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戦狂のキキ  作者: shio
第四章
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「聞けば……いえ、聞いたときは信じられませんでしたが、本当のようですね」


 完全にはとれていない血の跡のついたキキの装束。戦いの後の証。


「あんな幼い子まで戦わせて……どういうおつもりなのですか? 陰陽師の方々もです」

「いや、志伊よ、あの子供は……」

「あの子供は、なんなのですか」

「あー……」


 説明しようとして、礒猛は再び困ったように言葉を濁す。

 それもそのはず。礒猛はキキの戦いを見ていない。鬼気持ちとは知っていても、本心ではまだ幼子としか見ていなかった。

 自分も実際に見るまでは信じていなかった……須佐はふっと息をつく。


「その者は……」


 つい半刻前の事を思い出す。



『……おい』


 掛けられた声にキキは振り向いた。


『何故、鬼の誘いを断らなかった』


 須佐の問いに、一瞬その場に居た皆に緊張が走る。

 けれど、キキは変わらず、静かに。


『……付いていき、鬼の長を全て倒せば戦は終わると思いました』


 そう答えた。

 法螺でも、戯れでもない。恐れもない、かといって、勇ましくも無い。全くの自然。


 ――そして、倒せることを疑っていない。


『…………』


 咲久夜達がキキを見つめ苦笑する中、須佐だけは視線を外し俯いた。



「――鬼子おにこだ」

「鬼子……貴女が鬼気持ち」


 志伊は再びキキを見つめた。子供とは聞いていたが、あまりにも幼く見える。そんな幼子が十数の鬼を一人で倒したなどと俄には信じられない。

 だからだろう、志伊は尚言葉を次いだ。


「ですが、兄上。それでは理由にはなりません。鬼子とは言ってもその子はまだ幼い女の子。それに、兄上とて本当に鬼の子だと思っているわけではないでしょう」

「…………」

「……まさか、本当に鬼の子だと思っているのですか?」


 応えない須佐に、志伊は驚き問いを重ねる。


(……助け船を出すわけでは無いが)


 咲久夜は内で呟き、


「キキは二十体以上の鬼を倒した。それは真だ」


 武家の話、兄妹きょうだいの話と、口を挟まないようにとは思っていたが、二人のやり取りに口を開き続けた。


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