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戦狂のキキ  作者: shio
幕間
68/461


「そういえば、キキには礼を言わねばならぬな……わしが戦う時にお前は手出しをしなかった」

「咲久夜様は約束を守ってくれませんでした」

「はは、そうむくれないでくれ。約束を守らなかったのは悪かった」


 余程不満だったのか、キキには珍しく少しむくれている。もしくは、それだけキキとの距離が近くなったのか。

 ただ、幼子がむくれているのは逆に可愛く写ってしまうものだ。

 現に、


「……あの照灯様、和可様」


 照灯と和可はキキの顔を見て、幸せそうに頬をつついていた。


「あーあ、いいなぁ」

「お主も混ざれば良かろう」

「あの二人が中に入れてくれないんですよ」


 集めてきた薪を置き、那都は笑った。


「まあ、後で独り占めします」

「……私も」

「そうだな、宇加と二人占めしよう」

「まったく」


 つくづく妙なる子だと思う。これだけ人を惹かれさせる。しかも、人だけでは無く鬼にまでも好かれる。


(まあ……人の皆ではないが)


 木々の影へと視線を向ける。そこには、須佐がこちらから身体を背け一人座っていた。

 キキに少しでも触れれば……心に触れれば鬼を弔うことも「成程、キキであれば」と納得するだろう。だが、須佐はキキを知ろうとせず、むしろ見下していた。

 そのせいもあるだろう。キキの戦いを知り、キキに助けられ、感情が乱れていた。落ち込むのも無理からぬこと。


(けれど、これで京への進撃を留まってくれれば、今はそれで良いだろう)


 咲久夜は内で呟いた。キキのことを知るのはゆるりで良かろう。


「……キキ?」


 小さな呼び声が聞こえ、視線を向ける。

 見ると、身体を洗われていたキキが照灯へと身体を預けていた。


「どうした、照灯」

「いえ……キキ、眠ってしまったようです」

「……そうか」


 思わず笑い出しそうになり、けれど、その笑いを抑え咲久夜は小さく伝えた。


「無理もない、疲れたのだろう。今は寝かせてやろう」

「はい」


 照灯は頷き、布で洗うのを止めそっとキキを抱きかかえた。


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