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戦狂のキキ  作者: shio
第四章
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十四


「おおっ、お前が京から来た鬼か! 女とは思わなかったが、よくぞ参った!」

王丹おうに……お前は戻っておれ」

「何をいう兄者っ! 京の鬼殿、よくぞ都を滅ぼしてくれた! 我らも続こうとこうして鬼を集めていたのだ、さあ、共に人を滅ぼそうぞ!!」

「…………」


 肩を触ろうとする大男、王丹にカナは静かに視線を向けた――その視線にびくりと身体を震わせ、王丹は手を引っ込める。


「……温羅殿、この者は」

「弟だ……無礼は詫びよう」

「いや」


 カナは首を振った。鬼らしいのはこの大男のほうだろう、とふと思う。だからといって、好意を持つことなどなかったが。

 だが、面白い事も聞いた。


「人を滅ぼす為に鬼を集めていたと?」

「……そやつが勝手にやったこと、儂は知らぬ」

「兄者! まだ、そんなことを言うておるのかっ!」

「黙れ、王丹」

「っ……!」


 温羅に睨まれ王丹は奥歯を噛みしめ、言葉を飲んだ。

 大きな身体の割に、中身は子供……力はあるが使えぬ、とそう頭の隅で思いつつ、カナは口を開く。


「妙なことを言う。温羅殿は人間の味方か」


 その問いに、阿曽と王丹の顔に緊張が走った。

 応えによっては、京の鬼を敵に回すことにもなり得る……だが、温羅は変わらず。


「儂は誰の味方にもならぬ……鉄いじりが出来ればそれで良い」

「ふむ。だが、近くに人間が陣を張っているのは知っていよう。今は様子を伺っているようだが、近い内に攻めてくる」

「そうだ、兄者っ! 今のうちにこちらから攻めて――!」

「黙れといっている」


 再び王丹を黙らせ、話は終わりと言うように温羅は立ち上がった。


「カナ殿、京からわざわざ来たのだ、客人としてもてなそう。ゆっくりしていってくれ」

「かたじけない、厚意感謝する」

「っ、兄者!!」


 奥へと歩いて行く温羅の後をどたどたと王丹は追いかけて行く。


「……騒がしくて申し訳ありません」

「いや、気にはしていない」


 阿曽の言葉にカナは軽く首を振った。


「御部屋へご案内します。こちらへ、カナ様」


 微笑み、促され、カナは立ち上がった。


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