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5

私は小さな紙袋を手にして、お兄ちゃんの前に差し出した。


「お兄ちゃん、これあげる。」


お兄ちゃんは少し首をかしげて、紙袋を受け取った。


「なにこれ?」

「お兄ちゃん、ネタ困ってたじゃん。」

「うん、まあ……」

「だから、ネタを提供しようかと。別に使わなくてもいいよ。VTuberデビューのお祝いも兼ねてるから。」


お兄ちゃんは紙袋を見つめ、少し複雑そうな表情をしている。

「あ、ありがとう……?」

なんだか照れくさそうで、でも嬉しそうでもある。

まあ、いい。

「どういたしまして。」


「これ、開けていい?」

「ダメ。」


「ええ……?」

お兄ちゃんの困惑顔が、面白くて思わず笑いそうになる。


「気恥しいし、新鮮なリアクションが大事なんだから。配信で開けてよね。」

「せめて、何が入ってるかだけでも教えて?」

「じゃあ、一つだけね?」


お兄ちゃんはじっと待つ。

「うん。」


「手紙。ファンレターとも言う。」

「手紙……。」

「いやぁ、何年ぶりだろう。手紙なんて書くの。結構大変だったんだよ?」


お兄ちゃんは紙袋をぎゅっと握りしめる。

「俺も手紙もらったのなんて……いや、ないかも?」

「いや、年賀状くらいはあるんじゃない?」

「それカウントしていいヤツ?……まあ、うん。ありがとう。読ませてもらうよ。」


「やったぜ。」


小さくガッツポーズをする私に、お兄ちゃんは少し照れながらも笑った。

その笑顔を見るだけで、紙袋を渡した甲斐があったなと思う。


「これ、配信で使うの?」

「うん、リアル妹がデビュー時に手紙を書くって聞いたことないし。面白そうだなって。」


私は心の中でガッツポーズをもう一度して、にんまりする。

お兄ちゃんの新しい一歩を、自分の手でちょっとだけ後押しできた気がした。

そして、初めてのVTuberとしてのデビューの日が、もうすぐそこまで来ているのを感じていた。



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