1,死ぬまで君に片想い
新シリーズというか、息抜きとして書いたものを見て頂きたいということで始めました。
異世界についての知識があまり無く、引っかかるところが多くあると思います。
(息抜きでテキトーに書いたので…)
それでも大丈夫だよ、という方は読んで頂ければ幸いです。
これはとある魔人の日記である。
魔人、それは悪魔と人間の間に生まれたものである。彼らの寿命は数千年とも言われている。かつて人々は彼らを忌み嫌っていたが、今では街の中で共に暮らしている。
僕が十歳になったとき、初めて恋をした。好きになったのは隣に住む女の子だ。でも、その子は人間だった。母からは「人間とだけは恋をするな」と言われていたため、心を押し殺し、ただの隣人として振る舞っていた。
僕が十八歳になったとき、彼女には好きな人ができた。最初はとても複雑な気持ちで胸が痛んだ。昼間は友達として彼女の幸せを願いながら自分の気持ちを抑え、夜は枕を濡らして泣いた。そうすることで、少しずつ心が軽くなっていった。
僕が二十五歳になったとき、彼女は結婚した。結婚式で彼女はとても幸せそうだった。僕はこれからも、良き友人として彼女の幸せを願い続けたいと思った。
僕が百歳になったとき、彼女は亡くなった。大往生だった。結婚してから75年間、彼女は夫だけを愛していた。僕のことはどう思っていたのだろう。しわくちゃになった顔は、初恋の頃とは全く違うけれど、それでもやっぱり素敵だった。彼女が僕を好きだったのだとしたら、と思ってしまう。
私が千五百歳を超えた頃、初恋の彼女が再びこの世に還ってきた。だが、記憶はひとかけらも残っていない。ただ、彼女と目の前にいる女の子は魂が同じだけで、別の人間だ。にもかかわらず、私は彼女の幸せを願ってしまう。
その女の子はお転婆で、私のことを怖がらないらしい。何事にも臆さず、年上の私にも友達のように接してくる。彼女と過ごす時間は、まるで新しい出会いのようでありながら、どこか懐かしさも感じさせる。
それから20年ほど経ち、その子もまた、夫だけを愛していると街の人々からは「おしどり夫婦」と呼ばれるようになった。そんな二人を見るたびに、私は胸が締め付けられる思いになる。
さらに80年ほど経った頃、その子も亡くなった。顔も姿も何もかも違うのに、私はまた彼女のことを愛してしまった。
そして、また彼女の魂がこの世に還ってきた。今度こそ関わらないようにと心に誓っても、気づけば心の中にすり抜けて入り込んでしまう。そして、そのたびに私は思うのだ。
「今度こそ、僕のことを想ってくれるのではないか」と。
何度も何度も繰り返されるこの思い。私はこの命が尽きるまで、彼女に何度でも恋をし続けるのだろう。