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断罪寸前の悪役令息に転生したので、ヒロインの幸せを願うことにします。  作者: 陽七 葵
第三章 関係修復

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顔面破壊兵器

 夜会会場に着いた俺とルイス、リゼットは三人仲良く手を繋ぎ、何故か俺が真ん中で腕もしっかりホールドされた状態で受付にやってきた。


「リゼット、一旦入ってしまえば大丈夫だよ。途中退場はよっぽどじゃないと出来ないから」


「分かった。セシル、ごめんね」


 ルイスの言葉にリゼットが返事をすると同時に、俺の腕に絡みついているリゼットの細い腕に力が入ったのが分かった。


「いや、リゼット。俺の方こそごめん。気付いてあげられなくて」


 そう言うと、リゼットがキョトンとした顔で見上げてきた。その美しすぎる顔を直視してしまって俺は顔を真っ赤にして固まった。


 前世の記憶を取り戻してからは、ほぼ遠目からしか見ていなかったし、やむおえず近くで話した時も大抵リゼットは俯いていた。


 俺と同じルイスの顔ですら未だに至近距離では見られないのに、女子の、それもヒロインの麗しい顔なんて直視できるはずがない。


 そんなことを考えていると、リゼットがオロオロし始めた。


「あれ? セ、セシル、血が……」


 リゼットの細い腕がするりと離れたかと思えば、その手は俺の頬に触れた。


「ルイス、ごめん。もう無理」


 それだけ言い残して、俺は鼻から血を流しながら意識を手放した。


「え、セシル? 無理ってなに? どうしちゃったの」


◇◇◇◇


 温かい。まるで布団に包まれているかのように温かい。


「セシル? 大丈夫?」


 ルイスの心配そうな声がする。


 おそるおそる目を開けると眩しすぎて再び目を固く瞑った。視界いっぱいにルイスとリゼットの顔があったのだ。


 俺は先制パンチを食らってしまい、立てそうにない。自身の身を守るため、かけてあった毛布を頭から被った。


「え、何してるの? セシル?」


「ねぇルイス、セシルどうしちゃったの?」


「分かんない。せーので毛布はがしてみよっか」


 ルイスとリゼットが俺が被っている毛布に手をかけた。その瞬間、俺は慌てて二人に言った。


「俺の防御取らないで。そして二人同時攻撃はやめてくれ。せめて一人ずつ」


「は? 何言ってるの? もう夜会始まっちゃってるよ」


「夜会に行く前に俺が死んでも良いのか」


「え、セシル何か重い病気でも……?」


 リゼットの困惑した声がする。その声に俺は至極真面目に応えた。


「今はかろうじて命をとりとめているが、このままでは失血死する」


 鼻腔内からの大量出血によって。美しすぎるリゼットの顔は凶器だ。顔面破壊力が半端ない。それがルイスも交えて二つ同時となれば確実に死ぬ。


「え……ルイスどうしよう。セシルが死んじゃう」


「セシルは病気なんて患ってないよ。リゼット、良いって言うまで少し隣の部屋行っててくれる?」


「分かった」


 パタン。


 扉が閉まる音が聞こえると、ルイスが俺に言った。


「セシルどうしちゃったの? リゼットは隣の部屋に行ってもらったから出てきなよ」


 毛布から頭をひょこっと出せば、ルイスが怪訝な顔でこちらを見ている。


「だって、あんなにも威力が凄いと思わなかったんだ。顔面破壊兵器とは恐ろしい……」


「は?」


「とにかく、俺は夜会が終わるまでここで待機してるよ」


「へー、リゼットを誘ったのはセシルなのに全部僕に丸投げするんだ」


 ルイスが試すような言い方をしてくるので、不貞腐れながら言った。


「良いだろ。恋人同士なんだし」


「は? 誰と誰が?」


「ルイスとリゼット」


 ルイスがポカンとした顔で俺の顔をじっと見ている。


 これは図星のようだ。図星を突かれてどう返答しようか悩んでいるのだろう。しかし見つめられすぎると照れる。


「十秒見つめるとキスするよ」


 照れ隠しにルイスに以前言われたことを言ってみた。するとルイスがニヤリと笑った。


「セシル、言うようになったね」


「あ、ごめん。嘘、今の嘘だから」


 そんな言葉も虚しく、俺はルイスにキスされた。舌まで入れられて。


「ハァハァ……もうダメ」


「セシルが自分で言ったんだからね。それにしても馬車の中で変な妄想してると思ったら僕とリゼットがね……」


 ルイスの指が俺の唇をなぞって続けた。


「こういうことしてるの妄想してたんだ。セシルのエッチ」


「だって、ルイスうますぎるから」


「あいにく僕はセシルとが初めてだよ」


 再びルイスの舌が俺の舌に絡み付き、頭が痺れてきた。


 あ、まずい。また鼻血でそう。


 ルイスの舌が糸を引きながら離れると、耳元で囁いてきた。


「続きはまた後でね」


「なっ……!?」


「失血死は言い過ぎでも、また倒れられたら困るもん。今はリゼットもいるし、帰ってから家で二人きりの時が良いよね」


 ルイスはニコッと爽やかに笑うが、家に帰ればさも最後まで致してしまうような言い方だ。


「だって僕が初めてか疑ってるんでしょ? 実戦で疑いを晴らすのが一番だよ」


「いやいや、信じるから。そしてもう二度とルイスに変な冗談言わないから許して」


「残念。とにかく僕はセシルに隠し事なんてしてないから安心して良いよ。だから、僕もリゼットの今日の態度は戸惑ってるんだよ」


「そっか」


 リゼットの態度がおかしいのは気がかりではあるが、とにかく夜会を乗り越えなければ。


 ルイスと恋人同士でないのであれば、自分からリゼットを誘った手前、欠席する訳にはいかない。欠席なんてしたらリゼットへの嫌がらせを加速させるだけだ。


 いくらリゼットの顔が顔面破壊兵器だとしても、俺は負けない。


「よし、夜会が終わる前に早く行こう。ルイス、俺は勝ち残ってみせるから」


「セシルは何と戦う気なの? ここ夜会だよ」

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