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断罪寸前の悪役令息に転生したので、ヒロインの幸せを願うことにします。  作者: 陽七 葵
第二章 ラブラブ大作戦

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作戦終了

「良かったの? 勝手に帰って来ちゃって」


「うん。言いたいことは言ったし、これ以上話しても追い込むだけだ。悪役は退場しよう」


 リゼットは間一髪のところでヴァレンティンに助けられた。俺とルイスだけでは間に合わなかった。


 俺は心からヴァレンティンに感謝した。泣いているリゼットを横目に様々な思いを込めて俺はヴァレンティンに言った。


『リゼットを頼む』


 そして、俺はルイスと共にその場を後にした——。


「ルイスも分かっただろ? ヴァレンティンに見せる顔と、俺とルイスに見せる顔が明らかに違うの」


「うん。あれは正直ショックだったな」


「吊り橋効果でリゼットとヴァレンティンも今頃良い感じになってるよ」


「遠回りしちゃったけど、小説のシナリオ通りにいった訳だね。僕たちはこれからどうすれば良いんだろうね」


 俺は暫し考えたが、何も思いつかなかったので何気なくルイスに言ってみた。


「結婚相手でも見つけるか」


「良いんじゃない」


「え、ルイス反対しないの?」


「なんで? 学園卒業すれば父さんの後を継がないといけないし、世継ぎの為にいずれ政略結婚させられる訳だし、良いんじゃないの」


 その言葉を聞いて俺は唖然とし、思わずルイスの顔をじっと見つめてしまった。


「なに?」


「いや、ルイスがまともだなと」


「十秒見つめたらキスするよ」


 照れ隠しにルイスが冗談を言っているが、俺はやはり信じられなくてルイスをじっと見た。


 だって、あのルイスだ。お互いに依存し合っている双子。そんな弟はそんな普通なことを言う奴ではない。


『結婚なんてしなくても、僕たち二人でなんとかなるよ』『世継ぎは養子でどうにかなるよ』『そもそも後なんて継がなくて良くない?』


 大体こんな返しだと思って油断していた。大人になったんだなとしみじみ思っていると、ルイスの唇が俺のそれに触れた。


「は?」


「十秒見つめたらキスするって言ったじゃん」


「い、いや、言ってたけど冗談だって思うだろ。初めてだったのに」


「セシル耳まで真っ赤になっちゃって可愛いんだから。元気でた?」


「ルイス、わざと……?」


 落ち込んでいる俺を元気付ける為にやったことのようだ。


 ファーストキスを双子の弟に奪われてしまったが、三歳くらいまでは日常的にやっていたことだ。カウントしなくて良いだろう。


◇◇◇◇


 翌々日。学園に通学中、王家の馬車が目の前に止まった。中からは言わずもがな、プラチナブロンドの髪をキラキラ輝かせたヴァレンティンが出てきた。


「ルイス聞いてくれ!」


「セシルだ」


「セシル聞いてくれ、リゼットがな」


「良かったな。付き合えたんだろう」


 うんうんと笑顔でヴァレンティンを見ていると、予想外の返答が返ってきた。


「二度と僕に会いたくないと言われたんだ」


「は?」


「学園では会うがな、それ以外で会ってくれなければ求愛のしようがない。どうすれば良いと思う? いっそのこと攫ってしまおうか」


「待て待て、犯罪は駄目だ。それより、吊り橋効果で良い感じになったんじゃないのか? 俺がヴァレンティンに託した思いはどこにいった」


「僕も最初は良い感じかと思ったんだ。リゼットは死ぬつもりなど無かったから、助かった時も本気で感謝された」


 ヴァレンティンが何やらメモを出して続きを話した。


「それから喧嘩になることもなくリゼットを屋敷の前まで送ったのだ。このまま愛を囁けばどうにかなるのではないかと思い、セシルに伝授された女子が喜ぶワードとやらを並べ上げたのだ」


「まさか……屋敷の目の前で? そのまま、二十個全部?」


「そうだ。そして最後にな、キ……キスをな、しようとしたんだ。ここに書いてあったから」


 確かに書いた。『良い感じになればキスで締めくくるのも良い』と。


 だって、星空の下、リゼットとヴァレンティンのキスシーンが小説の挿絵にあったから。だが、あくまでも『良い感じになれば』の話だ。


 ヴァレンティンが沈んだ顔で続けた。


「そうすれば、思い切り頬を叩かれて言われたんだ」


『少しは見直したと思いましたが、勘違いだったようです。反逆罪になろうと構いません。殿下とは二度と会いたくありません。連絡もしてこないで下さい』


「と。僕はどうしたら良いんだ……」


 呆れを通り越して怒りが沸いてきた。


「ヴァレンティン、率直に言う。お前は馬鹿なのか? 屋敷の目の前なんて、御両親や使用人達の目もあるんだ。愛を囁くなんて付き合いたてのカップル以外は厳禁だ。キスなんてもってのほかだ。それに二十個も愛をつらつらと並べ上げられたら気持ち悪いだろ。あれは一つひとつ時と場合を考えて……」


 俺がヴァレンティンに説教している横でルイスがケラケラと笑っている。俺の怒りとルイスの笑いが収まると、ルイスと俺は口々に言った。


「お前、セシルの説教が聞けるなんて良かったじゃん。中々ないよ。てか、もう諦めた方が良いんじゃない?」


「申し訳ないが、俺もこれ以上のアドバイスは出来そうにない」


「そんな……」


 ヴァレンティンは落ち込んでいるが、まさか学園の成績はトップで公務もしっかりと務め上げている王子が、こんなにも恋愛に関してポンコツだとは思わなかった。


 小説ではどうやってリゼットと結ばれたのだろうか。考えても分からないので、俺はヴァレンティンに提案した。


「ヴァレンティンもリゼット諦めて俺と婚活しよう」


 リゼットとヴァレンティンの恋路は諦めて、リゼットには自分の好きな相手と好きなように愛を深めてもらおう。


 こうして、ヴァレンティンとリゼットのラブラブ大作戦はあっという間に幕を閉じた。

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