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断罪寸前の悪役令息に転生したので、ヒロインの幸せを願うことにします。  作者: 陽七 葵
第五章 恋心を自覚するまで

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悩み事

 遭難事件から数日経ち、明日から夏季休暇。すなわち、本日学園は学期末の最終日。


「なんで最後までお前の顔見なきゃなんないわけ? 早く自分の教室戻ったら?」


「明日から暫く会えないんだから良いじゃん」


 ルイスがお前と呼んでいる相手はヴァレンティン、ではなくアスランだ。


 実はリュシエンヌと同じ一年生だったらしい。こんなにキラキラ輝いていても学年が違うと分からないものだ。


 アスランは遭難事件の後から毎日のように俺のクラスに入り浸っている。俺とルイスを見分けるために。見分けがついた所で、リュシエンヌがアスランと婚約する保証などどこにもないのに。


「で? 見分けられるようになった?」


「うぅ……」


「これじゃリュシエンヌは渡せないね。諦めて他を当たりなよ」


「そう簡単に諦められるか。それなら決闘をしよう」


「諦められないって言いながら僕とセシルを見分けるのは諦めちゃうんだね。あーあ、熱血バカは疲れるね」


「ルイス、そのくらいにしたら? アスラン歳下なんだし」


 俺がアスランを庇うと、アスランが俺の胸に項垂れてきた。


「セシル。どうしてあんな奴と顔が同じなの? あれは悪魔だ。鬼だ」


「ほらルイス、アスラン泣いちゃったじゃん」


「泣き虫はリュシエンヌに嫌われちゃうよ。それよりお前、セシルとリュシエンヌを取り合ってるんだよね? 何でセシルに庇ってもらってんの? 馬鹿なの?」

 

 アスランがハッと我に返り、俺から離れた。


「そうだった。まんまとセシルの罠に引っかかるところだった」


 アスランは天然なのだろうか。やはり可愛いかもしれない。


「アスラン、はい、これあげる」


「ありがとう」


 チョコレートをアスランに渡せば、笑顔で食べている。可愛い。犬みたいだ。


「アスラン、そろそろ教室に戻った方が良いよ」


「うん。じゃあねー」


 アスランは笑顔で手を振って教室を去っていった。俺も自分の席に戻ろうと振り返れば、ルイスが呆れた顔で見ていた。


「セシル、あいつに甘すぎない?」


「そう?」


「リュシエンヌ取られても知らないよ」


「取られないよ。ルイスが縛ってるんだよ? リュシエンヌは逃げられない」

 

 新しい力も手に入れて、物理的にも逃げられないと思う。リュシエンヌが逃げようとすればどこまででも追いかけるはずだ。そして最悪無理心中……。


 考えるのはやめよう。恐ろしくなってきた。


「それよりさ、リゼットなんだけど」


「うん。なんか避けられてるよね」


「やっぱりあの時意識あったんじゃ……」


 遭難した際に、緊急事態とは言えリゼットを裸にして三人で抱き合った。そのことをリゼットは意識を失って知らない振りをしているだけなのかも知れない。


 一応伝えておくが、俺はリゼットの裸を見たからといって興奮はしていない。別の状況で見たなら鼻血では済まないが、今回は緊急事態。そんな余裕など毛頭ない。


「謝った方が良いかな?」


「でも、リゼットはずっと意識なかったよ。わざわざ掘り返して知らなくて良いこと教えるのも可哀想だよ」


「そうだね。明日から夏季休暇であんまり会わなくなるし、そっとしとこう」


◇◇◇◇


 帰りの馬車の中、やはりリゼットの態度がおかしい。顔は強張って、体もガチガチに固まって身動きすらしない。


「リゼット、大丈夫?」


「う、うん。何が?」


 そっとしておこうと決めたのに声をかけたのが間違いだった。『何が?』には何と返せば良い。『体が硬いよ』『顔が強張ってるよ』『何かあった?』どれも駄目だ。『裸で抱き合ったから』の答えしか返ってこない気がする。


 黙っていると、馬車が止まった。


「あれ? まだ家に着くには早いよね。ちょっと覗いてくるね」


 そう言ってルイスが立ちあがろうとするとリゼットがその手を取って引き留めた。


「行かないで」


「え?」


 ルイスも驚きが隠せないでいる。ルイスが座り直すと、御者が扉を開けて声をかけてきた。


「ランベール公爵子息様がリゼット様に御用があるとお見えですが、いかが致しましょう」


「ランベールって言ったら、あいつだよね」


「うん。そうだと思う」


 ランベール公爵家はアヴリーヌ公爵家に並ぶ三大公爵家の一つ。その息子デイヴィッド・ランベールは以前からリゼットを狙っていた。


 しかし、俺とルイスでリゼットを囲っていた為、手出しできずにいた。今更何をしにきたのだろうか。


「リゼットどうする? 追い返そうか?」


「でも……」


 リゼットの緊張が更に強くなったのが分かった。


「俺が用件聞いてくるよ」


「ううん、私が行く。だから二人ともそばにいて」


「「もちろん」」


 リゼットからお願いされたのは久しぶりかもしれない。デイヴィッドと何かあるのだろうか。


 俺とルイスが先に降りて、最後にリゼットが馬車から降りた。


 そこには一人の男性が立っていた。真っ赤に燃えるような赤い髪に赤い瞳、作ったような笑顔を浮かべるこの男は間違いなくデイヴィッドだ。


「やあ、リゼット。先日はどうも。困るなぁ早速他の男と一緒だなんて、浮気かい?」

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