六
――兵士達がその場所をいち早く見つけたのは、もうもうと上がる煙と肉の燃える匂いに気付いたからだった。
そこには、信じられぬ光景が広がっていた。
小さな幼い少女が鬼を引きずり、焚火に入れている。その異様な光景に、誰もが声も出せず、ある者などは目を逸らし身体を震わせた。
「…………」
ようやく着きましたか――そう言いそうになって、それはずいぶんな皮肉とも思いキキは無言で兵士達を見つめた。
「……何をしている……お前は」
一時の後、ようやくそう口に出したのは隊長の居倉橋だった。
「鬼を燃やしています……例え、化け物とて死ねば骸。慈悲を持ってもよいでしょう」
「そうではないっ!!」
居倉橋は怒鳴り、だんっと足を鳴らしつつキキに近づこうとし……だが、途中で身体を止めた。
「お前はっ……お前が一人でやったのかっ」
「はい」
「後ろに居ろと命令したはずだっ!」
「聞いております。ですが、ここに来た目的は鬼の討伐です。それを成したまでです」
「子供が勝手に動くなっ!!」
殴りそうな勢いで……けれど、殴らなかったのはキキに恐怖しているからだろう。
キキは居倉橋に対し、何も言わなかった。今の状態で何を話したところで無駄であろうことは分かっている。
「…………」
――視線を外し、キキは引きずっていた鬼を焚火に入れた。視線を向けたままでは居倉橋は動けぬだろう。自分のような化け物に視線を向けられたままでは。
「……ちっ」
居倉橋は舌打ちし、背を向けた。
「もういい! 戻るぞ!」
兵士達に伝え、先に歩き出す。
「……お待ちください」
「ぁ……?」
「せめて、死んだ村人の墓は作ってあげましょう」
「お前が勝手にやっておけ! 我々は戻るっ!」
居倉橋と、そして、兵士達はそのまま去って行った。キキを気遣う者もいない。
自分のせいで、死んだ人間まで冷たくされたようで……そのことを悲しくも思い、心で「ごめんね」と謝った。
それから、キキは村人の墓を作り……離れた場所に鬼も埋めた。残念ながら骨になるまで燃やすことはできなかったが、せめて土に戻れるようにと。




