departure
滝「なぜ殺した!!!」
周りの奴らがビクッ!っと俺を見る。
滝「あー……なんで本部?」
岩「寮の前に全身バラバラで転がってたから松下君も呼んで運んだのよ。」
想像したくないな…
滝「ん、松下君、も?」
岩「ひさ子と関根もだね……アタシは頭」
滝「……今度何か奢るよ」
日「だいたい何があったんだよお前……」
滝「いや言わないけどとりあえず天使ちゃんは誤解させない方がいい……」
ゆ「はいはい話戻すわよ!」
ゆ「私達『死んでたまるか戦線』は、つい先日も『死んだ世界戦線』に戻ったり『生きた心地がしない戦線』に改名したものの、明らかなネタだったため再び『死んでたまるか戦線』に戻ってしまったわ。
ここは戦線メンバーの士気をあげる為にも、個性的かつネタにはしり過ぎない新たな戦線名を考えるべきよ」
ああそういう……
滝(ん?)
ふと視線を感じた方向を見ると
(音無いるじゃねぇか。
…つーことはいわゆる本編はここからか…)
ゆ「何かないかしら?ちなみに前に滝沢君が来た時に言ったものは全部却下ね」
滝「西部戦線」
ゆ「異常無し…って何言わせるのよ!」
大「じゃあ無敵艦隊!」
ゆ「今度は戦線じゃなくなってる」
岩「ガルデモと愉快な仲間達」
ゆ「ガルデモのオマケみたいじゃない」
藤「玉砕戦隊!」
ゆ「殴るわよ」
日「ライト兄弟!」
ゆ「大喜利か!」
我慢の限界か、ゆりの手刀がはしった。
ゆ「んもぅ、最後は戦線なのよ。これは譲れないわ。
あたし達はこの戦場の第一線にいるのよ?もっとマシな案はないの?」
そんな時、大山が何かに気付いた様子で声をあげる。
大「ねぇ、その人もう起きてるんじゃない?」
彼が示した先には、ソファーで横になる少年の姿があった。
ゆ「え?あぁ、気がついた?
そうだ、コイツにも考えさせてあったのよ。
時間はたっぷりあったわ、聞かせてもらいましょうか?」
音「何を?」
少年が不愉快そうに尋ねたがゆりは、
ゆ「死んでたまるか戦線に代わる、新しい部隊名よ」
音「勝手にやってろ戦線」
藤「ほぉ、ゆりっぺに刃向かうとはいい度胸じゃねぇか」
長ドスを背負いつつ音無に近寄る
音「勝手にやってろって言ってんだよ!」
音無は怒鳴りながら立ち上がると、少年は戦線メンバーを睨みつけた。
藤「んだと!?」
音「何なんだよお前らは!俺を巻き込むなよ!
俺はとっとと消えるんだ!」
高「消えたい?今ここに存在しているのにですか?」
音「ああそうだよ!」
ゆ「その説明はしたわ」
高「抗いもせず消されることを望むと?」
音「ああ」
高「……抗いもせずミジンコになると?」
音「ああ……あ?ミジンコ?」
滝「…予想外の名称にずいぶんアホな顔になってるな」
藤「は、魂が人間だけに宿るもんとでも思ってたのかよテメェ?」
椎「浅はかなり」
野田、そして部屋の片隅に立っていた椎名も言う。
松「次はふじつぼかもしれん。ヤドカリかもしれん。フナムシであるかもしれん」
岩「クラゲかもしれないし、磯巾着かもしれないね」
音「はぁ?そんなまさか?」
高「何故浜辺に集中してるのかと突っ込む余裕もなさそうな顔ですね。因みに意味なんてありません」
藤「ほぉら、とっととここから出ていけよ。天使のいいなりになって無事成仏するんだろ?
ふじつぼになって人間に食われでもすんだな。幸せな来世じゃねぇか」
音「……ふじつぼ?」
音無は頭にクエッションを浮かべつつ戦線メンバーは
大「えぇ!?ふじつぼって食べれるの?」
高「食用のものもあります」
藤「栄養価は高いらしいぜ」
滝「そーなのかー」
椎「浅はかなり」
不毛なやり取りをしていた…
ゆ「まぁまぁ皆、そんな追い出すような真似はしないであげなさい。
可哀相に、この我が……あ~……今何だっけ?」
滝「ガルデモと愉快な仲間達」
ゆ「そうそう♪ガルデモと……」
次の瞬間、爆音と共にの俺の顔面に足跡がつく。
ゆ「もとに戻す。死んだ世界戦線!」
滝「ありがとうございました!」
日「……お前キャラ変わったか?」
岩「……馬鹿」
ゆ「この戦線の本部にいる間は安全なんだから、彼はそれを知って逃げ込んで来たんでしょ?」
音「いやぁ知らないし、入ろうとした途端吹っ飛ばされたし、って言うか来世があったとして人間じゃないかもしれないなんて冗談だろ」
松「冗談ではない」
音「だって、そんなの確かめられないじゃないか。誰か見てきたのかよ」
ゆ「そりゃあ確かめられないわよ。
でも仏教では人に生まれ変わるとは限らないと考えられてるわ」
藤「人にだけ生まれ変わるってのは、よく考えればおかしな理屈だしな」
ゆ「……まぁ宗教なんて人間の考えたものなんだけど……でもね、良く聞きなさい。ここが大事よ。
あたし達がかつて生きてきた世界では、人の死は無差別に無作為に訪れるものだった。だから抗いようもなかった。でもこの世界は違うのよ。
天使にさえ抵抗し続ければ、存在し続けられる。抗えるのよ」
音「でも待て、その先にあるのは何なんだ?お前らは、何をしたいんだ?」
ゆ「私達の目的は天使を消し去ること、そしてこの世界を手に入れる。
まだ来て間もないから、混乱するのも無理ないわ。順応性を高めなさい。そしてあるがままを受け止めなさい」
音「そして、戦うのか?天使と」
ゆ「そうよ。共にね」
ゆりが手を伸ばす
音「…………」
…カリスマはやっぱりあるなぁ…
野「早まるな!ゆりっぺぁぁぁ……」
そう思っていた所で野田はドアを蹴り開け入ろうとしてきたがその瞬間ハンマーによって消えていた
ゆ「…まぁ良いわ。メンバーを紹介しとくわね
私はゆり、この戦線のリーダーよ。
で、彼が日向くん。
見た目通りちゃらんぽらんだけど、やるときはたまにやるわ」
一瞬誇らしげな表情をする日向だが
日「って、フォローになってないぜ!」
直ぐに気付いて突っ込む。
ゆ「彼は松下くん。柔道五段だから、敬意を持って皆は松下五段と呼ぶわ」
松下は音無に握手を求める。
それに応えると、今度は大山が続いた。
ゆ「彼は大山くん。特徴がないのが特徴よ」
そんな時メンバーの1人が音無に絡む
TK「Come on,let's dance!」
音「いや、踊らねぇけど」
ゆ「この人なりの挨拶よ。皆TKと呼んでいるわ。本名はだれも知らない謎の男よ。
眼鏡を一々持ち上げて知的に話すのが高松くん。本当はバカよ」
否定することもなく、高松は眼鏡を持ち上げる。
「後彼が藤巻くん。
で、さっき飛んでったのが野田くん。
影で浅はかなりって言い続けてるのが椎名さん。
こっちに座ってるのが岩沢さん。陽動部隊のリーダー。その隣にいるのが新入りの滝沢君。彼も陽動部隊よ。」
岩沢と共に軽く会釈しとく。
ゆ「後、ここにいないだけで、戦線のメンバーはまだ何十人も校内に潜伏してるわ。
……そう言えば、あなた名前は?」
すると、少年はしばらく考え込み、
音「あぁ…えっと、お……おと…音無。」
ゆ「下は?」
音「思い出せねぇ。」
日「記憶のないパターンか」
滝「まぁないならむしろ幸せなんだろうさ…」
岩「だろうね…でも思い出した時は辛いだろうけど知っておくべきでもあるし…正直難しいかな」