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断罪寸前の悪役令息に転生したので、ヒロインの幸せを願うことにします。  作者: 陽七 葵
第五章 恋心を自覚するまで

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恋敵現る

 俺はルイスに抱きしめられ、そして俺の背後にはリゼットがピタッとくっついている。何とも滑稽な状況で馬に跨った青年と睨み合っている。


 青年は言った。


「お前らのどっちかだよね? リュシエンヌの婚約者って」


「だったらどうした。関係ないだろ」


「関係大有りだね。リュシエンヌと結婚するのは俺だもん」


「あ、ごめん、誰か知らないけどちょっと待ってくれる?」


「は? なに?」


「ルイス、リゼット……」


 威勢よく返したいが、ルイスとリゼットがくっついていては間抜けすぎる。一旦離れてもらわなければ。そう思ってルイスとリゼットに声をかければ二人が渋々離れていった。


 青年に向き直って俺は聞いた。


「で? なんだっけ?」


「だから、リュシエンヌと結婚するのは俺なの」


 何を言っているのか理解が出来なかった。互いの両親から認めてもらい、正式な婚約を交わしたのは俺だ。そしてこの勘違い野郎は誰なんだ。


 青年を呆然と見つめていると、ルイスによって蹴り飛ばされたヴァレンティンが復活したようで、俺の前に来て青年に言った。


「アスラン、何度言ったら分かるんだ。リュシエンヌの婚約者はこのセシルだ」


「そっちはルイスだ」


 俺がヴァレンティンに指摘すると、何食わぬ顔で同じセリフをもう一度言った。


「アスラン、何度言ったら分かるんだ。リュシエンヌの婚約者はこのセシルだ」


「ヴァレンティン、バレてるから。何事もなかったかのように振る舞っても間違ったのあの人にバレバレだから」


 ヴァレンティンに突っ込みを入れつつ、一番疑問に思っていることを聞いてみた。


「ヴァレンティン、知り合いなの?」


「ああ、あいつは僕の従兄弟だ」


「なるほど。だからか……」


「だからって?」


 ルイスが俺に聞いてきたので、素直に応えた。


「物凄く格好良いなって」


 銀髪に金色の眼をした青年はヴァレンティンに負けず劣らずな美青年なのだ。サラッサラの銀髪は陽の光に反射して更に輝きを増している。


「セシル?」


 ルイスが隣で青筋を立てながらにっこり笑ってこちらを見ている。


「あれ、ルイス。俺なんか余計なこと……?」


「あんなのが格好良いの? 僕よりあんなのが良いんだ」


「ル、ルイスが一番格好良いよ。あんな折り紙のおまけみたいな奴興味の欠片もないよ。『金と銀入ってます!』の謳い文句には騙されないから!」


 必死にルイスの機嫌を取っていると、馬から降りてきたアスランが近づいてきて言った。


「なんか分かんないけど、今俺を馬鹿にしたよね」


「いえ、してませんよ。ヴァレンティンの従兄弟を馬鹿になんて」


「セシル? 興味の欠片もないんだよね?」


 目の前でアスランに睨みつけられ、右隣ではまだルイスが青筋を立てながらにっこり笑っている。さらに左隣にはリゼットが困惑した顔で俺を見ている。美男美女に挟まれて、目眩がしてきた。


 そこへ安定のヴァレンティンが助けてくれた。


「ところでアスランは何をしに来たんだ?」


「リュシエンヌを横から掻っ攫った奴の本性を探りに跡をつけてきたんだ。案の定、他の女とイチャついてたね。陛下に言ったらどうなるかなぁ」


 横目でアスランに見られたが、返す言葉がない。ルイスは別として、リゼットがくっついていたのは事実だ。


 俺が何も言えないでいると、リゼットが口を開いた。


「何を仰っているのですか? 私はセシルとイチャついてなんていませんよ」


「何言ってんの? さっき、こいつにくっついてたよね?」


 アスランがリゼットに詰め寄るが、リゼットは怯む様子なく俺の腕を組みながら言った。


「私がイチャイチャしてるのはルイスです。セシルはあっち。こんなに顔が違うのに分からないなんて、あなたの目は節穴なのでは?」


「は? さっきこっちがセシルって……」


 ルイスも俺の振りをしながら言った。


「ヴァレンティンを揶揄って遊んでただけに決まってるだろ。俺とルイスを見分けられないなんて、やっぱりヴァレンティンの従兄弟なだけあるな」


「なッ。お前らに会うの初めてなんだからしょうがないだろ」


 顔を赤くして怒っているアスラン。それを見ながら、双子って便利だなとしみじみと思った。


 アスランにふとルイスが疑問を投げかけた。


「リュシエンヌを横取りしたって言うけどさ、リュシエンヌと付き合ったりしてたの? 全くそんなの聞いてないんだけど」


「ああ、しっかりと付き合って……」


「いや、こいつの片思いだ。リュシエンヌは全く眼中にない」


 アスランの言葉を遮ってヴァレンティンがそう言うと、アスランの顔が今度は羞恥で赤くなった。


「そんなことない! リュシエンヌは俺を嫌いじゃないって言ったんだから。それは正に相思相愛……」


「勘違いも甚だしいね。今日のこと、リュシエンヌに言っても良い? 次は嫌いって言われるかもね」


 ルイスがにやりと笑うと、赤かったアスランの顔が今度は青ざめた。百面相をしているアスランは、開き直ったように言った。


「いや、良いよ言っても。男も一緒だからってリュシエンヌ以外の女と遊んでるのは事実なんだから。絶対にお前の弱みを握って婚約破棄させてやる!」


「この俺に喧嘩を売るとは良い度胸だ。受けて立とう」


 俺の代わりにルイスが宣戦布告を受け取った。

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