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戦狂のキキ  作者: shio
第四章
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「しかし、照灯は楽しそうだな」

「京のことを思い出すからでしょう。照灯は屋敷でも街でも、幼き子に学問を教えていましたから」

「そうだな」


 そういう照灯だからこそ、キキを人一倍構ってしまうのだろう。少し過保護なところもあるが。


「志伊と伊奈の様子はどうだ」

「元々、陰陽師は女所帯ですからね。男ばかりの武家よりも生活はしやすいかと……武家でどういうふうに過ごしていたか分かりませんが、少なくとも不満などはないように見えます。伊奈はよく和可と一緒に料理もしているようですし」

「訓練のほうは?」

「武家でも訓練していたのでしょう。剣ならば志伊はそこらの兵よりも強いし、才もあります。伊奈は戦うということ自体が苦手のようですが、照灯は術の才はあるのではないかと」

「ふむ、そうか……ならば、キキはどうだ。あまり楽しそうにはしていないが」

「そうですね……」


 那都は苦笑し、咲久夜と同じくキキへと視線を向けた。


「難しいです……純粋過ぎるからこそ、真っ白過ぎるからこそ、教えることが逆にキキを曇らせてしまうのでないかと」


 数日前のことを思い出す。那都がキキに武術を教えようとした日のことを――


『さあ、まずは好きに打ち込んでみて』

『――――』


 那都の言葉に、キキは迷うように悩むように握った木刀を見つめた。


『? どうした、キキ?』

『いえ……那都様、わたしは殺す戦いしか知りません』

『…………』


 幼き子の澄んだ声でそう伝えられ、那都もまたどう応えていいか分からず口をつぐんでしまった。

 考えれば、キキは誰からも教えられず教わらず、あれだけの戦いをし鬼を倒した。それは武術ということだけでみれば、おそらく須佐や礒猛よりも上。この陣で一番の実力ということだった。

 殺すすべしか知らないというのは悲しいことだが……それでも、だからといって、そんなキキに何かを教え変えてしまっていいのか。


(……キキには何も教えないほうがいいのかもしれない)


 那都は内で呟いた。

 自然、そのままのほうがいいのかもしれない。何かの型に嵌めてしまえば、キキは逆に弱くなる。そう感じる。

 もちろん一から習うのなら型を覚えることで強くなれる。だが、キキはすでに強い。型を覚えてしまえば逆に動きを狭めるだろう。


(とはいっても)


 那都は苦笑してしまう。志伊、伊奈と共にキキにも武術を教えてくれと咲久夜から頼まれたが、教えることが無くなってしまった。


『キキ、隠れん坊でもする?』

『いえ……那都様』


 断られ那都は笑い、キキの頭を撫でた。


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