1,死ぬまで君に片想い2
私のお隣さんは可愛らしい男の子だ。彼は私とは種族が違い、数千年もの時を生きているらしい。今も見た目は男の子だけれど、中身は私と同じ百歳。立派なお爺さんだ。
彼と初めて話したのは五歳の時だった。私が公園に遊びに行くと、いつも噴水の近くのベンチに腰掛けている男の子がいた。彼はいつも一人で、まるで誰とも関わりたくないと言っているかのようだった。私はそんな彼に興味を持った。それから毎日、毎日彼に話しかけて…
初めて笑ってくれた日のことは今も鮮明に覚えている。悪魔の子なのに、天使のような笑顔だったのだもの。今も彼はあの頃と変わらない姿で、彼曰く少しは成長しているそうだけれど…私はもう体が衰えてしまった。夫も先に逝ってしまった。夫を失った悲しみを知っているからこそ、私は大切な人を失う辛さを彼に感じてほしくない。
何度も考えた。もし私が彼と同じだけ長く生きられたら、ずっと一緒にいられるのにと。なんて、叶わぬ願いだけれども。もちろん、夫のことは愛していた。でも、それ以上に彼のことが好きで、愛していた。結婚すれば忘れていくと思ったのに…彼はずっと隣で支えてくれて、今もそばにいてくれる。
この世には「転生」というものが信じられている。
「ねえ、ルシェル…もし私が転生したら、あなたを寂しさから守れるのかしら」と、私は静かに呟いた。恋人になりたいとか、結ばれたいとか、そんな大きなことは望まない。ただ、もし私を転生させてくれるのなら、彼のそばにいさせてほしい。それだけでいい。彼のことを思うと、心が温かくなると同時に、切なくもなる。彼は私のことを覚えていてくれるのだろうか。私の願いはただ一つ。もう一度、彼と一緒に未来を歩きたい。私は静かに目を閉じ、心の中で祈る。もし本当に転生が可能なら、どうか私を彼のそばに導いてほしい。彼と再び出会い、もう一度、笑い合える日が来ることを願って。 そして、私は静かに微笑む。たとえそれが叶わぬ夢であっても、願い続けることに意味があると信じているから。
読んで頂きありがとうございました!
まずは一作品目として魔人と人間の両片想いのお話でした。長命種と人の恋はやっぱり王道かな、と
息抜きがてらのんびりと書いていこうと思っていますので次も是非読んで頂きたいです!