九
太刀が二、槍が二――鬼兵四体の内、槍の一体が前に出る。
「グォォォオオオオッ!!」
力任せに振り回す槍をキキは右に左に流し。
突いてくれれば懐に入りやすいが、振り回されると間合いに入るのは難しい。ならば、槍を飛んで躱し、頭上を狙うが良いが……
「オォォオオオオオッッ!!」
槍の直ぐ後ろには三体の鬼兵と無数の鬼が居る。一太刀で斬れない以上、飛び込むのは危ない。
――と、誰もが思うだろう。
キキは手にした刀を空へと投げる。続けて二本、三本と鬼の頭上へと高く投げ。
ザッ!!
一本は手に握り、疾風の如く駆け出した。振り回される槍を飛び越え、鬼兵の肩を蹴り、身体を回転させ鬼の群れに入り――降り際に一体の鬼の首を斬る。
それは舞うように――
風の鳴く声だけが響き、血が散り飛んだ。
二体、三体と首を斬り、鬼の身体を蹴り、未だ宙にあった刀の一本を手に取り、上段で振り下ろす。
噴き上げる血の玉よりも速く地に降り、振り下ろされる鬼の腕を躱し、地に足を滑らせ、袖を揺らし、身体を回転させ。
それは刹那の刻――鬼と戯れ踊るように、キキは剣舞を舞った。
腕を蹴り飛び上がり、首を斬り、肩を蹴り、鬼の身体を渡り。鬼は腕を上げ掴もうとするも届かず、キキは一体の首に刀を突き刺すと、高く飛び群れから少し離れた場所へと降りる。
落ちていた刀を手に取り、そうしてまた、群れの中に飛び込んだ。
「貴様ァアアアアアアアァアアッッッ!!!」
鬼を掻き分け、鬼兵が太刀を薙ぐ。キキは焦ることなく流し……だが、
「ォォオオオオオオオッッ!!」
続けて振り下ろされる太刀を半歩下がることで躱し、そして、キキは身体を回転させ刀を斬り上げた。
ギキィンッ!
突かれる槍を弾き、尚、身体の回転を止めぬまま飛び上がる。
続くもう一本の槍を飛び交わし、たんっと槍の柄に足を付け更に高く飛び上がり、囲む鬼兵の頭上を越え――
――ィィン
鬼兵のすぐ後ろに居た鬼二体の首を斬り薙ぎ、けれど。
「囲メッ! 押シツブセェェエッ!!」
鬼兵が吠え、その声に応えるように鬼達はキキへと一気に襲いかかった。




