなって欲しい。


でもこんな感じだし全体的には楽勝かな?って思ってたら直井はあの後音無に怒られてフツーにやったから?出る競技全部日向達にボロ負けしてたし……結局マトモにとれたのは男女騎馬戦(光や松下、TK。女子は椎名や風紀委員の彼女が凄かった、あとひさ子も)だけだったと思う。

…何がいいたいってつまり点数的には負けてるわけだ








---------










赤組陣地ではゆりが高笑いしていた


ゆ「この調子なら勝てる!やるじゃないあなた達!こんなフェアによ?滝沢君の思うままにならないことなんてかつてあったかしら!いい気味ね!オーホッホッホッホッ…」

奏「ゆり、悪役みたいよ?」


音「というかデジャヴを感じるんだが」

つーかそういう事言うとなんか負ける気しかしねーんだが……


音「残りのなんだっけ?」

日「あー……応援合戦と、借り物に……リレーだな」




……借り物だって何故か高得点なうえに運絡むからな……


だが周りを見渡してみるとゆりを中心に既に買ったようなワイワイムード……


(……勝てるんだろうか)










--------




《次はプログラムナンバー10番、借り物競走です。出場する生徒は……》



というか高校にもなって借り物競走とかなんでプログラムに入ってんだろ……


一組目

岩沢、ひさ子、関根、入江


関「あの2人絶対話し合って決めてますよね?」

入「でも負けませんよ~」

まぁ借り物だしな、別に変わんないだろうし……


さっきからの流れから少し嫌な予感がしたがスタート位置について始まるのを待つ



《位置について、よーい……》


パァン!!という音と共に4人は紙の置いてある中間地点へ走り出す。

うち3人はトントン、といった感じだが1人、ひさ子は抜け出ていた。一番に中間地点にたどり着くと近場にあった紙を開く


ひ「何々……『COUNTDOWN TO EXTINCTION』


……なんだこれ?」


ひさ子が首を傾げていると岩沢も遅れて到着する


岩「ああ、メガデスのアルバムじゃないか。あたしのバックに入ってるから持ってきなよ」


ひ「お前がメガデス聞いてることに驚きだよ……つかなんで持ってきてんだよ……」


岩「光から借り……っていいから早くいかなきゃ」



そう言ってあたしも紙を開く


だってマーティのリフとか……クるじゃないか



まぁいい。えっと……『蛍』


ひ「……頭おかしいんじゃないか?この時期に、というか借り物で蛍持ってくるアホが何処にいるんだ」


岩「いや、ひさ子一緒に行こ。LOST IN TIMEの蛍も確かバックに入ってたハズだし」


ひ「あんのかよ!ヘビメタの後にロキノンとか音楽性幅広過ぎるっつーか統一性無さすぎるぜ……」

岩「今度一緒に光んち行くか?TSUT○YA並だったぜ?」

ひ「いや遠慮しとくわ……」




……そうか。まぁいいや、今はひさ子と陣地へ向かって走らなきゃ……










結局1分後、ひさ子と一緒にゴールしたんだけど……


関「お疲れ様でしたー」



入「お疲れ様です」


ゴールには2人の姿があつた。


岩「負けたか……」


関「いや、あたしらリタイアです。」






……2人の話を纏めると、関根の紙には『彼氏』と書いてあり、関根は泣きながら『いねーよ!!』と地面に叩きつけたそうで、入江の紙には可愛らしい字で『麻婆豆腐』と書かれておりこれまた当然無理だね、とリタイアしたそうだ。


……この学校は競技を真面目に行う気があるのだろうか(後になって聞いたが生徒会が用意全般を行っていたらしい)










----------



関「酷い目にあった……音無先輩も日向先輩も気をつけなよ?」




奏「結弦、頑張って」


……借り物の紙は滝沢と奏が用意した物だし不安に思っていたがまさかこれほどとは……

つかアイツ絶対贔屓してんだろ。麻婆以外ならあっちの2人しか持ってこれないもんだったし


奏「大丈夫、今度は簡単なものばかりだし問題ないはずだから」


奏が言うなら……


音「……麻婆はないよな?」


一応聞いておいたが『ないわ』と言っていたし大丈夫だろう……

よし、やるか







二組目

音無、日向、香織、藤巻


音「そういや日向お前腰もう大丈夫なのか?」



日「おう、もう完全に復活だぜ

一位でゴールしてやんよ!」


……


藤「……またそんなこと言っちまうと……」

香「音無……お前も頑張れよ……」


相手にまで慰められたしな……



《位置について、よーい…》


パァン!

日「よっしゃぁ!」


4人の中で抜け出したのは、やはりというか日向だった

そしてそのまま紙を拾い上げて開く、と日向が固まる

何事だと思って見てみると……




ユイ☆にゃん



の文字。


藤「……ほら、行ってこい。俺は『組頭』か」

香「よくわからんが頑張れよ、私は……『あたり、ゴールへ』

……悪いな」




日「なんでこんなのがあるんだよ!!why!?」



親友の不幸を横目に見つつ俺も紙を見る


……


音「そんなのってねぇよ……ねぇよ……!!


『初音』……!?」






奏ぇっ……!!










-------



ユ「岩沢さんお久しぶりです☆」

岩「ユイ!?」


結局あいつら2人が帰って来たのは一時間程経ってからだった。

日向がユイを負ぶさって来た時はビックリしたが……


話を聞くと入院しているそうだけどもうすぐ退院出来るそうだ


……よし、ユイと一緒にやれるなら演奏にも幅が出てくる、入院中も練習してたって言ってるから退院したら早速……


音「……で、どう、なったんだ?」

初「……急にどうしたのお兄ちゃん?」



ん?後ろに……妹か?を背負った音無が疲れて息も絶え絶え、といった様子で聞いてくる


岩「ああ……あたしらが勝ったよ?

お前らが帰って来ないからゆり達苦戦してたし」


日「こちとらわざわざ病院までいったのにコレかよ!」

ユ「ひなっち先輩カッコ悪いですね」

日「この口かそういう事いうのは~!」

ユ「いひゃい、いひゃいです!ギブギブ!!」


音「まぁでもどうせ戦線の誰かがMVPとったんだろ?」


……

岩「…………ああ、女子は椎名で男子は光だ……」


日「なんで今間があったんだ?万事OKじゃねーかよ」

岩「ああ……あいつら、兼部してたって知ってた?」










----------










今聞いた話を要約すると、椎名は部費の大部分を手芸部に、滝沢に至っては麻雀、戦線は0で今年作ったGDMFC(ガルデモファンクラブ、顧問不在のため同好会扱い)に全振りしていた


副会長だってのに俺はそんなのあったことも知らなかった上に、設立して日も浅いのに現在部員100人強のマンモスクラブに成長し、戦線メンバーからも藤巻、高松、松下、遊佐、チャーらが所属しているそうだ


岩「…んじゃあたしらも打ち上げ呼ばれてるからいくけどさ

ゆり達によろしく」

ユ「んじゃあたし達も行こうか初音ちゃん」

なんだって!?

初「ユイにゃんさんに誘われたから行ってくるねお兄ちゃん」

日「俺もFC入ってるからな…じゃあな、親友!」










.








音「奏がいてくれたらさ、こんな世界でも、俺は、寂しくないから……


前にも言ったかもしれない。俺はお前と一緒にいたい。これから先も、居続けたい」


奏「結弦、元気を出して」


奏……お前は一緒に…


奏「悩みがあるなら今日はガルデモFCの打ち上げがあるから明日聞くわ」




音「ず、ずっと……、ずっと一緒にいよう……!」

奏「うん。離して結弦」

音「愛してる。奏……!」

奏「うん。すごくありがとう。

だから離して?」

音「かなでぇ……っ!」

奏「愛してくれて、ありがとう

だから離して?」

音「消えないでくれっ!

奏……かなでぇ……!」












そんなのってねぇよ……。


ねぇよ……!



死にきれねぇよ……!!


奏……!!
















.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ